“HOME” に戻る

下田治信(しもだはるのぶ)

東京都昭島市立福島中学校 理科教諭

週末は「宇宙の学校」などで家にいられないことが多いですが、趣味はガーデニングを少々。ペチュニアの仲間のサフィニア、トマトなどを育てています。昨年夏に自宅に太陽光発電システムを設置し、省エネや再生可能エネルギーにも取り組んでいます。

JAXA宇宙教育センター「教材開発委員」「宇宙教育リーダーセミナー講師」
子供宇宙未来の会(KU-MA)宇宙の学校講師、東京都国分寺市科学教室指導員
平成19年度 東京都中学校理科研究会 「導入場面で、生徒の興味関心を高める教材の工夫」
平成19年度 文科省主催宇宙教育シンポジウム「理科教材の事例紹介」
平成20年度 文科省主催宇宙教育シンポジウム「衛星画像を使った理科の授業展開」
平成23年度 ネットジャーナリスト協会 理科の達人先生「宇宙航空研究開発機構理事長賞」
平成23年度 東京都教育委員会 教員表彰
平成24年度 文部科学大臣優秀教員表彰

下田治信(しもだはるのぶ)

宇宙教育への取り組み

Q:JAXA宇宙教育センターとの出会いときっかけを教えてください。

JAXA宇宙教育センター設立当初からのお付き合いです。当時、宇宙教育センターが最初に着手したのが「導入教材」の開発でした。「教材開発委員会」が発足し、委員長だった遠藤純夫先生に委員として呼ばれたのがきっかけです。

「導入教材」の開発では、「宇宙から見た浅間山の噴煙」を担当しました。授業に使えそうな画像をJAXAデジタルアーカイブス(http://jda.jaxa.jp/)で探しました。火山灰の授業をするとき、今でも導入部分でこの教材を使っています

※ JAXA宇宙教育センターウェブサイト「教材を探そう」で、導入教材をはじめとする宇宙教育センターが開発した教材をダウンロードすることができます。

教材を探そう

▲下田先生が担当した「導入教材<理科編> - 宇宙から見た浅間山の噴煙 - 」。

Q:現在取り組まれている宇宙教育の活動はなんですか?

教材の開発以外では、東京都立川市と熊本県多良木町などで「宇宙の学校」の講師を務めています。「できたよ!」と、子どもたちが自分で作ったものを見せにきてくれるのが、すごくうれしいですね。子どもたちは楽しそうです。親子が一緒に活動している様子を見ると、いいなと思います。親も一生懸命、そして楽しんでやってくれます。 他に、「宇宙教育リーダーセミナー」の講師を務めています。

「宇宙の学校」
数カ月おきに行われるスクーリング(工作と実験)と、家庭学習を親子で一緒に取り組みます。家の中ではできない広い場所が必要な工作と実験をスクーリングで、テキストをもとに家庭でもできる工作と実験を家庭学習で行います。家庭学習は、身の回りにある材料や道具を使うので、特別な材料や実験器具を使わずにできます。

「宇宙教育リーダーセミナー」
すでに宇宙教育に取り組んでいる方、またはこれから取り組まれる方を対象に宇宙教育活動を実践する指導者として必要な基礎知識や教材を学ぶセミナーです。

▲立川「宇宙の学校」で、開始前にスタッフにレクチャーする下田先生

学校で実践する宇宙教育

Q:衛星画像の活用例を教えてください。

陸域観測技術衛星「だいち」が撮った、自分たちの町や学校の写真を見せます。学校の近くに火山灰が出る場所があるので、この場所ではこんな火山灰を見ることができるよと説明します。 衛星画像を見せると、子どもたちはおもしろそうだと興味を持ちます。

Q:衛星画像の活用例を教えてください。

ペットボトルロケットを作ったり、日食の時にはピンホールを作って観察しました。恒例の「JAXA相模原キャンパス一般公開」にも行きます。子どもたちにとって、年に一度の楽しみになっています。

授業で実践する宇宙教育 ―中学校理科 第2分野 大地の成り立ちと変化―

Q:授業の内容をお聞かせください。

授業の冒頭では、できるだけ子どもたちが興味・関心を持つものを見せます。 火山灰の授業の場合、最初に小惑星探査機「はやぶさ」と小惑星イトカワの写真を見せます。子どもたちは、「はやぶさ」のこともイトカワのこともよく知っています。

次に、「はやぶさ」がイトカワから持ち帰った微粒子の電子顕微鏡写真を見せます。

続いて、双眼実体顕微鏡で輝石とかんらん石を観察させます。 すると、子どもたちは目を輝かせます。「きれい!」

イトカワ由来の微粒子と地球上の岩石は鉱物の成分比率が異なるものの、子どもたちは、地球の鉱物とイトカワの鉱物が共通だと認識することができます。子どもたちが顕微鏡越しに見たもののなかに、「はやぶさ」がイトカワから持ち帰ったものと同じ鉱物を見ることができるからです。「あぁそうか、宇宙とつながっている!」

▲下田先生が子どもたちに見せた「はやぶさ」カプセル内で採取された  微粒子の電子顕微鏡写真。
▲顕微鏡でのぞいた世界。少し黄緑がかったあめ色のものが「かんらん石」、黒っぽいものが「輝石」。

Q:子どもたちは授業を終えて、どのような感想を持ちましたか?

宇宙と自分たちがつながっていることを、子どもたちは感じています。

子どもたちの感想

  • 鉱物が、きらきらきれいだ。
  • 火山の噴火したもののなかに、宇宙と同じ物質がでてきてびっくりした。
  • 私たちが住む身近なもののなかに、宇宙にあるものがあるかもしれないと思うとうれしかった。
  • 地球にある鉱物と宇宙にある鉱物が同じだったと知り、不思議に思った。

平成24年度文部科学大臣優秀教員表彰を受賞

Q:受賞、おめでとうございます。宇宙教育への取り組みも受賞の理由でしょうか?

今回の受賞理由のひとつに、これまでの宇宙教育への取り組みが挙げられます。

Q:周りの反応はいかがでしたか?

これまでにもいくつか賞を頂いていたので、家族の反応は、「また?」という感じでしたが、後に文部科学大臣からの表彰だとわかると、「すごいね!」に変わりました。(笑)校長や同僚からは、祝福を受けました。生徒は知らないと思います。

Q:下田先生のような授業を全国の先生が実践することは可能でしょうか?

可能だと思います。実は、教科書を執筆しています。「だいち」が撮った3D写真や「かぐや」が撮った月の写真、玄武岩の話など、自分がおもしろいと思ったものを取り上げて教科書に載せているので、全国の先生と子どもたちに使ってほしい。

Q:今後の抱負をお聞かせください。

理科の教師なので、子どもたちに理科を好きになってもらいたい。教師として一番うれしいことは、子どもたちが実験を喜んでくれることです。卒業生が学校に遊びに来て、「あの時の実験はおもしろかったね」という話を聞くとうれしいですね。

また、JAXAの画像や映像をこれからも積極的に使っていきたいと思います。2009年に国際宇宙ステーション長期滞在中に行った、若田宇宙飛行士の「おもしろ宇宙実験」の映像を子どもたちは食い入るように見ていました。宇宙ってこんなところなのだと、身近に感じてもらえるようになってきました。

Q:このインタビュー記事をご覧になった方にメッセージをお願いします。

宇宙教育の活動をいろいろなところでやっているので、ボランティアとして参加してください。一緒に子どもたちを育てましょう。

▲表彰状を手にする下田先生
ページトップへ