授業連携

わたしたちのロケットを高く打ち上げよう

岡山県・倉敷市立乙島東小学校

  • 小学校
  • 小1
  • 小2
  • 小3
  • 小4
  • 小5
  • 小6
  • 総合的な学習の時間

概要

<全授業を通した指導目標>

日本のロケット打ち上げの歴史を知るとともに、自分たちでロケットを作って打ち上げる体験を通して、宇宙科学やロケット工学の一端に触れることにより、興味・関心を高めるとともに、視野を広げて宇宙規模で自分たちの世界を見つめ直すことができるようにする。

<対象>

小学1~6年生 182名

<期間>

平成22年12月3日~平成23年2月24日

<区分>

総合学習の時間

構成表

実施日
時間
形式
人数
授業内容
1
90分
1.講義
182名
講義『最新の宇宙科学』(45分)
対象:全校児童
講師:竹前 俊昭
(JAXA宇宙科学研究所宇宙航行システム研究系 助教)
2.授業
授業『ロケットの飛ぶ仕組みを考えよう』(45分)
対象:第6学年児童
講師:竹前 俊昭
(JAXA宇宙科学研究所宇宙航行システム研究系 助教)
2
90分
授業
31名
『「あかつき」最新情報』
『水ロケット打ち上げについて』
本校HP内JAXA情報コーナー制作・監修
対象:第6学年児童
講師:竹前 俊昭
(JAXA宇宙科学研究所宇宙航行システム研究系 助教)
3
90分
授業
31名
『いろいろなロケットを飛ばしてみよう』(水ロケット)
対象:第6学年児童
講師:竹前 俊昭
(JAXA宇宙科学研究所宇宙航行システム研究系 助教)
4
90分
授業
31名
『ロケットをさらに高く飛ばしてみよう』(モデルロケット)
対象:第6学年児童
講師:三島 和久
(倉敷市教育委員会 倉敷科学センター 主任)

第1回目/全4回『授業記録シート』

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
指導上の留意事項
展開
(90分)
1.講義『最新の宇宙科学』(45分)
 対象:全校児童
 講師:竹前 俊昭
(JAXA宇宙科学研究所助教)

2.授業『ロケットの飛ぶ仕組みを考えよう』(45分)
 対象:全校児童
 講師:竹前 俊昭
(JAXA宇宙科学研究所助教)

授業の感想・メモ

  • 全校対象の講義では、小惑星探査機「はやぶさ」の打ち上げから帰還までを具体的な資料を使いながらお話していただいた。1年生から6年生までが体育館に集まって、お話をお聞きしていると急に雷鳴や激しい雨の音が轟いたが、その子もお話に集中していて、しっかりと耳を傾けていた。普段聞くことのできない宇宙開発のお話を実際にそのお仕事に携わっておられる方から直接お聞きでき、とても貴重な体験ができたように思う。
  • 6年対象の授業では、ロケットの飛ぶ仕組みについて、プレゼンや実験を行いながら分かりやすく説明していただいた。竹前先生は、以前に民放の番組で、ロケット推進(作用・反作用)について出演して説明されたこともあり、児童にとって難しいと思われる概念もよく理解できたようであった。この授業を経て、子どもたちはロケット打ち上げへ見通しをもつことができ、今後の活動への意欲を高めることができたようである。

第2回目/全4回『授業記録シート』

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
指導上の留意事項
展開
(90分)
授業(90分)
 1.『「あかつき」最新情報』
 2.『水ロケット打ち上げについて』
 3.本校HP制作・監修
 対象:第6学年児童
 講師:竹前 俊昭
    (JAXA宇宙科学研究所助教)

授業の感想・メモ

  • 水ロケットの打ち上げをする予定であったが、雨天のため、急遽、違う活動を行うことになった。
  • 数日前、金星探査機「あかつき」が周回軌道投入失敗を受けて、現在の「あかつき」の状況や6年後につながるミッションについてお話していただいた。前回の講義以降、JAXAの取り組む宇宙開発に興味をもつようになった子どもたちは最新の「あかつき」情報を真剣に聞いていた。
  • 延期して、1月14日に行うことになった水ロケットの打ち上げに関連して、水ロケットの構造や打ち上げ手順について、詳しく説明していただいた。各グループで機体は作製してあったので、その出来も確認していただいた。子どもたちは発射に向けて期待をさらに高めることができた。
  • 6年児童が本校HPにJAXA情報コーナーを作成しているので、アップロード前にその内容を確認していただいた。合わせて、JAXAのサイト内の画像の使用了解も得て、間違いのない質の高いHPに仕上げることができた。

第3回目/全4回『授業記録シート』

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
指導上の留意事項
導入
(20分)

講師:竹前俊昭 先生
(JAXA宇宙科学研究所 助教)
・「あかつき」最新情報
・本時のめあての確認
△竹前先生から「あかつき」の最新情報を聞く。

△水ロケットについて説明を聞いたり、打ち上げのルールを確認したりする。
・学校サイトで紹介することを伝え、聞き漏らしのないようにさせる。

・前回の講義を想起させることにより、水ロケットの飛ぶ仕組みについて、理解をさらに深めることができるようにする。

・打ち上げのルールを説明することにより、見通しをもつことができるようにする。
展開
(55分)
・水ロケット打ち上げ
△目標地点に正確に到達するように練習用水ロケット3機を打ち上げる。

◎計測する。

△練習を生かして、本番用水ロケット3機を打ち上げる。

◎計測する。

◎結果を集計する。
・飛行距離を測定し、飛行状態を確認できるようにする。

・話し合いの場を設定し、どう改良すればよいか十分に検討させる。

・どう改良すればよいか分からないグループには、改良の視点を伝えたり、講師の先生に助言していただくように声かけをしたりする。

・条件制御をしやすいように、変えることのできる条件は、水量と空気圧の2つに限定し、発射角度は固定する。
まとめ
(15分)
・本時のまとめ
◎目標地点に正確に到達できたグループを紹介し、表彰する。

△活動のふり返りをする。

△竹前先生のお話を聞く。
・計測結果を伝え、目標地点に正確に到達したグループを表彰することにより、自分たちの活動をふりかえり、満足感をもって活動を終えることができるようにする。

授業の感想・メモ

  • ほとんどの児童が水ロケットを初めて作り、初めて打ち上げた。製作については、事前にJAXAから作り方の資料と材料を送っていただいたので、どのグループも手際よく作製することができた。また、JAXAのオリジナル発射台や打ち上げ管制システムを使用して、本格ロケットの打ち上げを疑似体験することもできた。「水量と空気圧の2点を工夫して目標地点に正確に到達させよう」というめあては、ロケット推進の仕組みを理解する上でも、問題解決能力を身に付けさせる上でも有効なものであった。どの児童も楽しく意欲的に打ち上げをおこなうことができてよかった。当日までの準備・立案、当日の運営には竹前俊昭先生、松岡均先生、立元恵先生、二ノ宮裕美先生と多くの先生方にかかわっていただいた。とてもありがたかった。

第4回目/全4回『授業記録シート』

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
指導上の留意事項
導入
(10分)
講師:三島 和久
(倉敷市教育委員会
 倉敷科学センター主任)

・モデルロケットについて
△モデルロケットの仕組みや打ち上げ方について説明を聞く。
・学校サイトで紹介することを伝え、聞き漏らしのないようにさせる。

・打ち上げ方についての説明をよく聞き、正確で安全に打ち上げることができるようにする。
展開
(70分)
・モデルロケットの作製と打ち上げ
△モデルロケットの作り方を聞き、作製する。

△モデルロケットの打ち上げを行う。

◎計測する。

◎結果を集計する。
・グループで協力して作製させることにより、自機への愛着をもちながらも正しくモデルロケットを作製することができるようにする。

・教師は発射地点の周囲の安全確認を行い、事故防止に努める。

・発射地点から回収地点までの距離を測定し、結果を確認できるようにする。

・話し合いの場を設定し、発射角度と方角をどうすればよいか十分に検討させる。
まとめ
(10分)
・結果発表と三島先生のお話
◎発射地点に一番近い場所で回収できたグループを紹介し、表彰する。

△活動のふり返りをする。

△三島先生のお話を聞く。
・計測結果を伝え、発射地点近くで回収できたグループを表彰することにより、自分たちの活動をふりかえり、満足感をもって活動を終えることができるようにする。

授業の感想・メモ

  • 火薬を使った本格的なモデルロケットの指導は、ライセンスを所有されている倉敷科学センターの三島和久先生にお願いした。三島先生のご指導のおかげでどのグループも手際よく作製し、安全に打ち上げを行うことができた。子どもたちは、風の影響を考えて角度と方角を工夫して2度打ち上げを行った。ほとんどのロケットが真っ直ぐ100メートルほど上空に上がり、パラシュートを開いて運動場に戻ってきた。この活動を通して、子どもたちは、ロケット工学、宇宙開発への興味・関心が高まるとともに、それに携わる人々の努力や熱意を身近に知ることができたように思われる。モデルロケットを使った授業は欧米では進んで行われているが、日本では長年避けられていた。今後、日本が宇宙に向けて進出していくためには、こうした学習を積極的に取り入れていく必要があることを強く感じた。

岡山県・倉敷市立乙島東小学校

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