教員研修

平成23年度福井県教員JAXA筑波宇宙センター研修会テーマ『高等学校における科学部顧問の指導力向上』

福井県・福井県教育委員会 高校教育課

概要

全研修を通した趣旨

(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)が保有する学校教育支援教材等を活用して、理科、数学に関係する活動を行っている部・クラブ・同好会等で継続的な科学実験や実習を行ために必要な知識・指導法等についての研修会を実施し、科学部顧問等の指導力向上を図る。

対象

高等学校理科教員および科学部顧問 10名

期間

平成24年1月23日~平成24年1月25日

構成表

実施日
時間
形式
人数
内容
1
190分
10名
70分
講義及び質疑応答
・オリエンテーション
・講義「JAXAの教育支援事業の紹介」
 講師:松岡 均(JAXA宇宙教育センター)
・教育活動等で使用された宇宙素材の紹介
・質疑応答
120分
講義及び質疑応答
・講義「宇宙から見た地球」
 講師:大木 真人(JAXA地球観測研究センター)
・実習「画像解析実習(1)」
・地球観測衛星「だいち」のとらえた画像から読み取れる地球の姿についての講義
2
180分
講義、実習および質疑応答
10名
・講義「宇宙から見た地球」
 講師:大木 真人(JAXA地球観測研究センター)
・実習「画像解析実習(2)」
・データから画像を作成し、環境教育等について考察する。
・プレゼンテーション
3
210分
10名
150分
講義および質疑応答
・講義「無重力実験」
 講師:高沖 宗夫(JAXA環境利用センター)
・国際宇宙ステーションで行われている微小重力下での実験についての講義
・「無重力実験装置」を使った実演
60分
見学
・JAXA筑波宇宙センターの施設見学
・施設見学ツアー「宇宙飛行士コース」

福井県・福井県教育委員会 高校教育課

第1回目/全3回『研修会記録シート』

実施日
1月23日
合計時間
190分
参加数
10名
時間配分
研修内容
受講者のようす・感想
研修の感想・メモ
講義
(70分)
・オリエンテーション
・講義「JAXAの教育支援事業の紹介」
 講師:松岡 均(JAXA宇宙教育センター)
・教育活動等で使用された宇宙素材の紹介
・質疑応答
理科の分野だけではなく、宇宙に関わるものを題材とした内容を吟味すれば、すべての教科でJAXAの支援を受けた授業が展開できる。
教材・教具の提供、専門家の派遣等、JAXAから支援を受けることができることを学んだ。
学校・教員と計画を立て連携して授業を構築するスタイルに感銘を受けた。
講義
(120分)
・講義「宇宙から見た地球」
 講師:大木 真人(JAXA地球観測研究センター)
・実習「画像解析実習(1)」
・地球観測衛星「だいち」のとらえた画像から読み取れる地球の姿についての講義
人工衛星を用いたリモートセンシングについて講義を受けた。様々な貴重な画像を初めて見ることができた。
環境問題が社会問題となって久しいが、全地球規模での観測ができる衛星による解析は、今後さらに活用されていくことだろう。

授業の感想・メモ

  • 最先端研究施設のJAXAに対して、教員がその敷居の高さに身構えをしてしまうところがあるが、今回の講義を通してJAXAを身近に感じることができるようになった。研修に参加した教員から、「宇宙速度の計算」「飛行機の設計」「無重量空間における考察思考実験」といった授業実践案も報告されている。今後のJAXAとの連携が期待される。

福井県・福井県教育委員会 高校教育課

第2回目/全3回『研修会記録シート』

実施日
1月24日
合計時間
180分
参加数
10名
時間配分
研修内容
受講者のようす・感想
研修の感想・メモ
演習
(180分)
・講義「宇宙から見た地球」
 講師:大木 真人(JAXA地球観測研究センター)
・実習「画像解析実習(2)」
・データから画像を作成し、環境教育等について考察する。
・プレゼンテーション
コンピュータを使い、衛星画像の解析を行った。
福井県の画像や東日本大震災前後の東北地方の画像、桜島噴火の様子がわかる画像などを実際に見ながら加工していくことで、衛星画像の利用方法や応用の可能性を探ることができた。
JAXAから解析ソフトと画像を提供していただければ、学校にあるPCでも実習でき、高校生のレベルでも十分活用できる。
テレビで目にする気象衛星ひまわりの画像もこのプロセスを経ていると思うと,自分でその処理ができることは感動的であった。身近なものがコンピュータ処理されたものであるという現実は生徒にとっても新鮮であろう。

授業の感想・メモ

  • 「画像解析実習」は、過去にさかのぼってデータを検索・比較することにより、経年変化や季節変化を詳細に再現することができる。また地上での少人数による調査では不可能な広範囲の環境変化を明らかにすることができるといった点で非常に有効である。一方で、十分に活用するためには、データの入手費用の問題やデータの検索等の点で解決しなければならない課題もある。

福井県・福井県教育委員会 高校教育課

第3回目/全3回『研修会記録シート』

実施日
1月25日
合計時間
210分
参加数
10名
時間配分
研修内容
受講者のようす・感想
研修の感想・メモ
講義
実習
(150分)
・講義「無重力実験」
 講師:主幹研究員 高沖宗夫(JAXA環境利用センター)
・国際宇宙ステーションで行われている微小重力下での実験についての講義
・「無重力実験装置」を使った実演
ハイスピードカメラと身近な材料を使った手作りの実験装置の中に様々な工夫が込められていて、講師の熱意とこだわりを感じた。
身近なプラスチックコンテナケースやスポンジ、かまぼこの板など身近な材料でできるだけに、高校の部活動で実施可能な実験である。予算や設備の充実していない学校でも十分取り組めるテーマである。
わずか0.5秒程度の短時間の「無重量」ではあるが、ハイスピードカメラと組み合わせることで、予想外の結果となることもあり非常に興味深い。
カメラのメモリーカードにWiFi無線機能付きのものを用いると、無線LANでデータをパソコンに送ることができ、実験データをスピーディーに扱うことが可能となる。
見学
(60分)
・JAXA筑波宇宙センターの施設見学
・施設見学ツアー「宇宙飛行士コース」
実物大の衛星を間近で見たりさわったりでき、衛星や宇宙に関する見識を深めることができた。

授業の感想・メモ

  • 科学技術の粋を結集して実際に研究開発の行われているJAXA筑波宇宙センターでの研修であり、理科教員研修として最高の環境のもと、最先端の科学の成果に関する知見を広げることができた。今後、研修の成果を学校現場で実践し、生徒たちに宇宙教育のすばらしさを伝えていくことが、参加した教員の使命である。一方で、最先端の科学技術がどのように生まれ、どのように活用され、それがどのような未来を築いていくのかを生徒に語ることも理科教員の大切な使命である。研修の場で得た感動や驚き、技術者や研究者たちのことを生徒に話すことで、科学に対する夢や憧れを強く持たせることができる。このような視点からも、今回のような研修は大変有意義なものであった。これからも、できるだけ多くの教員に参加してもらい、最先端の研究施設において繰り返し研修の機会を得ることが、県全体の理科の指導力向上につながると思われる。

福井県・福井県教育委員会 高校教育課

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