ISEB学生派遣プログラム
【2000年度】第51回 IAF大会
※ 2005年のISEB設立以前はJAXAおよび他機関との協力事業として実施
※ 2004年度以前の実績は派遣当時の参加者報告を原文のまま参考掲載しています。なお使用している写真・文章は、提供者本人の許可を得て掲載しています。
派遣期間 | 平成12年9月30日(土)~10月9日(火) |
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派遣先 | 第51回IAF大会(ブラジル国リオデジャネイロ市 リオセントロ会場 他) |
主なスケジュール
日付 | 内容 |
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9月30日(土) | 出発 |
10月1日(日) | 市内視察ツアーその1(ポン・デ・アスーカル、コパカバーナ海岸、カテドラル等) |
2日(月) | Opening Ceremony→Welcome Cocktail Party出席 |
3日(火)~6日(金) | 大会出席 |
7日(土) | 市内視察ツアーその2(コルコバードの丘、国立天文台、国立美術館、国立博物館等) |
8日(日)~9日(月) | 帰国 |
参加者の声「第51回IAF大会に参加して」
※ 下記執筆者の所属等についてはIAF大会参加時(平成12年10月現在)のものです。
[その1] 東京学芸大学 教育学部 小学校教員養成課程
社会専修 松井 健一さん
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IAF2000参加決定を聞いたとき「世界最先端の宇宙技術について聞けるんだ!」とビックリしつつ本当に喜びました。それとともに他の参加者は大学院生が多く、一人だけ十代での参加だったので、他の参加者と会うまで仲良くやっていけるか不安でもありました。しかし他の参加者はみんな夢とか目標があって、しかもやさしい人達ばかりだったのでその不安はすぐ消えました。そればかりか話すたびに学ぶことばかりで本当に楽しかったです。
IAF2000では、開催地ブラジルのお国柄にまで触れられて私にとっては非常に充実したものでした。IAF2000に参加する前にNASDAやJSFの方から「学生は私たちと違って失うものがないのだから、どんどん積極的にやったらいいですよ。」と言ってもらえて勇気が出て、興味がわく発表を聞くと、きまってその発表者の方と話をしていました。学生と言うと、いつも発表者の方は興味を持ってくれて、各々の研究のこと、将来はこうなるぞ!という自説、アドバイスなど言ってくれるとともに、名刺をくれて、しばしばバッジやメモ帳などを、こそっとくれて本当にワクワクしていました。
ウェルカムパーティには驚きました。まさかサンバだとは想像していませんでした。初めはさすがに戸惑いましたが、気がついたらブラジルの人や研究者の方と肩を組み、汗をびっしょりかいてとにかく踊りました。いつの間にやら走って踊り、ステージの前で踊り、先頭をきって踊りと。次の日、肩を組んだ方が目の前で発表をしたりするので冷や汗をかいたものですが、世界中から来ている参加者が一気にまとまり、さらにブラジルの文化にまで触れられてうれしかったです。
最初は十代の若僧にIAF2000で何ができるのだろうと不安でしたが、実際に参加してみると気持ちは一転し得るものばかりで、自分の世界や考えが本当に大きくなったと思います。こんな思いを今、体験できて本当に良かったです。私は現在、教育学部に所属しています。将来、自分の体験で宇宙好きの子供たちが増えて自分以上のことを体験してもらえるように貢献していきたいです。ありがとうございました。
[その2] 上智大学 法学部 国際関係法学科 国際法専攻
根本 和幸さん
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今回のIAF大会に参加できたこと。それは大学生活の中で最も貴重な経験でした。
参加メンバーが決定した時、どのような方々とブラジルでの会議に参加することになるのかと、期待と不安を抱く一方で、「会議」という責任の重さを感じました。しかし、他の参加メンバーとさまざまなことを話しているうちに、とても仲良くなりすぐにうちとけていきました。そのためリオデジャネイロでの滞在もとても楽しく、不安というものは一切吹き飛んでしまいました。これは、今回私とともに参加したメンバーみんなのおかげだと思っています。
会議では、さまざまな分野のセッションが行なわれていました。そのため、私は法学部で国際法を学んでいるのですが、今回の会議では宇宙法のセッションだけにとどまらず、国際宇宙ステーションや衛星通信をはじめとした技術的な分野のセッションにも参加することができ、法律だけではないさまざまな方向から宇宙についての視野を広げることができたことは、今後の研究に大いに参考になりました。
また、European Space Agencyの「Outreach Program」というとても充実したプログラムのもとで世界中から学生が参加していたため、学生どうし交流を図ることができました。いまでも、Eメールのやり取りを続けています。世界中に貴重な仲間をつくることができたのも、貴重な経験です。敢えて言うならば、日本側もより充実したプログラムのもと、たくさんの学生との交流を図れればより良いと考えます。
最後に、今回の会議に参加でき、また参加したメンバーみんなと知り合うことができて本当によかったです。また、日本だけではなくタイから参加したSompochさん、キリバス共和国から参加した小野賢太郎さんもいました。さまざまなバックグラウンドを持った人々とともに今回の会議に参加でき、みなさんと知り合えたことがなにより一番の収穫です。この場を借りてあらためてお礼を言いたいと思います。みなさん本当にありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします!!
[その3] 東京大学大学院 農学生命科学研究科 生物環境工学専攻
宮本 みちるさん
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会議の初日、オープニングセレモニーとレセプションはカーニバルではじまった。これから始まる5日間に期待をはしらせながら、華やかで、強烈な衣装を身にまとった人々のサンバ、学生も含め世界からの参加者が舞台で一緒に踊るなど、リオという強い印象と明るく楽天的なブラジルを肌で体験することでブラジル滞在は始まった。
学生それぞれが異なる専攻でも、宇宙に関する共通のテーマや興味を持っていた。テクニカルセッション中、他国の院生は堂々と挙手をして質問をしていた。対等に会話をする姿にはじめは圧倒されたが、よくよく考えてみると英語力は劣るにせよ、日本の院生とそれほど大差のあることを話しているわけではないと感じた。私は、一通り自分の研究を英語で説明する練習を事前に行っていた。せっかくここまで来たのだから、自分も少しでも共通の話題のできる研究者や院生に話し掛けてみようと決心した。はじめにブラジルINPEの研究者に会議後の質問をしてみた。会議の発表中は身分が高く、学生が話し掛け質問をするには相応でないと見えるような研究者でも、日本とは違い、むしろ懇切丁寧に親身になって話しを聞いてくれた。一度、心を開くと、その次から教授や研究者、院生でも躊躇せずに自ら話し掛けるようになり、会議の終わり頃には、同じ研究者に出会うなど、ようやく慣れ親しんできた。それでも、セッション中に感じた欧米と東洋的なプレゼンテーションの相違、アピールの仕方や自分の英語力の欠如などのもどかしさを、たまたま会議場へ向かうバスで隣り合わせとなったドイツDLRからの女性の研究者へ相談をした。自分以上に日本の宇宙開発の現状を良く知る彼女に、教育システムの違いが根底にあっても、まず重要なのは自国の研究を良く知ることで、各国が得意とする分野を共有し合なければならない、各国がそれぞれの特徴を持っているのが当然で、そのための国際会議である、とのことを言われた。ふと、自分の国、自分の大学、ひいては自分の研究についてもう一度、振り返った。私は、自国の研究にもっと誇りを持ち、その上で、他国の研究を互いに尊重し合おう、と強く感じた。また、何人か他国からの大学生に出会い、次世代へ研究を維持・発展させると同時に若い世代への教育の重要性も感じた。早速、研究室ゼミにて今回の報告を行い、少しでも今回の体験や情報を研究室の仲間と共有し議論した。今回のIAF学生大会参加により、研究者としてこれから学んで行く上で、世界の中の自分をもう一度見直すことができ、視野がさらに広げることが出来た。
世界中で、こんなに大勢の研究者が協力し合い、宇宙のことを考えているのだから、21世紀の宇宙開発や地球規模での環境問題解決への技術的なモニタリングの開発等、未来は学生ながら色々な意味で期待できるものと感じた。またそうなるよう少なくともある接点で、自分の行っている研究が貢献できるようにしたい。21世紀を担う私達に是非、請うご期待をして頂きたい。