授業連携

人工衛星を利用した地球観測について調べる

群馬県・群馬県立前橋高等学校

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概要

▲8月6日「地球観測衛星によるリモートセンシング」 講義の様子

<全授業を通した指導目標>

人工衛星の利用や打ち上げまでの道のりについて、講義を受けたり実習を行うことにより、環境問題や先端科学に触れることにより、幅広い探究心を培い、問題意識をもって自ら学ぶ意欲を育成する。また、生徒自身が実験・実習等の活動の成果をまとめ、発表することによりプレゼンテーション能力の育成を図るとおもに、参加生徒が実験・実習をとおして培った自ら学ぶ意欲や思考力、表現力を他の生徒にも波及させ、学校全体の活性化に寄与することをねらいとする。

<対象>

高校2年生 20名

<期間>

平成19年7月27日、8月6日、12月1日

<区分>

SPP(サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト)

構成表

実施日
時間
形式
人数
授業内容
1
240分
見学
見学
講義
14名
「JAXA地球観測センター展示室を自由見学」(30分)
「JAXA地球観測センター観測施設を見学」(90分)
「人工衛星から見た地球観測」(120分)
講師:油井 由香利
(JAXA宇宙利用推進本部 地球観測研究センター 主任開発員)
支援:岸 詔子
2
330分
見学
講義
実習
15名
「筑波宇宙センター 見学ツアー」(90分)
「地球観測衛星によるリモートセンシング」(270分)
講師:田殿 武雄
(JAXA宇宙利用推進本部 地球観測研究センター 研究員)
指導:油井 由香利
(JAXA宇宙利用推進本部 地球観測研究センター 主任開発員)
指導:大木 真人
(JAXA宇宙利用推進本部 地球観測研究センター 主事補)
支援:岸 詔子・森 理恵
3
150分
発表
14名
「成果発表・講義」
講評・指導:田殿 武雄
(JAXA宇宙利用推進本部地球観測研究センター 主任研究員)
支援:浅野 眞・宮原 有香

第1回目/全3回『授業記録シート』

<今回の授業の指導目標>
本講座の導入として地球観測センターの見学を行い、人工衛星から様々な方法で地球観測を行っていることを学ぶ。その中で、いくつかの日本の人工衛星について、それぞれがどのような役割を担っているのかなどを理解させる。また、地球観測について講義を行い、人工衛星による観測のしくみやデータの解析方法と利用方法について説明する。特に、実際のデータがどのように処理・解析されているのかを具体的な事例をもとに紹介し、生徒に人工衛星からの地球観測に興味をもたせる。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
                    
指導上の留意事項
          
導入
(120分)
JAXAの活動を紹介したビデオの鑑賞
地球観測センター内の展示室および観測施設の見学
H2-aロケットの組み立てから打ち上げまでをまとめた映像の鑑賞
△JAXAの活動内容を理解する。

△人工衛星「だいち」からの観測データの受信状況を見学。

△「だいち」の観測データを可視化した立体画像などを数多く見学。

△ロケット打ち上げについて、驚きと興味をもつ。
JAXAの活動内容やロケット打ち上げのビデオをみて、宇宙開発に興味を持たせる。
「だいち」の観測データからどのような情報が得られるのかを理解させるよう見学内容を配慮した。
展開
(100分)
講義「人工衛星からの地球観測」
1.日本の人工衛星
2.人工衛星の高度と軌道
3.人工衛星からの観測のメリット
4.観測方法
5.データ解析
△日本の人工衛星について、学ぶ。

△人工衛星による観測のメリットと観測方法を理解する。

△データの解析法と画像の合成方法について理解する。

△実際の観測例を見る。
物理で電磁波の波長について学習していないため、数値を強調せず、色や近赤外線などの言葉を使って説明した。
まとめ
(20分)
本日の内容をレポートにまとめる。
△観測方法や観測例について、知識を整理した。

授業の感想・メモ

  • 人工衛星から、地上の広範囲わたって様々な観測ができることがよく理解できた。なかでも、近赤外光によって、植物の分布がよくわかるというのは興味深かった。また、実際の観測例から、アマゾンの熱帯雨林が失われていることや、砂漠が広がっていること、南極の氷が減少していることなどが示され、環境問題にもより強い意識をもつことができた。

第2回目/全3回『授業記録シート』

<今回の授業の指導目標>
はじめに、センターの見学を行って、日本の人工衛星打ち上げ技術と実績について理解させる。その後、地球観測衛星「だいち」の観測データを利用したデータ処理のデモンストレーションを行った講義を行う。その後、演習として、いくつかのデータについて様々な処理を行い、その方法や過程を理解させるとともに、土地の利用を知ることができるなど、それらの処理で様々などのような情報を得ることができるのかを学ばせる。その上で、自分の興味に沿って調べたいテーマと場所を選び、環境の変化を調べる課題を与える。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
                 
指導上の留意事項
          
導入
(90分)
つくば宇宙センター内の施設見学
(一般見学コース)
△つくば宇宙センター内の施設見学
SPPでデータを利用する地球観測衛星「だいち」の模型や、来年には打ち上げられる宇宙ステーション「きぼう」のモジュール、宇宙飛行士の訓練施設などを見学し、宇宙開発に興味を持たせる。
展開
(260分)
講義と実習「地球観測衛星によるリモートセンシング」

1.地球観測衛星データの可視化
2.衛星画像の色合成
3.画像の色調補正
4.画像の位置合わせ
△観測センサーPRISMとAVNIR-2の概要を学ぶ。

△Photoshopを操作する。

△衛星データの構造について学ぶ。

△データの切り出しとバンド合成。

◎パソコンの操作を補助する。
デジタル画像について説明し、衛星データのファイル構造を理解させる。
画像処理ソフトPhotoshopの操作方法を理解させる。
測定波長(バンド)と反射特性を理解させる。
まとめ
(10分)
内容のまとめ。
各自のテーマに沿って衛星データを可視化し、考察することを実習課題として与える。
質疑応答
△前橋高校付近の画像の可視化。
各自の実習テーマをイメージさせる。

授業の感想・メモ

  • センター内の施設見学では、人工衛星の実物大の模型があり、生徒はその大きさに驚いていた。また、訓練施設も興味深く見学していた。実習では、生徒一人に一台ずつパソコンを準備していただいたので、その場でデータ処理等の操作を行うことができ、実習内容をよく理解することができたようだ。また、本校付近の詳細なデータを扱うことができ、衛星データが身近な環境の変化を観測する手段としても有効であることを認識することができた。

第3回目/全3回『授業記録シート』

<今回の授業の指導目標>
各々の生徒が、衛星データから得た画像を利用して地域の環境の変化などを調べた実習内容について、発表会を行う。また、お互いの発表内容を聞くことにより、地域の環境についてのいろいろな見方を理解させる。その際、データの利用方法や考察の仕方、まとめ方などについて講師の方に講評していただき、各々の調べ学習について評価を行う。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
指導上の留意事項
導入
(5分)
発表について
◎発表の司会。進め方を話す。
お互いの発表をよく聞く。

データについて、きちんと説明する。
展開
(85分)
グループ発表
△1班.SPP

△2班.SPP活動のまとめ

△3班.SPP活動報告書

△4班.SPP報告書

△5班.SPP~人工衛星の利用と観測方法~

△6班.SPPから学んだこと
各グループの発表

他のグループの発表を聞き、メモをとる。
まとめ
(30分)
講師からの講評

・データの示し方、発表の仕方
・学んだことの再確認
・質疑応答
△講評に基づいて発表の仕方を振り返る。

△学習内容の理解を深める。
データの場所や観測日時、処理方法を明示する。

実習や考察の内容を伝える工夫をする。

授業の感想・メモ

  • 1~4人の6グループが、10分程度の発表を行った。学校の周辺や赤城山麓の異なる季節の画像を比較して植生を推測するなど興味深い発表があり、質問もなされていた。講師の方から、発表の際にはデータの観測日時や場所を明示するべきであること、推測の検証にフィールドワークをおこなうべきであることなどの指摘を受けるとともに、理解が足りない部分についてさらに説明を受けた。生徒は、SPPでの学習内容を深めたとともに、発表の仕方についても学ぶことができた。

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