<今回の授業の指導目標>
Aコース「落下塔による微小重力実験」(180分:20名)
無重力(量)状態とはどのような状態かを考え、その状態でどのような現象が起こるかという例をいくつか見ながら、無重力実験をするための装置を考える。
Bコース「生物はどのように重力を感じるか」(180分:15名)
植物の発芽や屈曲の様子から重力を感じとるしくみについて考える。
時間配分 |
学習内容 |
◎教師の活動 △生徒の活動 |
指導上の留意事項 |
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Aコース 「落下塔による微小重力実験」(180分) |
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導入 (60分) |
放り投げられた物体は無重力状態になることを知る。 |
◎はかりを落下させるなどの演示実験をしながら説明する。
△演示実験の予測をし、結果を確認する。 |
ビデオを見せたり、演示実験を見せたりして、理解を助ける。 |
展開 (90分) |
ひとりひとりが事前に考えておいた落下実験の装置の案を、みんなで考える。 |
◎ひとりずつ指名して発表させる。
△自分の案と、その結果の予測を発表する。
△他人の案やその結果の予測も含めてプリントに記録する。 |
他人の案についても記録や予測をさせ、全員の実験を自分のものとさせる。 |
まとめ (30分) |
次回の実験に向けて装置の作製を開始する。 |
◎装置の作製の助言をする。
△工夫をしながら装置を組み立てる。 |
生徒の発想を活かしながら、改良の工夫について助言する。 |
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Bコース 「生物はどのように重力を感じるか」(180分) |
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導入 (30分) |
植物は重力を感じることができるのだろうか? もし感じとれるのだとすれば、それはどんなしくみなのだろうか。 |
◎発芽した植物を生徒に観察させ、重力との関係について考えさせる。
△キュウリの発芽種子を観察し、種子の向きにより、初期発芽率に違いがあることを認識する。 |
重力が何かをもたらしているということを理解させるために、連続的な観察をさせる。 |
展開 (90分) |
植物が屈曲する(横倒しにすると上を向く)性質と重力の関係について →重力の影響で成長の度合いに差が生じる。そのしくみを解明するためには、どんな実験をしたらよいだろうか? 上記の事実を解明する実験を考える。 |
◎暗黒下に置いた植物がどうのようになるのか、を生徒に推測させる。
△基本的にはまっすぐ伸びるはずだという認識で考える。
△各自で植物と重力の関係を確かめるような実験を考え、実際に装置を作製する。 |
暗黒状態ならば屈曲しないはずだが、先生が何か細工を施しているのだなと想像させる。また、播種の方法や屈曲実験の装置は生徒の自由な発想で考えさせる。 |
まとめ (60分) |
植物は重力を感じることができる。 ☆前半の検証&たねあかし |
◎同じ条件下に放置したのに、屈曲していた個体があった。それは、一部の個体に細工をしたから。(成長に影響を与えないような低温下でしばらく横倒しにしておき、重力の影響を与えておいたためというタネ明かしをする。また、次回は、何処でどのようなしくみで重力を感じているのかを検証するということを予告する。 |
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- Aコース「落下塔による微小重力実験」
生徒に結果を予測させたり、考えを発表させたり、また他人の案についても予測させたり、記録させたりするなど、講義を十分に生かせるように進めていた。 - Bコース「生物はどのように重力を感じるか」
できるだけ生徒に考えさせ、様々な意見や予測を引き出し、生徒の自主性を重視していた。また、スケッチさせることで細部まで観察する力を養成していた。
<今回の授業の指導目標>
Aコース「検証実験」(180分:14名)
自作の装置を使って落下実験を行い、その現象を観察し、考察する。
Bコース「植物実験」(180分:16名)
植物はどこで重力を感じとっているのだろうか。その構造を観察する。
時間配分 |
学習内容 |
◎教師の活動 △生徒の活動 |
指導上の留意事項 |
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Aコース 「検証実験」(180分) |
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導入 (30分) |
前回及び自宅で組み立ててきた装置を完成させる。 |
◎落下塔の箱にうまく入るように調整させる。
△装置の最終調整をする。 |
まだ作成できていない生徒に助言をして完成させる。 |
展開 (120分) |
ひとりひとりが自作の装置で落下実験をする。 |
◎落下塔の箱の内部の映像のパソコンへの記録操作と再生をする。
△実験前に予測を述べ、結果を見て考察する。 |
まだ完成していない生徒については作製を続けさせるが、他人の落下実験実施の時には手を止めさせ、注目させる。また実験がうまくいかなかった場合は、工夫して改良させ、再実験をさせる。 |
まとめ (30分) |
結果を記録する。 |
◎映像データを整理する。
△他人の結果も含め、実験結果の整理をする。 |
さらに工夫・改良した実験をしたい生徒には、実験を続けさせる。 |
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Bコース 「植物実験」(180分) |
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導入 (30分) |
前回の実験結果の整理 |
◎前回の実験結果を整理させる。あわせて、植物が重力を感じとるということはどういうことなのか考えさせる。
△前回自分たちで考えた実験について、結果をまとめる。 |
実験の目的などをはっきりさせるようにする。 |
展開 (90分) |
重力を感じとる細胞 →内皮細胞・コルメラ細胞のデンプン粒は栄養分としてだけでなく、重力の影響を受けて上下に移動し、成長に影響を与えている。 |
◎重力を感じとっているのは、内皮細胞とコルメラ細胞のデンプン粒であると教える。
△各自で植物の切片を作製し、内皮細胞とコルメラ細胞のデンプン粒を観察・スケッチする。 |
切片の作製のコツなどをアドバイス。デンプン粒はヨウ素で染色される。デンプン粒の配置に変化がみられるのか、についても観察させる。 |
まとめ (60分) |
重力を感じとるしくみについて、動物ではどうなっているのか →耳で重力を感じている
次回予告:筑波宇宙センター見学 各自で実験結果について発表 |
◎植物だけでなく、動物は、どこでどのように重力を感じるのか発問。
△図表で確認。
◎次回は筑波宇宙センターの見学および2日間の各自の研究成果を発表であり、内容をまとめておくよう指示。 |
学校の授業で使用している「スクエア最新図説生物(第一学習社出版)」を活用。 |
- Aコース「検証実験」
生徒の考えを尊重した形で実験をしてもらったので、いろいろな発想を引き出すことができ、生徒も充実した実験ができたようである。
- Bコース「植物実験」
重力を感じている細胞はこれだ!と、実際に観察させることで生徒の興味・関心を高めていた。また、前回同様、できるだけ、生徒に考えさせる機会を与え、自主性・積極性を養成していた。2回の実習を通して、学校現場の教員とは違った視点で生徒を指導された高沖先生の姿勢に大いに学ぶことがあった。しかしながら、生徒の元気がなく、反応がいまひとつであったのが残念であった。
<今回の授業の指導目標>
Aコース「落下塔による微小重力実験」(15名)
Bコース「生物はどのように重力を感じるか」(17名)
宇宙開発の先端技術を知るとともに、2日間の講義のまとめをする。
時間配分 |
学習内容 |
◎教師の活動 △生徒の活動 |
指導上の留意事項 |
導入 (20分) |
JAXAの概要を知る。 |
△JAXAの紹介ビデオを見る。 |
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展開 (150分) |
筑波宇宙センターを見学し、宇宙開発の技術を知る。
2日間の講義のまとめをする。 |
△筑波宇宙センター内の施設や展示を見学する。
◎生徒ひとりひとりに発表させ、講評する。
△2日間の実験・実習の結果と考察について発表する。 |
「A落下塔」と「B生物」の2つのコースの発表を同一会場で行い、他のコースでの学習内容も知ることができるようにする。
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まとめ (30分) |
宇宙開発の概要を知る。 |
◎パワーポイントを用いて説明する。
△2日間の学習を踏まえ、より広く宇宙の開発について知る。 |
2日間の実験・実習の内容を補い、また関連づけながら、宇宙開発についての興味・関心を高める。 |
- まとめの発表会では、「A落下塔」コースは無重力状態の映像を映しながら、「B生物」コースは白板に図を描きながらの発表であった。このように2つのコースを同じ会場で発表させることによって、自分が受けなかったコースの学習内容の概要も知ることができたので良かった。