ISEB学生派遣プログラム

【2005年度】第56回 IAC福岡大会

※ 2005年のISEB設立以前はJAXAおよび他機関との協力事業として実施

派遣期間 平成17年10月16日(日)~10月21日(金)
※ 22日(土)CANSAT Comeback Competition
派遣先 International Astronautical Congress 2005
第56回IAC福岡大会(福岡国際会議場・マリンメッセ福岡他)

主なスケジュール

日付 内容
10月16日(日) IAC2005学生プログラム・オリエンテーション→CANSAT Activities及びTree Workshop キック・オフ・ミーティング出席
17日(月) IAC Opening Ceremony→Lunch Event→Welcome Reception出席→日本人学生主催「部分月食・火星観望会」開催
18日(火)~20日(木) IAC出席→Lunch Event→CANSAT ActivitiesまたはTree Workshop参加
21日(金) IAC出席→Lunch Event→Student Plenary Session→Student Party
22日(土) CANSAT Comeback Competition

参加者の声「第56回IAC大会に参加して」

※ 下記執筆者の所属等についてはIAF大会参加時(平成17年10月現在)のものです。

慶應義塾大学 大学院 理工学研究科 開放環境科学専攻
修士1年 原 彰彦

  • 先ずは、このような素晴らしい学会に参加する機会を与えて下さった、JAXAと日本宇宙フォーラムの方々に深く感謝致します。私は、IACに参加するのは今回が初めてでした。3年までは授業が毎日のようにあり、また4年は研究活動が中心でどうしても参加出来なかったのですが、修士1年の今年、ようやくこうしてIACに参加出来た事を大変嬉しく思っています。

    今回のIAC参加に先立って私が一番意識した事は、外国人とのコミュニケーションです。私の専門はソフトウェア工学であり、航空宇宙工学ではありません。従って案の定、Technical Sessionなどでの発表も積極的に聞きはしたものの、やはり詳細な部分までは完全に理解できませんでした。それよりも、Tree Workshop(JAXAが、NASA、CSAやESAと共同で提案して下さった議論ベースのワークショップ)という現場で積極的に外国人とコミュニケーションを取る事の方が、受動的な発表聴講よりも遥かに能動的であり、自分が超えるべき壁も直に感じ取れるのではないかと思い、Tree Workshopへの参加を決意しました。

    Tree Workshopで私は「Natural Disaster Monitoring(自然災害と監視)」というテーマのグループに入りました。早速、英語という壁が自分に降りかかりました。特に苦戦したのは、リスニングです。同じグループ内の外国人メンバーの意見を聞き取れないのです。英語において最も難しいのはやはりリスニングでした。スピーキングやライティングでは、複数の表現が許されます(と思います)。ですがリスニングの場合、正解は一つです。しかもリーディングと違って、聴く文章を視覚的に見る事ができません。何度も外国人メンバーに問い掛けたり、ジェスチャーをしたり、スライドやホワイトボードを使ったりして、気持ちで自分達の意見を交換していきました。

    そしてTree Workshopでの議論結果をStudent Plenary Sessionで発表させて頂き、本当に嬉しく思っています。発表を始める前までは、「自分が失敗したら、日本人のイメージが悪くなってしまう」というプレッシャーもあったのですが、それ以上に、この大仕事をやり遂げる期待の方が大きかったです。その位の大きな責任が、発表者にはあると私は前々から感じてきました。しかも今回は国際舞台、プレッシャーも一塩です。しかしいざ発表が始まると、思う存分発表を楽しめました。あのようなMain Hallという素晴らしい舞台で、マイクの質も良く、スクリーンも巨大であり、発表する環境としては最高でした。また、「国際会議という舞台で発表し、自分の存在を世界にアピールする事」が自分の目標でしたので、その目標が達成できた事も嬉しく思っています。あの日の発表は、私の人生の最も大切な思い出であると同時に、誇りでもあります。

    IAC期間中は本当に学会のイベントを追いかけるだけで精一杯だったのですが、IACが終わった今、自分はどのように宇宙開発に貢献出来るのか、また自分が宇宙開発に貢献する為には具体的にどのような努力をすべきなのか、改めて反省も踏まえて考えみる事にしました。その結果少なくとも3つの要素が必要不可欠であると結論付けました。

    1つ目は、日本だけではなく世界に通用する「専門知識」を身に付ける事です。先ずは、自分の専門性を磨かない事にはコミュニケーションで伝えるべき内容が充実しません。現在修士1年の自分、残り少ない学生生活を大切にして今まで以上に研究活動に励んでいきます。先程書いた通り、私の専門はソフトウェア工学であり航空宇宙工学ではないです。しかし、高信頼性のソフトウェアを作り上げる事は、宇宙開発の成功に絶対必要だと思いますので、必ず貢献出来ると信じ、これからもがんばっていきます。

    2つ目は、「英語力」です。1つ目の要素である専門性を的確に伝える語学力が、日本人である自分を世界にアピールする手段として不可欠です。日常会話レベルにとどまらず、宇宙開発の詳細な部分での議論も出来るくらいの英語力を身に付けなければならないと、今回のTree Workshopで痛感しました。今までも英語に対する意識は当然持っていたのですが、IACを機会に、より努力していこうと決意しました。

    最後に3つ目ですが、日本の代表として仕事をしたいという「断固たる決意」です。宇宙開発というミッションは言うまでもなく国レベルであり、国同士の競争、協力が絶対に必要になってきます。その時に最も重要なのが、「日本の代表としてがんばってやる」という強い気持ちだと思います。今回、Student Plenary Sessionで発表しようと決意したのも、「日本人学生はここまで出来るんだ!」というのを前面に押し出したかったからです。ましてや今回は日本開催。福岡というホームグラウンドがIAC会場である以上、一層日本というものをアピールしなければならないと思っていました。

    また一方で蛇足ながら、レセプションパーティーでは、向井千秋宇宙飛行士と色々と貴重なお話をする機会を得る事が出来、本当に感動しました。帰京して落ち着いた今、2ショットの写真を感慨深く眺めています。更に、宇宙に思いを馳せている、意識を高く持っている日本人学生達に出逢えた事が、これからも切磋琢磨してがんばっていこうという気持ちにさせてくれました。

    最後になりましたが、大変貴重な経験や宝物、思い出をくれたIACに改めて感謝します。本当に有り難うございました。

プレナリー・セッションでの発表の様子
プレナリー・セッションでの
発表の様子(筆者)
向井宇宙飛行士とのツー・ショット
向井宇宙飛行士との
ツー・ショット

第56回IAC福岡大会IAC2005 Student / Youth Program

平成17年10月16日~21日、第56回IAC福岡大会において、ESA、NASA、JAXA、CSA協力の下に、「宇宙」をテーマにした学術・研究交流、「ものづくり」による国際チーム・ワーク、国際的な相互理解を学ぶことを目的としたCanSat Activities、Tree Workshop、ISZ (Poster Session/Lunch Event)、Student Plenary Session、Student Party等各種プログラムが「IAC2005 Student/Youth Program」として実施され、各宇宙機関より派遣された学生約210名(JAXA100名、ESA85名、CSA13名、NASA15名)及び個人参加の学生やSGC(Space Generation Council)の若手約100名が参加しました。各プログラムについて以下のとおり報告します。

CANSAT Activities

IAC会期中に各国学生が協同して「ものづくりを行う」初の試みとして、350ml缶を使用した人工衛星の製作を行いました。IAC終了後の22日(土)には、
UNISEC及び九州大学の協力により、九大伊都新キャンパスにおいてComeback Competitionが開催され、九大チームと香川大チームが優勝しました。

CANSAT Activities at Student Room from October 16 to 21

CANSAT Activities at Student Roomの様子1
CANSAT Activities at Student Roomの様子2
CANSAT Activities at Student Roomの様子3

Comeback Competition at Kyushu Univ. Ito New Campus on October 22

Comeback Competition at Kyushu Univ1
Comeback Competition at Kyushu Univ2
Comeback Competition at Kyushu Univ2
Comeback Competition at Kyushu Univ3
Comeback Competition at Kyushu Univ4
Comeback Competition at Kyushu Univ5

Useful Website for CanSat

Tree Workshop

宇宙に関する4つのテーマ(下記参照)について、各国の学生が、それぞれの問題意識に応じた分科会を選択し、そのテーマについて議論を行いました。議論の成果は、10/21(金)に学生プレナリー・セッションにおいて発表されました。

自然災害監視
自然災害監視
有人活動と宇宙探査
有人活動と宇宙探査
世界遺産と自然の保護
世界遺産と自然の保護
宇宙教育と普及
宇宙教育と普及

International Student Zone ; ISZ(国際学生ゾーン)

ESA・CSA・NASA・JAXAの4機関協力により、宇宙フェア会場内にInternational Student Zone ;ISZ(国際学生ゾーン)が設置され、人材交流、専門家・学生の研究紹介の場として活用されました。

ISZの様子1
ISZの様子2
ISZの様子3

Lunch Eventでは、専門家によるレクチャーや情報提供、関西大学山口さんの研究発表が行われました。

ISZの様子4
ISZの様子5
ISZの様子6

各国学生の宇宙開発関連研究活動をPoster Sessionで紹介しました。

Student Plenary Session

学生プログラムの一環として会期中開催された「CanSat Activities」および「Tree Workshop」の成果について学生主導により発表され、新しい試みとして好評を博しました。

Student Plenary Sessionの様子1
自然災害監視
Student Plenary Sessionの様子2
有人活動と宇宙探査
Student Plenary Sessionの様子3
宇宙教育と普及
Student Plenary Sessionの様子4
世界遺産と自然の保護
Student Plenary Sessionの様子5
CanSat Activities

国際宇宙法学会(IISL)への協力

本派遣プログラムでは、IISL主催の「マンフレッド・ラクス宇宙法模擬裁」に協力し、アジア・太平洋地域予選通過チームの学生2名をIAC福岡大会に派遣しました。本年の地域代表国立シンガポール大学の学生2名は、IAC2005大会会期中に行われたファイナル・コンペに進みましたが、惜しくも優勝には届きませんでした。ファイナル・コンペの結果は、次の通りです。

第1位 ジョージ・ワシントン大学(北米地域代表)
第2位 シンガポール国立大学(アジア・太平洋地域代表)
第3位 ケンブリッジ大学(欧州地域代表)

国立シンガポール大学の学生
国立シンガポール大学の学生
模擬裁判の様子1
模擬裁判の様子2
ISEB学生派遣プログラム開催実績

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