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広島県・安芸太田町立戸河内中学校

広島県・安芸太田町立戸河内中学校
中学3年生
14名
平成28年10月21日
理科「科学技術と人間(科学技術と発展)」
「はやぶさプロジェクト」と「イオンエンジン」について考察する活動を通して,「力と運動」「イオン」「エネルギーの変換」等の学習内容が,宇宙開発でも活用されていることに気付き,(得た知識が,自然や技術の理解にも役立つことに気付き)「科学技術の発展」が生活を豊かにしたり,私たちの誇りになってきたことを認識する。
次の内容を統合する,横断的な学習をめざす。
力と運動:力が働く運動では,運動の向きや速さが変わることを見出す。
原子の構成とイオン:イオンの生成が原子の成り立ちに関係することを知る。
太陽系:適切な縮尺モデルをイメージして,太陽系の広がりを認識する。

・協調学習について
 東京大学CoREF:http://coref.u-tokyo.ac.jp/
【生徒授業評価】
とても楽しかった   9名
楽しかった      2名
どちらとも言えない  2名
楽しくなかった    0名
ぜんぜん楽しくなかった0名

【広島県中学校 教諭】
イオンエンジンを題材にした非常に内容の高度なものでした。生徒がその難解と思われる資料を解釈し(自分なりに),自分の言葉として説明している点で、驚きました。
しかも,資料の特徴である,多くの情報を取捨選択して考えていました。日頃からの実践を実感しました。

【広島県高校 教諭】
「イオンエンジン」を教材にされており,とても難しい内容を中学生がどう扱うのか疑問でしたが,化学だけでなく物理の即習事項も取り上げておられ,生徒は生き生きと学んでいました。発言内容から理科が得意でないような生徒も複数見受けられましたが,その生徒たちが臆することなく,楽しそうに自分の意見を述べ,それを周囲の生徒がやさしくあたたかく教える姿が印象的でした。年間20回(30時間),さまざまな教科で7年間にわたり取り組まれてきた成果だと思い感動しました。

【広島県中学校 教諭】
何よりも先生の学び続ける姿勢,課題意識の高さに感銘致しました。おそらくその姿が生徒さんにも映っているものと推察しました。また機会が有れば参加させて頂きたいと思っています。

【広島県中学校 教諭】
練りこまれたエキスパート資料により,生徒は何とかそれを理解しようと,主体的に頑張っていた授業であったと思います。この授業によって宇宙というかはやぶさプロジェクトへの興味関心は確実に高まって,ニュース等で出ると必ずチェックしていくのだろうと思います。私はこれまでジグソーは単元の最後に発展で行っていくものだと思っていましたが,これまでやった単元の学習をもとに,次の単元の導入としても可能であり,そこで生じた疑問もその単元の効果的なものになることがわかりました。今度この資料で授業させて頂きたいと考えています。

【京都市中学校 教諭】
内容としては,少し難しいなと感じたのですが,生徒達がとても積極的に考え,発言し,学ぶ姿が見られ驚かされました。エキスパート活動における実験で,ソーラーカーに光を当てしばらく楽しんでいた生徒が,それに飽きて,次はソーラーカーを手で持ち上げて光をあててタイヤの回転をみていました。でもしばらくすると,同じ距離から光を当て続けると回転速度が速くなることに気付き,自分のエキスパートを考える1つの材料にしていた場面を見ました。自分に与えられた目の前の課題を,自分なりに考えグループに持ち帰り,さらに考えを深めていく姿はとても印象に残りました。ジグソーを行うことで,授業のほとんどを生徒主体で進めていく分,自分たちで考える時間が多いので,記憶に定着しやすいと感じました。また,ここまで生徒たちに考えさせることが出来るのは,日々の先生の積み重ねなんだということも強く感じました。

【福岡県中学校 教諭】
「イオンエンジン」という難しい題材でしたが,だからこそエキスパート活動,ジグソー活動で生徒達は必死にあれこれ考えたり,それらを出しあうことにもつながり授業のねらいにつながっていたと思いました。
メインの課題を「イオンエンジンはどんな原理でどんなよさがあるのか?」とし(細分化せずに),エキスパートを
A:作用・反作用
B:キセノンのよさ(燃料の違い,使うエネルギーの安定性・密度)
C:エンジンのデータ(燃料・噴射の速さ・出力…)
としてはどうでしょうか?

【高知県中学校 教諭】
授業を通して生徒は「わからない」と口に出す,その生徒の悩み,理解を一緒に考える,一緒に悩む生徒の姿が見られ,良かったと思います。ジグソー活動になれているのだな。と広島県の強みを強く感じました。

授業・活動後の先生のご感想、ご要望など

  • ・研究授業での実施であったため,普段とは異なる緊張感もあった。しかも,理科教師も積極的に理解しようとしてこなかった学習内容であり困難も予想された。それでも,普段どおり,対話しながら学ぶことができたのは,最先端の宇宙科学技術を理解したいという生徒の意欲も要因の一つと考えられる。この授業の前に,道徳で「はやぶさプロジェクト」を学んでおり,極めて困難なミッションを達成させるため,多くの科学者,技術者が自分の役割を果たし,協力したことを共感的にとらえている。また,宇宙の広がりを認識させる資料や動画を通して,「はやぶさプロジェクト」の知識を得たことで,「イオンエンジン」のイメージを膨らせることもできた。言葉や映像から得た理解が,生徒にとって,少しは分かった気がする状況を作り,「もう少し詳しく理解したい」という意欲につながったと考える。もし,全く予備知識がない学級で実施したとすると,始めから思考停止してしまう生徒もいたと思われる。

    ・「どんな科学の『法則』が使われているの? なぜロケットは加速するの?」に対して,事前の回答で「慣性の法則」を書いた生徒がいる。これは,道徳の授業で視聴した動画の中に,「イオンエンジンはそよ風ほどの力しか出せないが,宇宙では,慣性の法則でどんどん加速する。」という表現があったためではないかと考える。慣性の法則は「物体に力がはたらかなければ,等速直線運動を続ける。」ことを示しているが,逆に言えば,「力がはたらけば,加速する。」ことを暗示している。先の動画で視聴したフレーズに引っ掛かり,「弱い力でも,加え続ければ加速するのか。」「同じ力を加え続けたら,等速運動になるのか。加速するのか。」という疑問を持ち続け,話し合い,クロストークで自分たちなりに考えた結果を発表した班がある。私が聞き取った範囲ではあるが,他の班でも同様の議論が行なわれていた。今回の探査機「はやぶさ」の飛行原理を考える学習が,ニュートンの「運動の法則」についての理解を深めることにつながっている点は,指導者としては意外であたし,興味深かった。

    ・今回の教材では,それぞれの班に異なる実験を準備した。その中の,「鉄球を放出して台車を動かす実験」は,全員に体験させる時間を確保できれば良かったと反省している。類似の実験が教科書にはなく,それを担当したエキスパートC以外の生徒は,イメージが浮かばない様子であった。中には,「ほんとに動くの?」という疑問を抱く生徒もおり,実験の大切さを痛感することになった。時間的な制約もあって断念したが,できれば実験ブースに戻って,全員が体験できる機会があれば良いと考える。今回は,次時の授業で,全員が実験できる時間を設定した。

    ・今回の授業は,「イオン」や「科学技術と人間」のまとめであり,「地球と宇宙」の導入としても位置づけられている。これまで行ったことがない単元横断的な学習として実施できたことは,自分にとって良い経験になった。数カ月前に学習した内容を振り返り,整理する機会にもなるため,教材が,生徒の学びを支援するといった側面も期待できる。また,学びの意義を自覚できるプランとしての価値も高めていきたい。

    ・科学技術について考察するプランとしては,「冷蔵庫の原理」に次ぐ教材である。身近な自然現象や電気製品,そして最先端の科学技術まで,生徒にとって有用と考えられる教材を今後も開発していきたい。そのような学習を通して,「理科で学んだことが実生活でも役立っている」「課題や疑問の解決にも役立つ」といった自覚を高めたい。

    ・このプランを作成するにあたり,中学校理科以外の先生方に協力頂いて,2回の模擬授業を行った。活動時間の見積もりや,問いの吟味,各問いの分担制なども発案してもらった。そのような教材作成を経て,クロストークでの発表を聞いて,自分のストーリーを作り直すという時間を設定し,最終的な回答を記述させることとした。実践を通して,班ごとに問いを分担する展開は,これまでも実施したことがあるが,今回はこの方法が有効であったと考える。
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