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2006年度 第57回IACバレンシア大会

後列左より 中島・三浦・横堀・大本・大平
中列左より 池田・鶴田・山口・大谷・福永・杉本・吉川
前列左より 南部・井上・澤井・原・山下・肥後
派遣期間
平成18年9月30日(土)~10月10日(日)
派遣先
スペイン バレンシア市 International Astronautical Congress(IAC)2006会場(芸術科学都市La Ciutat de les Arts i les Ciencies)他

主なスケジュール

日付
内容
10月1日(日)
IAC2006学生プログラム・オリエンテーション→夕食会
2日(月)
3日(火)
IAC・Lunch Event・ワークショップ等出席→Culture Night等出席
4日(水)
IAC・Lunch Event・ワークショップ等出席→How to cook Paella等出席
5日(木)
IAC・Lunch Event・ワークショップ等出席→JAXA派遣学生による水ロケットワークショップ(Day1)開催(写真1写真2
6日(金)
IAC・Lunch Event・ワークショップ等出席→JAXA派遣学生による水ロケットワークショップ(Day2)開催→Student Party
7日(土)
CANSAT/Rover Demonstration(写真1写真2

参加者の声「第57回IAC大会に参加して」

※ 下記執筆者の所属等についてはIAC大会参加時(平成18年10月現在)のものです。

東京大学 大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻
修士2年 井上 朋香

IAC2006バレンシア大会に参加する事で、私は非常に強い刺激を受け、素晴らしい経験をさせていただきました。ここでの経験は生涯忘れる事はなく、今後の私の人生に大きな影響を与えるものであったと確信しています。このような機会を与えてくださった事に、深い感謝の気持ちでいっぱいです!

IACでは、非常に広い分野にまたがる宇宙関連の発表を聞く事ができます。自分の専門分野である惑星科学の発表では、海外の探査についてのリアルタイムな話題が非常に刺激的でした。一方、私は、自分の視野を広げ、今後自分がどのような形で宇宙と接していきたいかを真剣に考えたいと思っていたので、専門外の分野の発表も積極的に聞きに行きました。ほとんど背景も知らないような分野の発表を英語で聞く事は非常に困難を伴いましたが、分からなかった事はできる限りノートに書き取り、後で辞書を使って復習するなどの工夫をし、理解するように努めました。その中で一番興味を抱いたのは、東南アジアなど発展途上国での技術開発や教育活動に関する発表です。この発表を聞いて、宇宙活動を通して、地球での生活がより豊かになる可能性について考えさせられました。

また、海外の学生との交流をはかる一つのアイデアとして、私たちは、ISZ(International Student Zone、学生ブース)に、日本の駄菓子をおこうという計画をたてました。学生間で使われているメーリングリストを用いて事前に打ち合わせをし、参加学生全員の協力でその計画を実行することができました。この計画は非常に好評で、海外の学生との交流はもちろん、海外のスタッフの方々やスペインの子ども達との交流にも役立ち、世界中に友情の輪を広げられたと思います。

さらに、日本人学生の提案で、スペインの子供達と、現地で一緒にペットボトルロケットを作り、打ち上げました。打ち上げが成功したとき、子どもたちは目を輝かせて喜んでいました。子どもたちは本当に純粋で、ほとんど言葉も通じない私達に一生懸命スペイン語を教えてくれて話かけようとしてくれました。言葉の壁を越えた交流が楽しくて仕方ありませんでした。

今回のIACに参加する事で、理学、工学、医学、経済、経営、法律、教育、芸術など、多くの分野から『宇宙』と関わっている方々とも接する事ができ、同じ志を持つ多くの仲間と出会う事ができました。この絆は一生の財産であり、これからも深く繋がっていたいと思いました。今後もこのIACで知り合った友人達とモチベーションを高め合い、宇宙開発に関わり続けたいと強く感じました。

最後になりましたが、引率者として最後まで暖かい目で私達を見守ってくださったJSFの安藤さん、羽生田さん、また、JAXA教育センター広浜さん、知久さん、並びに関係者の方々に、この場をお借りして厚くお礼申し上げます。ありがとうございました!

水ロケット大会の様子
水ロケット大会で(筆者-後列左)
日本のお菓子で国際交流
日本のお菓子で国際交流

早稲田大学 大学院 理工学研究科 機械工学専攻
修士2年 横堀 慎一

IAC学生派遣プログラムは、積極性と情熱さえあれば、どんなチャンスもつかむことができるというのが、昨年の福岡大会を含む2度のIACを経ての、率直な私の感想です。

「宇宙教育の本当の目的は何ですか」

学生派遣プログラムの一貫として、ESA、NASA、CSA、JAXAの宇宙教育センター長が、私たち派遣学生のために設けてくださった質問会で、私がこう聞いたことがきっかけとなって一つのチャンスが生まれました。

質問会の後にNASAの教育関係者の方が私に、「良い質問だったよ」と話し掛けてくれ、通常、学生では参加できない、宇宙教育に関するwork shopに招待してくださったのです。その場を通して、知識や情報を得ることができたのはもちろんですが、教育という「次代を創造する」プロジェクトに関わる緊張感や責任感を肌で感じることができたことが、私にとって最大の収穫でした。

また、各国宇宙機関の学生と交流する機会も多くあり、お互いの夢や将来の宇宙開発について語り合ったり、同世代の一友人として、学術セッションの終了後に夕食を共にしたりすることで、大いに友情を深めることができ、今でもインターネット電話やE-mailを媒体として、その友情は続いています。

これらの経験は、文字通り私の「人生を変える」ものとなりました。また、その意義を確固たるものとするために最も大切なことは、IACを単なる思い出にしないことであると私は考えます。宇宙という壮大な対象を前に、己はそのどの分野に関わり、発展させることで社会に貢献していくべきかを自らに問い続けることで、IACを人生の一部にしていこうと考えています。

私の将来の目標は、国内外の友人たちと、1人の人間同士として育んだこれらの友情を、さらにさらに深めゆくことで、私自身が将来の国際協力を必要とする宇宙開発の潤滑油となることです。また、私たちより後に大人になって、未来を作っていく次の世代に、宇宙の魅力を伝えることで、科学への関心や、地球や他者を思いやる心を育んでいく一助になりたいと考えています。

最後になりましたが、このような素晴らしい機会を与えてくださった、関係者の皆様に、厚く御礼申し上げます。

各国からの参加学生と
各国からの参加学生と(筆者-中央)
水ロケットワークショップに参加した小学生と
水ロケットワークショップに参加した小学生と

東京大学 大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻
修士2年 南部 陽介
-よく学び、よく話し、よく食べ、よく飲み、あまり寝てない10日間-

1.はじめに

僕は、宇宙がもっと身近な存在である世界を夢見ています。そして、そのような世界を実現するために、僕がすべきことは何か、僕に出来ることは何かと常々考えています。今回、本プログラムに参加した背景には、そういった思いがありました。IACでの体験が、将来歩むべき道、あるいは今歩むべき道を見出すきっかけになると期待してのことです。

IACにおいて体験したかったことは、大きく分けて2つありました。ひとつ目は、宇宙開発の現状を把握し、さらなる発展のために今後注目されそうな取り組みを知ることです。技術だけではなく、政策や法律などの発展についても知りたいと考えて、参加計画を練りました。もうひとつは、今現在、宇宙と真剣に向き合っている方々と出会い、話を聞くことです。現場で働いている方々はもちろんのこと、同世代の人間が宇宙開発の現状と未来をどの様に捉えているのかを知る良い機会であると考えました。

以下に、本プログラム参加の結果報告を記します。

2.本プログラムに参加したことにより得られた成果

IACで、まず驚いたことは、その規模です。話には聞いていましたが、肌で体験して初めて、その大きさが分かります。世界中には、この何倍もの人々が、人類と宇宙とを結びつけるために働いていると考えると、畏敬の念を覚えると共に、鼓動の高鳴りを禁じえませんでした。また、会場では、色々な国の宇宙機関や企業が展示を出展しており、いま、世界規模で宇宙への関心が高まっていることを実感しました。僕が生きる時代は、それを望むすべての人が宇宙を利用できるような世界への架け橋となる時代であると確信しました。モチベーションは最高潮です。

テクニカルセッションでは、主に、自分の研究に直接関係する構造系セッションと、それまで全く未知の分野であった宇宙法のセッションに参加しました。構造系セッションでは、本プログラムとは独立に、口頭発表も行いました。国際学会での発表は初めてだったので、とても良い勉強になりました。国際学会では、言葉の不利を補うために、極力、言葉がなくとも理解されるスライドを作るなど、言葉以外の要素に注意して発表することになります。その結果、普段とは異なる側面から自分のプレゼンを眺めることが出来ました。

ひとつ心残りだったことは、質問ができなかったことです。発言する勇気がなかったというよりは、発表者の話している内容が殆ど理解できなかったという方が正確な理由だと思います。毎晩、本プログラムに同じく参加している、NASA、ESA、CSAからの派遣学生数名と呑み歩き、それなりの意思疎通は出来ていたと自負しています。しかし、口頭発表は、よほど上手な発表を除き、殆ど理解できませんでした。英語を聞く力が不足しているのだと痛感しました。宇宙法のセッションについても同様で、内容を理解するには至りませんでした。

以上のように、宇宙開発の現状を把握するという第一の目標は、英語力が足を引っ張り、達成度は50%が良いところでしょう。しかし、この経験によって、自分の弱点が見えたことは、非常に価値ある成果だと思います。またセッション中、宇宙関係の仕事に従事する幾人かの日本人と知り合うことができ、帰国後、そのコネクションから新しい環境へ入り込むことが出来ました。国際学会だからこそ生まれ易い日本人同士の繋がりもまた、大きな成果のひとつだと思います。

第二の目標は、第一の目標よりも達成度が高かったと思います。各国の宇宙開発機関の最高責任者が一堂に会したプレナリーセッションは大変刺激的でした。異口同音に国際協力の重要さを唱えていたことから察するに、国際協力を先導できる組織になることが、今後、宇宙開発機関が発展するための鍵となるのでしょう。科学の髄を集めたというだけではなく、世界中に潜在するユーザの需要に則した宇宙開発など、皆が協力したくなるような宇宙開発が大切になって来ているという印象を受けました。

同世代との交流については、IACの時間外に行われた数々の自主的な飲み会のおかげもあり、ほぼ理想通りに行えたと思います。日本も含め、色々な国の大志ある若者と話し、たくさんの刺激、情熱、目標、価値観、そして友情に触れ合うことが出来ました。宇宙ベンチャーを立ち上げたという人もいました。X prizeに協力しているという人もいました。宇宙飛行士を目指す人、その医者を目指す人、技術者を目指す人、研究者を目指す人、教育者を目指す人、世界平和を願う人。それぞれが、それぞれの思いを持って、このプログラムに参加し、それぞれの体験から、それぞれのことを学んで帰って行く。そして、いつの日か、それぞれの生き場所を見つけ、人類と宇宙を繋ぐ橋の礎となる。独りではない。IACを通じ、たくさんのことを学んだけれど、多くの同志と知り合えたことこそ、最大にして最高の成果だったと思います。

3.結果

IACでの経験は、僕の体内で種となり、いま、芽を出そうと必死に頑張っています。今後は、これらの種や芽を丁寧に育てて行こうと思います。まずは、今回、国際学会を通じて明らかになった弱点を少しずつ克服して行くつもりです。また、バレンシアで得たコネクションを活かし、これまで足を踏み入れたことのない分野へ知見を広めに行こうと考えています。

帰国後、ひとつ予期せぬ変化が僕の中にありました。元来、僕は、負けず嫌いではあるのですが、勝つことに対し殆ど執着がなく、いまひとつ貪欲さが欠けていました。しかし、バレンシアから帰って来て、今までにはなかった貪欲さを感じています。その貪欲さは、きっと、何か良い方向へ僕を導いてくれる気がしています。

今はまだ、IACから日も浅く、そこでの体験が、今後、どのように僕の人生に影響してくるかは分かりません。今はただ、IACで知り合った同志に、再びどこかで出会ったとき、胸を張って、互いの成長を称え合えるように、しっかりと前を見据えて、精一杯に生きて行きたいと思います。

4.おわりに

宇宙開発は、人類の生活と価値観を大きく変えるものです。いまはまだ、直接宇宙を利用している人々は一部だけで、多くの人は、よく分からないところで、知らず知らずのうちに宇宙を利用しています。しかし、インターネットの世界に、Web 2.0の風が吹いたように、宇宙もまた、すべてのユーザがその意思を持って利用できるような時代が、近い将来に来るものと信じています。そのような時代へ進歩するため、今後の宇宙開発が、人々が使いやすい人々のための宇宙開発であること、そして、すべての人が参加できる宇宙開発であることを期待しています。

最後に、プログラムの間中ずっとお世話になった、日本宇宙フォーラムの安藤さん、羽生田さん、色々とご苦労をお掛け致しました。最高の体験を、本当にありがとうございました。日本宇宙フォーラムと宇宙教育センターの素晴らしい企画に、心より感謝致します。

IAC会場が見えた!!
IAC会場が見えた!!
コングレスバッグを手に入れた!
コングレスバッグを手に入れた!(筆者-右)
宇宙飛行士と愉快な仲間たち
宇宙飛行士と愉快な仲間たち
ハイライトレクチャの様子
ハイライトレクチャの様子

慶応義塾大学 理工学部 システムデザイン工学専攻 4年 中島 佑太
(Keio CanSat 2006 Team Wolve’Z Project Manager)

2006年8月に秋田県能代市で開催された「能代宇宙イベント」でのカンサットカムバックコンペティションにおいて、幸運にも私達のチームは初参加ながら優勝することができました。その結果を受けて、CanSatデモンストレーターとして、私も他のJAXA派遣学生の皆様と一緒にIAC2006に参加させて頂きました。

国内学会の参加経験もないまま、国際学会へ乗り込んで行った訳ですが、最先端の研究成果を聞いたり学生向けのレクチャーやプログラムを体験したりと、期間中はとても多くの刺激を受け、その全てが今後の自分の進むべき道を考える貴重な財産となりました。この報告書では、カンサットデモンストレーションに絞ってご報告させて頂きます。

本業のカンサットデモンストレーションでは、現地についてから、カンサットのモーターが故障してしまうというトラブルがありましたが、地元組織委員会の方々の多大なる協力のおかげで、バレンシア市内を駆け回り、無事に代わりのモーター(日本製!)を入手することができました。膨大な仕事を抱える中で、自分のことのように真剣に考え、協力して頂いたLOCのJuliaさんに心より感謝申し上げます。

ホテルで夜を徹しての回路製作、プログラム調整作業を終えて、バレンシアの日の出を見たときは、早朝、中須賀先生に引き連れられて運営準備に走り回った能代での熱い夏を思い出しました。まさか、情熱の国スペインの地で徹夜でカンサットと向かい合う日が来るとは、4月に情熱だけでプロジェクトをスタートした頃には想像つきませんでした。

デモ当日は、中須賀先生、ESAスタッフの協力の元、3回の打上げチャンスを与えていただき、ヨーロッパの学生に日本での活動を紹介できたことをうれしく思います。最後の打ち上げでは勢いあまってカンサットがスペイン風な木に引っかかってしまいましたが、世界の宇宙機関のコラボレーション作業により、無事回収することができました。

ヨーロッパでは、日本ほど盛んにカンサットは行われていないようでしたが、それでも僕らと同じように現地で試行錯誤し、最終調整に励む学生に出会いました。お互い、カンサットという共通の活動をしているため、情報交換をしているうちに意気投合し、帰国後も連絡を取り合っています。彼らを始め、世界各国から参加した自分と同じように宇宙への熱い想いを持つ仲間と出会えたことは、とても素晴らしい経験になりました。

今回、カンサットデモンストレーションを行うにあたって、JSF安藤さん、羽生田さんには、日本からの輸送に関わる手続きから始まり、現地での生活面のサポートなど、大変お世話になりまして,本当にどうもありがとうございました。

最後になりましたが、カンサットを通じて、IAC2006への参加という素晴らしい機会を与えて下さった、中須賀先生、川島レイさん始め、UNISECの皆様方に心より感謝申し上げます。

CANSATによる研究交流ヨーロッパの学生と
CANSATによる研究交流ヨーロッパの学生と(筆者-右)
日本から駆けつけた慶応義塾大のチームメイトと
日本から駆けつけた慶応義塾大のチームメイトと

東北大学 大学院 工学研究科 航空宇宙工学専攻 博士課程前期 1年 吉川 岳
(Keio CanSat 2006 Team Wolve’Z Project Manager

本大会へ参加するきっかけとなったのはARLISSという宇宙教育プログラムに参加したことです。ARLISSとは、缶サイズの模擬人工衛星を作製しアマチュアロケットで3~4km上空まで打ち上げてミッションを行うプログラムです。1999年から毎年、アメリカのネバダ州の砂漠でアマチュアロケットグループの協力を得て行われています。

その事前審査会として秋田県能代市で能代宇宙イベントと題したコンペティションが行われました。その大会の優勝賞品というのがIACバレンシア大会でCANSATデモンストレーションをする権利でした。

世界の宇宙研究・宇宙開発等の動きはどうなっているのか、私にはニュースやウェブサイトで知ることができる程度でした。IACへの参加はそれらを直に経験できる良い機会と思い、私達のチームがローバー部門で優勝したときは迷わず参加を決めました。

CANSAT(ローバー)デモンストレーションはIAC最終日の翌日に予定されていたため、IAC期間中にInternational Student Zoneという場所でローバーの動作チェックなどを行っていました。ヨーロッパの学生もCANSATを1機持って来ており、隣で調整をしていました。彼らは非常にフレンドリーで、初対面でも気兼ねなく話しかけてくれます。CANSATの話は、今まで日本の学生とだけだったので、ヨーロッパの学生がどのように考え、どういうシステムで作製しているか興味がありました。話を聞いていると、CANSATの構成や実験方法などが、私たちが行ったことのない方法を採用していたりもしました。

また、昨年のIAC福岡大会でヨーロッパの方々はCANSATに刺激を受けたそうで、世界大会も考えているそうです。そのために本IACではCANSAT世界大会に向けてのワークショップも開催されました。デモンストレーション当日、IACは前日に終わったためかなり不安でしたが、実際には30人近くの方々が見にいらっしゃいました。私たちのローバーは地上からのスタートで、気球から投下するCANSATとは若干地味な気もしたのですが周りの方からは好評をいただき、重責を果たすことができました。その夜にはヨーロッパの学生と食事もし、自分の国の話や宇宙に関する話などをしました。

今回、セッションやワークショップへの参加、デモンストレーションを通して、「①英語の重要性、②各国の国民性の違い、③日本の宇宙技術の高さ」に大きく印象を受けました。

世界各国の方々とコミュニケーションを取れる手段は英語であるのは知っていたつもりなのですが、英語を母国語としないヨーロッパ人同士が英語で流暢に会話をしていることに驚きました。ヨーロッパの言語は英語と似ているとはいえ、外国語であることに変わりはありません。実際、現地のスペイン人は英語で話しかけても通じませんでした。私は日常会話程度なら何とかできたのですが、専門的な話になると全く話についていけませんでした。一方で、彼らの発音も巻き舌が混じっているなど、ネイティブ並みにできるわけではないこともわかり、発音が下手でも通じるように努力することが大切であると感じました。普段から、英語は重要であると感じていながら特に何もしていませんでしたが、これを機に本格的に勉強をしてまいります。

国によって国民性が大きく異なっていることも、特に開催国であったスペイン人の気質が印象的でした。国際大会であるにも関わらず、CANSATデモンストレーションの詳細が当日の2日前に決まったり、プレゼンテーションの開始時間が何時間もずれたり、シエスタの時間に行われたワークショップにスタッフが来なかったりと、日本では考えられないような事態が何度も起きました。それに対して、同行してくださった先生方は寛容で非常に落ち着いていらっしゃいました。国際協調が重要な宇宙研究開発では、他国の文化や国民性を知り、理解することも重要であると感じました。

そして、今回のIAC参加で確認したいことが1つありました。私は、現在の研究室に配属された当初は、何もかもが新しく非常に新鮮でした。しかし日にちが経つとこれらの研究はできて当たり前というように感じてしまい、日本の宇宙研究・開発のレベルが世界でどのように評価されているのかがわかりませんでした。そこで、様々なセッションに参加し、また他国のCANSATについて作製グループに質問をしました。そして、彼らの研究や作製したCANSATはもちろん素晴らしいものでしたが、日本のそれらも決して負けていないということを実感しました。このことは自分の研究への自信やモチベーションにつながりました。

プレゼンテーションやワークショップの合間には、小型衛星とスペースデブリに関するテクニカルセッションや各国のエキシビジョンセッションのブースに足を運びました。私の研究とは方向性が異なるため、今後の研究に対して技術的に反映させるのは、残念ながら難しいと感じました。しかし、コミュニケーション・マネジメントの大切さや世界各国の動向を知ることができました。コミュニケーションやマネジメントは今後の研究に対してのみに限らず、これから先どこでも重要な要素です。それらの重要性を学生の間に認識できたことは今後の活動への指針になると考えています。

本IAC大会ではCANSATデモンストレータとして数多くの貴重な経験ができました。また宇宙に感心を持っている、かけがえのない多くの友人ができました。彼らと話をして、宇宙は自分の専門分野である工学だけではないという当たり前のことも痛感しました。これらは、学会で技術面を学ぶことよりも遥かに素晴らしいことで価値のあることです。

最後に、IACにお招きくださったJAXAの方々、スケジュールの調整など様々な面倒を見てくださったJSFや各国の宇宙機関など、多くの関係者方に心からお礼申し上げます。


IAF事務局長Philippe Willekens氏・東大中須賀教授と
IAF事務局長Philippe Willekens氏・東大中須賀教授と(筆者-中央)
目標地点と東北大玄孫チームのローバー「マモルくん」
目標地点と東北大玄孫チームのローバー"マモルくん"

第57回IACバレンシア大会(IAC2006) Student Participation Program

第57回IACバレンシア大会では、IAC2006LOC(地元組織委員会)の協力により、人材交流、専門家・学生の研究紹介の場としてInternational Student Zone ;ISZ(国際学生ゾーン)が設置され、ESA、NASA、JAXA、CSA協力の下、「IAC2006 Student Participation Program」として学生対象の様々なプログラム (Poster Session・Lunch Event・Workshopや恒例のStudent Party)が実施され、各宇宙機関より派遣された学生約130名(JAXA:18名・ESA:80名・CSA:20名・NASA:14名)が参加しました。各プログラムについて以下のとおり報告します。

International Student Zone ; ISZ(国際学生ゾーン)

各国学生の研究活動をPoster Sessionで紹介しましたプレゼンテーションエリアでは、Lunch Eventや午後のワークショップで専門家によるレクチャーや研究発表、情報提供が行われました。

Poster Session
Poster Session
Presentation Area
Presentation Area
聴講中
聴講中

JAXA派遣学生による水ロケットワークショップ

平成18年10月5日~6日の2日間、IAC2006LOCに協力し、JAXA派遣学生主導による地元の小学生・高校生対象の水ロケットワークショップを実施しました。“ワークショップ終了後も、現地で容易に水ロケットが楽しめることのできる宇宙教育普及活動を実行しよう!"という総研大修士1年の三浦さんの呼びかけ通り、材料のオール現地調達、水ロケットの製作、打上げ実演まで、言葉の壁を越えた派遣学生の新しい試みは、地元のテレビ取材を受けるほどの反響となり、参加者の好評を博しました。

JAXA派遣学生の綿密な打合せ
JAXA派遣学生の綿密な打合せ
三浦さんのリードで作り方を伝授
三浦さんのリードで作り方を伝授
ロケット発射試験中
ロケット発射試験中
TV取材の様子
TV取材の様子

国際宇宙法学会(IISL)への協力

本派遣プログラムでは、2001年よりIISL主催の「マンフレッド・ラクス宇宙法模擬裁」に協力し、アジア・太平洋地域予選通過チームの学生2名をIAC会期中に実施されるワールド・ファイナル・コンペに派遣しています。本年の地域代表オークランド大学(NZ)からの派遣学生2名は、ワールド・チャンピオンという輝かしい成績を修めました。

国際宇宙法学会(IISL)への協力について詳しくはこちら

オークランド大学(NZ)の学生とJAXA派遣学生大本さん
オークランド大学(NZ)の学生とJAXA派遣学生大本さん
模擬裁判会場(法廷)の様子
模擬裁判会場(法廷)の様子

CANSAT/Rover Demonstration

本派遣プログラムでは、将来、ワールドコンペを実施することを検討しているESAからの要請により、第2回能代宇宙イベントで実施されたCANSATカンバックコンペ(フライバックコンペ)およびローバーコンペの優勝校である東北大学・慶応義塾大学より学生各1名を派遣し、10月7日(土)にバレンシア工科大学キャンパス内の陸上競技場においてデモンストレーションを実施しました。

CANSAT/Rover Demonstration写真1
CANSAT/Rover Demonstration写真2
CANSAT/Rover Demonstration写真3

当日は、東京大学大学院中須賀研究室の協力を得て、派遣学生が気球から、350ml缶サイズの手作り人工衛星やローバーを放出し、パラシュートにより、目標点に自律的に落下させるところをデモンストレーションしました。通常、コンペでは、着陸地点と目標地点の距離で評価するチーム対抗戦となります。

デモンストレータ派遣学生の報告

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