日本各地を駆け回りながら、宇宙の教育活動を通して常に実感するのは、子どもたちは生身の自然や生き物が大好きだということです。中でも、宇宙の謎は彼らの好奇心や想像力をかきたて、人類の宇宙への挑戦過程は冒険心を刺激するのです。子どもたちの強い好奇心や冒険心を拠点に、その秘密を解き明かすための科学へと深い関心が向くように導きたい。そのために、我々の宇宙探求や宇宙開発で得られた知識や技術、宇宙に対する内発的な想いを総動員していく。そこに、宇宙教育センターがこれからの日本を担う子どもたちのために働く意味があると思うのです。
我々は、"好奇心"と"冒険心"の他にもう1つ、子どもたちの人生を輝かせて行くために大事なものがあると考えています。それは、好奇心や冒険心の対象へとたどり着くための「何かを作る」という"匠の心"です。これら3つの心は子どもたち誰しもが持っているもの。 その心にいったん火がつけば、大人が手助けせずとも自らその探究心を駆使して知識や経験の輪を広げていきます。この最初のきっかけ作りを大切にしたいと考えます。そして、その礎に"いのちの大切さ"があってこそ、これからの国づくり・未来を担う大きな力となっていくのではないかと考えるのです。
センター設立当初から、柱に据えている活動が2つあります。1つは、実際の教育現場・学校と一緒に行う活動、「学校教育支援活動」です。JAXAは宇宙や宇宙活動の成果が内包する魅力的で豊富な素材を、先生方のニーズに合わせてさまざまに加工し解釈し展開させる役目に徹します。宇宙をテーマにした総合的な学習は、理科だけでなく社会科や音楽、家庭科など、様々なアプローチが可能です。これまで、素晴らしい現場の先生方との共同作業により、一つ一つの支援活動が今後の活動に向けて貴重な教訓を生み出しています。このような経験に基づいてさらに輪をひろげ、先生方にとってもJAXAにとっても新しい発見があり、ともに育っていけるような連携の形を目指していきます。
2つ目は、「社会教育支援活動」です。小・中・高校生を対象に、それぞれの年代に応じた段階的学習プログラムにより、JAXA独自の授業を行います。また、全国各地でJAXAとともに宇宙教育活動を行っていただける指導者の育成・支援を行います。
そして、最後にこの2つの柱と同じくらい力を入れているのが、世界の子どもたちへの発信です。宇宙教育を取り上げた様々な国際会議や国際機関の活動に参加し、教育センターの活動や教材を紹介するとともに、特に途上国で宇宙教育活動を進めるための連携を各国各機関と進めています。