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栃木県・栃木県立小山高等学校
テーマ『宇宙のことをいろいろ学ぼうIII』

<全授業を通した指導目標>

宇宙までの唯一の輸送機関であるロケットの開発から、実際に宇宙で活動している人工衛星、そして地球から遠く離れた惑星探査の研究まで範囲を広げ、これまで学んできた事を活かしながら、さらにより幅広く深く宇宙開発全般に関して学ぶ。

<対象>

高校2年生 68名

<期間>

平成18年7月15日、7月23日、8月9日
回数(総時間):3回(9時間)

<区分>

SPP(サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト)
SPP(サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト)

構成表

実施日
時間
形式
人数
授業内容
1
140分
講義
31名
「宇宙開発・研究の歴史と現状について」
講師:渡辺 勝巳(JAXA宇宙教育推進室長)
2
220分
講義
16名
「人工衛星の軌道に関するワークショップ」(140分)
講師:山中 勉
(JAXA宇宙基幹システム本部
宇宙環境利用センター 主幹研究員)
見学
筑波宇宙センター 見学(80分)
支援:岸 詔子
3
180分
講義
21名
「小惑星探査機「はやぶさ」に関する研究について」(90分)
講師:吉川 真
(JAXA宇宙科学研究本部
宇宙情報・エネルギー工学研究系 助教授)
見学
はやぶさプロジェクト関連の見学(60分)
(はやぶさ模型・イオンエンジン・はやぶさ管制室)
解説:吉川 真
(JAXA宇宙科学研究本部
宇宙情報・エネルギー工学研究系 助教授)
解説:西山 和孝
(JAXA宇宙科学研究本部 宇宙輸送工学研究系 助教授)
授業
質疑応答(30分)
支援:吉川 真
(JAXA宇宙科学研究本部
宇宙情報・エネルギー工学研究系 助教授)
支援:岸 詔子・横内 美朝

第1回目/全3回『授業記録シート』

<今回の授業の指導目標>
一連の授業を開始するに当たり、事前の学習として宇宙開発の歴史と現状、宇宙航空研究開発機構(JAXA)で行われている活動や研究、また今後の宇宙開発の可能性について話を聞き、宇宙の魅力について考える。ここでは以降の各テーマを学習するときに容易に理解できるように宇宙開発全般についての概論を行う。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
                  
指導上の留意事項

導入
(20分)
<講師自己紹介>
(総論)
宇宙開発の3つのカテゴリーについて
(1)人工衛星
(2)宇宙ステーション
(3)月/惑星探査
←ロケットは運搬手段である
◎今回の講義の流れと宇宙についての基礎知識について説明する。
◆1つ1つの項目については基礎的、基本的な説明を中心に行う。

展開
(90分)
(各論)
1.ロケット開発の流れとロケットの種類について
2.人工衛星
(静止衛星、実用衛星、科学衛星について)
3.宇宙ステーション
(宇宙環境の利用について)
4.月/小惑星の探査について
◎ロケットの性能について説明する。

◎人工衛星が地球を回るしくみ、速さ、高度と種類・用途について説明する。

◎無重力とは何か。無重力になる原理と無重力状態で生じる現象とその利用について説明する。

△(ビデオ視聴)「テレビ鉄腕ダッシュ」で行われた無重力状態で行うさまざまな実験についてビデオを視聴する。

◎小惑星「イトカワ」と惑星探査機「はやぶさ」について説明する。
◆無重力空間における水のようす、水中の動物、紙飛行機、ヨーヨー、相撲などについて生徒自身が予想しながら考え、現象について理解する。
◆宇宙への挑戦の歴史(特に有人計画)には尊い犠牲があったことについても留意する。

まとめ
(30分)
(人類が宇宙に向かう理由)
(1)地球文明の発展
(科学技術の進歩による)
(2)地球を守るため
(環境保護など)
(3)宇宙の謎の解明および生命とは何かを探る

<質疑応答>
△講師に対して質問および意見交換を行う。
(事例1)ロケットや人工衛星1個の値段は?
(事例2)ミサイルとロケットはどう違うか?
(事例3)宇宙飛行士の給料や身分はどうなっているか?
(事例4)宇宙旅行の実現性と危険性について、など
◆各自でレポートのまとめ、整理を行う(アンケート記入など)

授業の感想・メモ

  • 今回のSPP講座型学習活動の3つのテーマである「ロケット」・「人工衛星」・「惑星探査」の概論を中心に、宇宙開発の歴史と現状、今後の可能性について話を聞いた。特に宇宙研究の意義や魅力について、講師との質疑応答を通して意見交換を行い、宇宙研究には科学技術を高める、地球を守るということ。さらには我々生物とは一体何であるかということを探る、というより深い意味もあると聞き、宇宙研究の魅力について新たな視点を得るとともに、今後の学習に向けて意識を高めることができた。

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第2回目/全3回『授業記録シート』

<今回の授業の指導目標>
実習として静止衛星、極軌道衛星、ISSの軌道要素から世界地図上に通過曲線を描き、さらにどのような用途があるか考える。また、それらの結果を軌道計算ソフト(SKT)によるものと比較して、それぞれの人工衛星の特徴について理解する。さらに、筑波宇宙センターの見学(人工衛星、ISS見学など)により、人工衛星に対する理解を深める。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
                   
指導上の留意事項

導入
(20分)
「人工衛星の軌道に関するワークショップ」
<講師自己紹介>
少年時代から現在に至るまで
(宇宙についての基礎)
宇宙は無重力ではない。
◎宇宙研究、宇宙に興味を持った理由について話す。

◎宇宙の基本的知識について説明する。
(宇宙はどこからか、万有引力について、宇宙は1つではない可能性など)
◆1つ1つの項目については数式的な理解にあまりこだわらない。

展開
(90分)
(人工衛星が回るしくみ)
地球に落下しながら回っている。
(無重力状態とは)どのようにしてできるか、どのような状態か。
(人工衛星の軌道を決める3つの要素)
1.速度(第1~第3宇宙速度)
2.方向(軌道面について)
3.高度(速度との関係)
(小山市から人工衛星を打ち上げるには)


<ワークショップ>
(課題)静止衛星、周回軌道衛星、極軌道衛星が小山市を通過する軌道を考え、さらにその用途について考える。
<演示実験1>
◎水の入った穴の空いたペットボトルを落下させたり、投げ上げる。

△結果を予想しながら、実際にやってみる。

<演示実験2>
◎人形が乗った上皿ばかりを落下させる。
△結果を予想しながら針の動きを観察する。

△小山市から人工衛星を打ち上げるには、どの方向がよいか考える。

<ワークショップ>
△各班4人に分れ、各衛星について小山市を通る軌道をミニ地球儀とカラーワイヤーを使って考え、白地図に記入する。
◆できるだけ身近なものを取り上げながら、イメージが持てるように説明する。
(新小山タワー(仮想)、野球のボールの速さとの比較、ギョーザの宅配など)
◆人工衛星の打ち上げ速度や軌道については、自転の影響も考慮することに留意する。

◆ワークショップでは、班の人と意見を交換しながら一緒に考えるようにする。

まとめ
(110分)
(ワークショップの結果の確認)
各班の結果を確認しながら各衛星の特徴について補足説明を行う。
(微小重力空間における研究と利用について)高純度な物質の作成など

<質疑応答>
「筑波宇宙センターの見学」
展示室、宇宙ステーション試験棟および運用棟の見学
△描いた軌道と考察結果の発表
(軌道と用途との関係について発表する)

△講師に対して質問および意見交換を行う。
(事例1)宇宙旅行の可能性、など


△実物の人工衛星、ロケットエンジン、国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」、宇宙服、管制室、宇宙食などを見学する。
◆各自でレポートのまとめ、整理を行う(アンケート記入など)



◆見学では、講義で学習した事項との関連を意識して解説を聞くようにする。

授業の感想・メモ

  • 講師の先生の説明が非常に丁寧かつ熱心で、特に生徒にとって身近な学校や地元と関連のあるものを取り入れて興味を持たせつつ、生徒とやりとりをしながら進行したので生徒にとっては大変親しみやすい講義であったと思われる。演示実験やワークショップなど生徒参加型の講義であり、頭と手を動かしながら体験的に理解できたのではないか。予定していた時間を延長したが、内容的に盛りだくさんで、ワークショップやまとめの時間がやや足早になったので、できれば予めもう少し余裕を持った時間を確保しておくとよかったかと思われる。(講師の先生も、まだ補足したいことがあったということである。)
    また、施設見学では実物の人工衛星やロケットエンジンなどを見て、講義で学んだことの確認をするとともに、宇宙開発のスケールの大きさを感じ、今後の学習に向けてより一層興味・関心を高めることができた。

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第3回目/全3回『授業記録シート』

<今回の授業の指導目標>
小惑星探査機「はやぶさ」による小惑星「イトカワ」の探査の状況と、それを可能にしたイオンエンジンなどの最先端の技術や期待されるサンプル・リターン計画などについて説明を聞き、小惑星探査の意義や今後の宇宙研究の可能性について考える。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
指導上の留意事項

導入
(30分)
(講師自己紹介)
栃木県出身、軌道決定の仕事
(「イトカワ」について)
・小惑星とは
・小惑星発見の歴史
・「イトカワ」の特徴について
◎「イトカワ」の大きさ、質量、密度、引力の大きさ、表面の状況(クレーターがなくゴツゴツしている)、地名の由来、宇宙風化などについて話す。
◆小惑星と、惑星、彗星などとの違いについても理解する。

展開
(120分)
(「はやぶさ」について)
・「イトカワ」へ到達して地球に戻るまでの概要
・「はやぶさ」に搭載されている計測機器について
・小惑星探査の目的・意義
・小惑星探査を行うための最新機器
・小惑星への接近とタッチダウンの状況

<イオンエンジン実験施設見学>
イオンエンジンの原理と特徴について

<「はやぶさ」管制室見学>

<「はやぶさ」実物大モデル見学>
◎小惑星探査の目的
(1.イオンエンジンなどの技術開発 2.自律航法・誘導 3.天体表面の物質採集 4.サンプルの回収技術)について話す。
◎小惑星探査のための最新機器(ターゲットマーカー、着陸ロボット「ミネルバ」など)について話す。
△タッチダウンの状況(成功と失敗)について話を聞く。
△イオンエンジンの原理と特徴について研究者より話を聞き、次世代型イオンエンジンμ10HISPの作動試験を見る。
△「はやぶさ」管制室と実物大モデルについて話を聞く。
◆小惑星探査の目的・意義についてよく理解する。
◆地球や月のように大きな重力でなく、小さな重力環境での探査であることに留意し、そのためのさまざまな工夫について理解する。
◆実験室での作動試験や管制室見学は極めて特例であることに留意する。

まとめ
(30分)
(今後の「はやぶさ」の行動と小惑星探査の可能性について)

<質疑応答>
△講師に対して質問および意見交換を行う。
(事例1)重力反動移動型ロボットとローバー型ロボットの違いついて
(事例2)小惑星が地球に衝突する可能性について
(事例3)有人惑星探査の可能性について、など
◆各自レポートのまとめ、整理を行う(アンケート記入など)

授業の感想・メモ

  • まず、小惑星「イトカワ」と探査機「はやぶさ」について説明を聞き、小惑星探査の目的と自律航法およびサンプルを採集して地球に回収するまでに必要な新しい技術について学んだ。特に地球や月と異なり、重力が小さな小惑星においての探査を可能にするためにさまざまな工夫がされていることに関して、生徒からの質問もよく出ていた。また、実験室ではイオンエンジンの原理について説明を聞き、実際に搭載されているイオンエンジンと次世代型イオンエンジンμ10HISPの作動試験を見ることができた。
    講師の熱意ある話と「はやぶさ」の管制室見学により、タッチダウン前後の緊張と興奮が伝わってきて、世界の先端を行く研究を目の当たりにし、生徒も日本の宇宙研究に対して世界に誇れる思いがしたのではないか。

栃木県・栃木県立小山高等学校

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