授業連携

ロケットの設計と製作

栃木県・栃木県立小山高等学校

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概要

▲「JAXA宇宙科学研究本部(相模原)施設見学」

<全授業を通した指導目標>

 ロケットの設計ミッションをテーマとする宇宙に関する調査・研究を通して、最先端の科学技術に対する興味・関心や科学的・論理的思考力を高めていきたい。さらにその過程において必要な情報を収集したり、データを分析して科学的に考える力を高めたり、グループでのディスカッションやプレゼンテーションを通して、目的に向かってチームとして協力しながら工夫をしたり、問題を解決していく能力を高める。

<対象>

高校2年生17名、1年生5名

<期間>

平成19年8月18日~平成19年9月15日

<区分>

SPP(サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト)

構成表

実施日
時間
形式
人数
授業内容
1
270分
講義
22名
「ロケットの設計」(120分)
講師:野田 篤司
(JAXAシステムエンジニアリング推進室
ミッションデザイン支援グループ 主幹開発員)
見学

ディスカッション
筑波宇宙センター 施設見学(90分)

ロケット開発と設計について(60分)
支援:岸 詔子
2
270分
ディスカッション

見学

ディスカッション
22名
ロケットの設計ミッション(90分)

JAXA宇宙科学研究本部(相模原)施設見学(105分)
・一般見学コース
・イオンエンジン試験設備

ロケットの設計ミッション(75分)
支援:岸 詔子
3
240分
発表
19名
「ロケットの設計ミッション発表会」
(グループ別準備と発表、講評)
支援:岸 詔子
4
280分
講義
20名
「火薬ロケットの飛翔原理について」
(講義、ロケットの製作)

第1回目/全4回『授業記録シート』

<今回の授業の指導目標>

 ロケットの設計に関する基本的な考え方を具体的講義していただき、宇宙開発の魅力や難しさについて知ることを目標とする。ロケットの構造や飛行原理等の基本的な知識を得るとともに、その開発の歴史や役割について知ることで、今後の一連の授業への興味付けとしたい。また、実際にロケットや人工衛星の開発が行われている「筑波宇宙センター」において実物を見ることで、宇宙開発をより身近に感じることが期待される。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
                   
指導上の留意事項
導入
(120分)
・「ロケットの設計」について野田篤司先生より講義。
△ロケット開発の歴史や、ロケットの飛行原理について学び、これから各班ごとに考えるロケットの設計ミッションの参考にする。
展開
(90分)
・紹介ビデオを視聴し、筑波宇宙センターの概要を学んだ。

・施設見学ツアーに参加し、展示室や宇宙ステーション試験棟、無重量環境試験棟、音響実験棟などを見学した。
△筑波宇宙センターの概要をビデオで学び、見学のポイントをつかむ。

△実物大のロケット模型や、人工衛星等を見学するとともに、実際の実験施設棟にはいりどのような実験が行われているのか説明を受ける。
まとめ
(60分)
・「どのようなロケットをつくりたいのか」 のテーマで、班別にディスカッションし、その結果を発表。
△各班ごとに、「どのようなロケットをつくりたいか」ディスカッション後発表。

◎各班の発表について、今後の課題となる点についてのアドバイス。
・どのような目的を持ってロケットを設計するのかを明確にする。

授業の感想・メモ

  • 1、2年生の知識では理解が難しい内容も多少ありましたが、知識の羅列ではなく、ロケット開発の歴史や、ロケットの飛行の原理など実際の計算や数値をもとに講義していただいたので、ロケットについて具体的にイメージしやすかったようです。ただ、実際に自分たちでどのようなロケットをつくるかを考える事になると、目的などを設定しなければならず、班ごとにディスカッションしながら決定していました。施設見学では、説明を聞きながら、模型を眺めたり、実際に使用される機材見たりすることで、宇宙開発をより身近なものとして感じることができていたようです。音響実験棟ではロケットの発射音を体験できて良かったと思います。

第2回目/全4回『授業記録シート』

<今回の授業の指導目標>

 同じJAXAの研究施設ではあるが、筑波宇宙センターとは違った目的で研究されているロケットや人工衛星を相模原キャンパスで見学してもらう。生徒自身の目で実際に研究を行っている研究室を見学することで、宇宙開発の現場をより身近に感じることのできる効果が期待される。また、イオンエンジンや、ミッションに基づく、ロケットの設計という点からも小惑星探査機「はやぶさ」について、どのような目的で設計され実際に探査を行っているのかを、知ってもらう。
 講義では「ロケットの設計ミッション」についてひき続き班ごとに検討し、講師の野田先生にアドバイスをいただくことで、より具体的な設計にしていきたい。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
                          
導入
(90分)
ロケットの設計ミッション(90分)
△各班ごとに前回の講義をもとに再検討したミッションを発表し、アドバイスをもらう。

△アドバイスをもとに、ミッションをより具体的なものにできるように班ごとに話し合う。
展開
(90分)
JAXA宇宙科学研究本部(相模原)
施設見学(105分)
・一般見学コース
・イオンエンジン試験設備
△実物大のロケット模型や、人工衛星等を見学する。また、イオンエンジンの研究室等を見学し研究内容について説明をうける。必要に応じてメモをとるなどした。
まとめ
(90分)
ロケットの設計ミッション(75分)
△アドバイスをもとに、各班のミッションをより具体的なものにできるように話し合い、次回の発表に向け、どのような準備が必要か検討する。

授業の感想・メモ

  • 前回の講義後、各班ごとに資料を集めどのような目的でロケットを設計するか、より具体的になって今回の授業に臨みました。調べた資料をもとに、ロケットの設計についてのプランを発表し、各班の発表内容について野田先生からアドバイスをいただいたことで、前回よりも具体的なロケットをイメージできるようになったと思います。次回の最終発表についての、各班の方向性も定まってきたようです。施設の見学では、前回の筑波宇宙センターとは違う、ロケット研究の現場を見ることができました。イオンエンジンの開発や、小惑星の探査機など今まで、あまり身近でなかった事についても知ることができたので、生徒にとって良い経験になったと思います。

第3回目/全4回『授業記録シート』

<今回の授業の指導目標>

 前回までに見学した「筑波宇宙センター」「AXA宇宙科学研究本部(相模原)」の見学や、ロケットについての講義をもとにして計画した「ロケットに設計ミッション」を、各班ごとに発表する。講義や、施設見学だけでなく自分たちでロケットの設計の基本プランを立てることによって、ロケットの開発の現状や、今後の課題などをについての理解を深めていく事を目標とする。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
                         
導入
(120分)
「ロケットの設計ミッション発表会」
(グループ別準備と発表、講評)
支援:岸 詔子
◎必要に応じて生徒を支援する。

△各グループごとにミッションの発表に向けて、の準備。不明な点や、疑問点などを講師の先生からアドバイスを受けて改良していく。
展開
(90分)
・各班のミッションの発表
・講師の先生方からの講評
△各班ごとに「ロケットの設計ミッション」の発表を行う。発表を行う班以外の班は、発表に対して質問や講評を行う。
まとめ
(60分)
・野田先生より「将来のロケット」についての講話
△現在までのロケット開発の歴史、今後のロケット開発の方向性を知ることで、各班の考えたロケットの設計ミッションにどれだけの技術的な問題点があるのかを知り、今後の参考とする。

授業の感想・メモ

  • 講義や施設見学など、どちらかというと生徒が受け身になってしまう学習だけでなく、生徒達が主体になって様々なことを考えたり、調べたりして、それを一つのミッションとしてロケットを設計することは非常に効果的だったと思います。今までは、自分たちとは関係ないところで行われていると思っていたロケットの開発について、身近にある技術や素材なども部分的に利用されているなど、より身近に感じることができたようです。今回の発表で終わりではなく、曖昧だった点など、今後の課題としてさらに理解を深めていければと思います。

第4回目/全4回『授業記録シート』

<今回の授業の指導目標>

 モデルロケットの構造や、飛行原理についての基礎知識を学ぶとともに、実際にモデルロケットを作成し、打ち上げることによってロケットについての理解をより深いものにする。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
                           
導入
(55分)
・モデルロケットの飛行理論や、エンジンの構造、空力特性についての講義。
△簡単なクイズや、映像等を見ながらモデルロケットの歴史や、飛行理論、エンジンの構造、空力特性などについて学んだ。自作ロケットを、作れるように必要に応じて質問をしていた。
展開
(180分)
・モデルロケットの作成・打ち上げ
△講師の先生の指導により、モデルロケットのキットからロケットを作成。

◎必要に応じて、生徒の援助を行う。

△講師の先生から、ロケット打ち上げについての注意を聞き、安全に注意しながらロケットを打ち上げる。風の向きに注意しながら、ロケットの打ち上げ方向を各ペアで決め、できるだけ発射台の近くに戻ってくることと、高く上げることを競う。
まとめ
(45分)
・ロケットの打ち上げ結果についてのまとめ。
△ペイロードとして、簡易加速時計を乗せて打ち上げた二班が、作成上の工夫点や、結果についての発表を行った。

△モデルロケットについての質問。

授業の感想・メモ

  • 今回の授業では、生徒自身がロケットを組み立てながら、構造や飛行原理についても学習することができました。実際にロケットを打ち上げることで、より身近なものとして感じることができたようです。また、10班のうち2班については、簡易加速時計を作成し、実際にロケットで打ち上げ時の加速度を測定することができました。前回までの3回の講義内容や、施設見学、ディスカッション等の成果を生かしながら活動できたのではないかと思います。

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