宇宙をまなぶ
1 2 3 4
タイトル はじめに もくじ 5 6 7 8
3ロケットを飛ばす  ロケットが飛ぶ超高空や大気圏外は、地上の環境とは違い、ほぼ真空です。そのため、ジェット機と同じしくみでは、ロケットを飛ばすことはできません。また、人工衛星を軌道に投入するには、秒速7.9km、時速にしたら約2万8000kmものスピードが必要になります。軌道も正確でなくてはなりません。人類は宇宙を目指して、これらの困難を克服すべく、ロケットの構造やシステムを開発してきました。
1ロケットとは

ロケットの目的
 ロケットと一口に言いますが、目的によって2つの種類があります。1つは、人工衛星や惑星探査機を軌道にのせるための「衛星打ち上げロケット」(Satellite Launch Vehicles)、もう1つは搭載した観測器などを超高空へ運ぶ「観測ロケット」(Sounding Rockets)です。
 観測ロケットは、上空へ行ってから頭のカバーを外し、観測器などを大気に露出したり放出したりして、観測や実験を行いながら地上に落下するものです。
 これに対し、衛星打ち上げロケットでは、人工衛星をできるだけ正確に予定の軌道にのせなければなりません。つまりロケットの運動を正確に予定のものに合わせるように努力しながら、姿勢を徐々に変化させ、水平に近い状態で衛星を軌道に投入しなければならないので、複雑な姿勢制御が必要になってきます。

ロケットの飛ぶ環境
 ロケットが飛ぶのは、空気がとても薄い所です。さらに衛星軌道となると大気圏外にもなるので、ほとんど真空に近い状態にあるといえます。このような場所では、推力を発生するのに必要な燃料を燃やすための空気(酸素)がありません。そこでロケットは、燃料だけではなく酸素(酸化剤)ももっていく必要があります。ジェット機との違いは、ここにあります。ジェット機は燃料をもっていますが、酸素はもっていません。ジェット機が燃料を燃やすための酸素は、まわりの空気を吸いこんで獲得するのです。

化学ロケットの種類
利点
●構造が簡単で取り扱いが
容易
●製作費が安い
●長期間の貯蔵・保存が可能
欠点
●燃焼のコントロールが
できない
●発射の際のGが大きい
利点
●方向や速度のコントロール
が容易
●発射の際のGが小さい
●大型化が容易
欠点
●構造が複雑なため故障が
心配
●製作費が高い
利点
●燃焼のコントロールが
できる
●構造が簡単
●固体と液体の利点をもつ
欠点
●固体と液体の欠点をもつ
ロケットの種類
●化学ロケット
 化学反応で高温高圧のガスを発生させて、そのガスを噴射します。反応に使用する物質(推進剤という)が固体のものを「固体燃料ロケット」、液体のものを「液体燃料ロケット」、固体と液体と両方を使うものを「ハイブリッド・ロケット」といいます。現在使用されている大型ロケットはすべて化学ロケットです。
 液体ロケットは構造が複雑でかさばる欠点はありますが、推進剤の重量あたりのエネルギーが高いという長所があります。また燃料や酸化剤をタンクからパイプを通して燃焼室へ送るので、途中に蛇口のようなものを付けておけば、燃焼の制御が容易であるという重要な長所もあります。
 固体ロケットは構造が単純なので扱いやすく、重量あたりの性能は少し低いのですが、高密度の推進剤が使用できるためコンパクトな推進システムになります。おまけに燃料の保存が容易である、などの長所があります。

●非化学ロケット
 化学ロケットエンジンは、大きな推力を生み出すのには向いていますが、長時間の連続運転ができないという欠点をもっています。
 そのため将来は、地上からの打ち上げや短い日数での惑星間飛行など、大きな推力を必要とする場合を除いて、それ以外のエンジンに替わっていくことが予想されます。
 現在、化学ロケットの欠点を補うために、いろいろなしくみのエンジンが考えられています。すでに実用化の段階まで開発が進んでいるものとして、イオン・エンジンとプラズマ・エンジンがあります。この2つのエンジンは、どちらも推力が小さいことから、「低推力推進」と呼ばれています。
 なお、水ロケットは封入した空気の圧力で水を加速する非化学ロケットの一種といえます。

イオン・エンジン
 セシウムやヨウ素といった物質を電気の力でイオンにして、それを電気的に加速して噴射するしくみになっています。イオンというのは、プラスまたはマイナスの電気をもった粒子のことです。このイオンの粒子を加速するには、プラスの電気をもつものはマイナスの電気に引かれ、マイナスの電気をもつものはプラスの電気に引かれるという性質を利用します。

プラズマ・エンジン
 気体の温度を上げていくと、気体の原子は、マイナスの電気をもつ電子の粒子と、プラスの電気をもつプラス・イオンの粒子に分かれます。プラスの電気をもつ粒子とマイナスの電気をもつ粒子の混ざり合った状態がプラズマです。プラズマ・エンジンは、推進剤ガスを電気放電によってプラズマにし、これを電磁的に加速して噴射するしくみになっています。
 プラズマ・エンジンもイオン・エンジンも、推力は小さいが長時間働くことができます。これは、人工衛星を高度の低い軌道から静止軌道へ移す時や、長時間にわたる軌道の制御などに適しています。

原子力エンジン
 原子力エンジンは普通、原子炉の熱で液体水素などを高温のガスに変えて噴射するエンジンで、原理から見ると化学ロケットエンジンと同じしくみです。
 この原子力エンジンに使うウラン燃料は、1kgで大人のにぎりこぶしぐらいの大きさですが、大きな熱を長時間発生します。そこで、ロケットの機体を軽くすることができるという利点があるのです。
 原子力エンジンに使う原子炉には、固体炉心型、液体炉心型、気体炉心型の3種類があります。現在作られているのは、固体炉心型原子力エンジンで、もうじき実用化されるところまできています。原子力エンジンは、化学ロケットよりも優れた推進性能が期待されています。

その他の未来ロケット
 現在開発が進められているロケットエンジンの他にも、理論の上から考えられているロケットはいろいろあります。
 かつて化学ロケットも、宇宙を夢見る人たちの想像の産物でしたが、科学の進歩はこれを実現させました。将来、光子ロケットやラム・ロケットが、宇宙を航行する日がきっとやってくることでしょう。

●光子ロケット
 光は光子という非常に軽い粒子です。この光子を噴き出して、その反動で飛行しようというのが光子ロケットです。

●ラム・ロケット
 宇宙空間には、わずかですが水素原子があります。ラム・ロケットは、この水素原子を集め、それを加速して噴出しながら進むロケットです。

●レーザー・ロケット
 レーザー基地からロケットにレーザーを送り、そのエネルギーで推進します。

●太陽光ヨット
 太陽から放射される光の圧力を利用して、海上のヨットのように宇宙を飛行しようという考えです。
前へこのページのトップへ次へ