大分県・別府市立境川小学校(2) |
|
小学6年生 |
|
73名 |
|
2012年5月25日 |
|
理科 「ものの燃え方」の発展学習 水素はどういうはたらきをもつ空気なのだろうか? |
|
JAXA宇宙教育センターより提供 注射器ロケットパッケージ |
|
・発展として ・習得させる学習内容として |
|
小学校6年生理科「ものの燃え方」単元では、まずは割り箸でやぐらを2種類組ませ、どちらが燃え残らずに燃えてしまうかという導入を行った。1つは「井」の字型でもう1つはすき間なくつめた型で比較した。コンパクトに詰まった「すき間なし」のやぐらの方がすぐに燃えるという意見もあったが、「井」の字の方が結果は割り箸が燃え残らなかった。やぐら燃焼実験から、児童には物が燃えるためには空気の通り道が必要ということに気づかせた。 空気の流れを目で見る方法がないだろうか?という問いを設けた。お墓参りの時、線香の煙がのぼる場面を思い出し、空気の流れは煙で見ることができるだろうと考え、集気びんの中にろうそくを燃やし、線香で空気の流れを確かめた。空気の出入り口が同じ場所だと、線香の煙が出て行く場所がなくろうそくの炎が次第に消えた。ろうそく燃え続けるためには空気の出入り口は別々の場所に設置する必要があり、空気の出入り口を設けると線香の煙も一方通行に流れることに気がつかせた。 ろうそくの火が消えた集気びんに火のついたろうそくを入れると次第に火が消える。シャボン玉を吹くと集気びんの真ん中辺でシャボン玉がふくらんだまま止まる。これらのことから、燃えた後には燃える前とは違う空気ができるのではないかと課題を設定した。燃えた後にできる空気を調べるために、石灰水や気体検知管という道具で気体を調べると、石灰水は白く濁り、気体検知管は二酸化炭素の値が上昇した。これらのことから、二酸化炭素は石灰水を白く濁らせる性質があり、気体検知管から燃えた後には空気中の二酸化炭素の割合が増えることを確認した。<写真参照> 二酸化炭素の他に、空気にはどのような性質があるのかを確かめる学習を行った。二酸化炭素はものを燃えにくくするはたらきがあることは確認している。ものを燃やすはたらきのある空気(酸素)はどのようなものか、という学習を行った。酸素を入れた集気びんと普通の空気の集気びんにろうそくを同時にいれ、燃え方の違いを確認した。酸素はものをよく燃やすはたらきがあると知った。 発展として、JAXAコズミックカレッジ教材の「注射器ロケット」パッケージを利用した。理科教科書には空気の組成には「水素」の文字があるが、水素を実験で確かめることはない。そこで、連続着火装置(高電圧電極)を用いて、水素のみの気体と水素と酸素の混合気では状態がどのように変化するかを確認した。安全のため、教師による演示実験である。 まずは水素のみをビニール袋に詰め、タイロープとビニールテープで密封した。水素は実験用ボンベから注入する。児童に「どうなると思う?」と予想を聞く。「大爆発する」「ドッカーン!」「先生、そんなことして大丈夫なの?」という予想が出た。プラスとマイナスの電極を接続しカウントダウンする。児童は両手で耳を塞いでいる。スイッチを押すが何も起こらない。 酸素のはたらきを学習している児童は「なるほど、酸素はものを燃やすはたらきがあるから、酸素がないと燃えないんだ!」と推論した。水素に少しの酸素を混入する。同じようにカウントダウンを行う。児童は「これはヤバいな」と耳をふさぐ。カウントダウンが0に近づき、スイッチを入れる。オレンジ色の炎とともに、破裂音が響く。「酸素のおかげで水素が燃えた!」「水素だけでは危険じゃないけど、ほかの空気をまざると危ない。」このような感想をのべ、ものの燃え方単元の発展学習として注射器ロケットパッケージを利用した。 |
授業・活動後の先生のご感想、ご要望など
- 確かにあるのに、目には見ることができない粒子の単元で、可視化し目や耳で実感できる教材に注射器ロケットパッケージは有効であると感じる。どうして爆発したのか、爆発しなかったのかを、既習の事実から導くところに、注射器ロケットパッケージのものの燃え方単元での発展的な学習の意義があると思った。