宇宙を活用した教育実践例

宇宙を目指して (はたらく人々 in JAXA)

和歌山県・和歌山市立藤戸台小学校

  • 小学生
  • 学校教育

概要

和歌山県・和歌山市立藤戸台小学校
小学5年生
62名(31名が2クラス)
平成23年6月11日(研究授業実施日。学習は4月から継続)
総合的な学習(1学期から2学期末まで)
単元名 【宇宙を目指して (はたらく人々 in JAXA)】

1学期から総合的な学習の中で自ら考える力、協力して取り組む力を育成するために宇宙をテーマに単元を設定して活動してきました。
学習は「1.ものづくり活動(水ロケット作成)」と「2.はたらく人々の思いにせまる」という2本の柱を平行して行い、単に水ロケットを協力して作るだけでなく、宇宙開発事業がどのように生活を支えてくれているか、宇宙に挑むことがどういうことか、を学びながら将来の夢を描くきっかけになるような学習をと思い、計画しました。
1.宇宙開発から生まれた製品や関連した製品の写真資料
2.筑波宇宙センターの写真(2010年筑波研修にて撮影させていただいた資料)
3.かさ袋ロケットで宇宙に行こう
指導ガイド飛ぶ科学 いろいろなロケット かさ袋ロケットで宇宙に行こう
4.スピードと飛距離にビックリ 基本型水ロケット
基本型水ロケット
5.宇宙科学研究所キッズサイト
http://www.kids.isas.jaxa.jp/
6.JAXAホームページ
http://www.jaxa.jp/
・導入として
・発展として

(1)単元の導入
活用した資料(上記1・2)
自分たちの身近なものが宇宙で使われていたり、宇宙開発から生まれたりしていることを知り、宇宙開発に興味をもてるようにしました。

(2)「水ロケットを飛ばそう」
活用した資料(上記3・4)
 (活動1)基本の水ロケットを作ろう
 (活動2)各パーツの役割から、どのように飛ばしたいかめあてを決めよう。
 (活動3)工夫して自分たちだけのオリジナル水ロケットを作ろう

 自分たちでも「開発」を手軽に体験できる傘袋ロケットを用いて、ものつくり活動への意欲をもたせるとともに、新しいことを考え、造り出すためには工夫や協力が必要なことを体験的に学びました。それを導入として、自分たちで水ロケットを作って飛ばしました。
5年生の子ども達だからこそ、物理についてわからないところはありますが、飛ばしたときの経験をもとに各パーツの役割を考えながら、オリジナルロケットの作成も行いました。
各グループが「よく飛ぶ」だけでなく「回転させながら」「狙ったところに落とす」などの目標をもち、それに向けて最適なロケットを作る工夫を重ねることで、ものつくりの楽しさを味わいながら、協力して取り組む大切さを学べるようにしました。

(3)「夢を描いて・・・」
活用した資料(上記5・6)
 (活動1)JAXAの仕事について調べよう
 (活動2)JAXAではたらく人々の思いについて考えよう
 (活動3)実際にインタビューして確かめよう(今後の予定)

 ものつくりの活動だけに終わらず、はたらく人々の気持ちにせまることで、生活を支える仕事として活躍する人々に憧れを感じたり、はたらくことに夢を描いたりできるように計画しました。
まず、JAXAではたらく人々の仕事について学び、宇宙に関係する仕事がどのように自分たちの生活につながっているのかを調べました。その調べたことをもとに、どのような努力をしているか、どのようなたいへんなことを乗り越えているかなどを話し合い、予想しました。
可能であれば電話によるインタビューやスカイプによるテレビ会議等により、直接その人たちと会話し、触れ合いながら思いについて考えていきたいと思っていますが1月現在交渉を進めているところであり、今後の予定として記録をしておきます。
※ 指導計画または指導案をページ下に添付。
・ 研究授業まとめ(1月現在のもの).pdf
 子どもたちは始め「傘袋ロケットは簡単に飛ぶ」と思っていたようでしたが、中々翼のつけ方に苦労している様子でした。また、使って良い画用紙の枚数に制限をかけていたため、必然的に近くの子と協力して作らなければ材料が足りなくなることに気付き、自然と自分たちでグループを作るようになり、話し合いながら問題解決を行う「チーム」が形成されてきました。
 その後の水ロケットでも、チームとしての協力ができていて、「作りたいもの」(○○すると格好いい等)とめあてに合わせて「作らなければならないもの」のバランスを話し合いながら決定していくことができました。苦労して作り上げたロケットが飛ぶ瞬間は、「歓声」ではなく「静寂」。勢いと苦労が実った瞬間であり、言葉もなく感動していた様子でした。結果、学習を終えてからも、「もっと作りたい」「まだ、新しいのを考えている」など、更に意欲的に取り組もうとする意識につなげることができました。
 また、ものづくり活動だけではなく、JAXAについても調べました。子ども達にとって宇宙についての仕事をしている人というのは特別で、自分たちがそのような仕事に関わることは夢物語のように思っています。実際に「宇宙」に興味をもつということは、そういう人たちへの憧れを感じたり、夢として追い求める気持ちをもてたりする子が現れるようになってもいいものだと思います。ホームページで調べてみると、実際にはたらいている人たちの子どもの頃について書かれている内容もあり、「自分たちでもできるかもしれない」という気持ちにつながったように思います。学習後「将来の夢が変わった」という子が現れ、聞いてみると「宇宙飛行士になりたい」「JAXAではたらきたい」と言っていました。宇宙への夢を強制する訳ではありませんが、こうしたきっかけを作るからこそ、「夢のひとつ」として子ども達の将来の可能性が広がっていくのだなと感じました。

授業・活動後の先生のご感想、ご要望など

  •  全員が理科や科学に興味があるというわけではないので、始めは「宇宙」について学ぶことに抵抗があった子もいました。しかし、傘袋ロケットの翼の付け方を工夫して飛ばしたり、実際に水ロケットが勢いよく上昇する姿を見たりしたことで、ほぼ全員が興味をもって学習に取り組めるようになりました。また、工夫しながら「自分たちの力で」ひとつのものを作り上げていく(「作る」ではなく「創造する」)楽しみを知ることができ、改良を重ねたオリジナルロケットを打ち上げた後も「まだ、続けたい」という声が多く聞かれました。実際の宇宙開発でも、誰かが作ってくれたマニュアル通りに同じものを作るのではなく、新しいものを開発していかなければなりません。そうした、ものづくりの楽しさとそれに必要な工夫する力や協力する姿勢を学ぶことができていたように思います。
     また、単にものづくりだけで終わらすのではなく、はたらいている人々の気持ちにせまって学習を進めたことで、子ども達自身にとって遠い存在であった「宇宙」が、職業として選択できる「夢」として感じられるようになったと思います。5年生の社会科では農業や漁業、工業といった各種産業について学びます。しかし、宇宙開発のようにそれらの産業をつないだり、支えたりしている技術について学ぶことは稀です。こうした産業について学び、働くという点で、努力を重ねれば誰にでも可能性があることを今回の学習で学べたように思います。科学分野はどうしても、大掛かりな実験や視聴覚教材に頼ってしまいがちなのですが、こうした視点から、教室でも学習を進めることができることを自分でも改めて気づきました。
     しかし、本年度、指導者の私自身が初めての宇宙教育への取組を行ったということもあり、試行錯誤の中、もっている資料をすべて使おうとする等、整理できていないところがあり、子ども達は知識の本流に戸惑う場面も見られました。今後は、目的に応じて資料を使う場面や量を吟味していく必要があると考えています。

授業の様子

授業の様子1
かさ袋ロケット制作風景
授業の様子2
水ロケット制作風景
授業の様子3
「はたらく人々」授業風景
宇宙を活用した教育実践例実績一覧

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