<今回の授業の指導目標>
実際に航空・宇宙開発事業が行われている航空宇宙技術研究センターを訪れることにより、生徒の科学的な興味関心を喚起する。展示室の超音速実験機やYS-11、風洞実験装置などを間近で見ることができ、航空宇宙開発の研究現場を身近に感じることができると期待される。また、現在の超音速機開発に関する基礎的な知識を身につけ、設計実習を行うための基礎的な空気力学と超音速機の翼設計について学ぶ。
時間配分 |
学習内容 |
◎教師の活動
△生徒の活動 |
指導上の留意事項 |
導入 (90分) |
JAXAの活動を理解するため調布航空宇宙センターの展示室、YS-11コックピット、1m×1m超音速風洞を見学する。 分室へ移動し、飛行シミュレーションを体験する。 |
△ 展示されている小型超音速実験機や超音速風洞などについて見学し説明を受けた。 分室では飛行シミュレータを体験した。 必要に応じて、メモを取ったり、カメラ付き携帯電話等で写真を撮った。
◎参考資料用写真を撮る。 |
見学・体験に伴い、安全に注意する。
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展開 (180分) |
講義「超音速機の空気力学の基礎」 航空プログラムグループの吉田憲司チーム長より超音速機についての基本的な講義をしていただき、超音速機の歴史やソニックブームなど超音速での現象、超音速空力や抵抗の低減などについて学ぶ。
研究室を見学し、研究室の雰囲気や研究者の仕事する様子などを知る。
体験 ・ソニックブームシミュレータを体験する ・JAXAの超音速機の研究成果を知る |
△レジュメをもとに講義を聴き、必要に応じてメモを取る。
△研究室やそこで仕事をしている人たちの様子を見学し、研究現場の雰囲気を体感する。
△数人ずつ、ソニックブームシミュレータ体験を行う。順番を待つ間に、超音速関連の展示物を見学する。 |
仕事をしている人の邪魔にならないように配慮しつつ、生徒から疑問があれば質問などもさせてもらう
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まとめ (60分) |
次回までの課題について 「超音速複葉翼の設計とコンピュータ解析及び水槽実験」と題して、超音速複葉翼の可能性、チャートを利用しての設計実習のやり方、設計結果を使ったコンピュータ解析と浅底水槽による実験についての説明を受ける。 |
△レジュメ、チャートをもとに講義を聴き、必要に応じてメモを取る。学習した内容をもとに設計練習を行い知識の定着を行う。
◎学校での課題がうまくいくよう、生徒とともに講義メモを取り、必要に応じて、質問をした。 |
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- 調布航空宇宙センターの展示室や飛行分室での見学・体験は、生徒にとって興味深いものであり、説明も熱心に聞くことができました。各種シミュレータでの体験など、貴重な経験をすることができたと思います。「超音速機の空気力学の基礎」と「超音速複葉翼の設計とコンピュータ解析及び水槽実験」の講義・説明は、内容が理論的で、生徒にはかなり難しく感じられる部分も多かったようですが、講義が続かないよう配慮いただき、体験や見学も多かったので、全体としては、充実していて楽しいだという印象を受けた生徒が多かったようです。
<今回の授業の指導目標>
1回目の講義・説明で学んだことをもとに、実際に複葉翼の設計と模型製作を行う。
条件に合う模型設計を目指し、試行錯誤を繰り返しながら、各班、3年生を中心に、生徒が協力して計算や模型製作作業を行うことを目的とする。理論的に考えられることがベターであるが、チャートを使って試行錯誤することで、最終的に設計を完成させられるよう積極的に取り組ませ、思考判断力を向上させたい。
時間配分 |
学習内容 |
◎教師の活動
△生徒の活動 |
指導上の留意事項 |
導入 (10分) |
・実習を行うための班分けをする |
△20名を4班5人ずつに分け、班編制を行う。
◎学年、学科に偏りがなく、班分けができるよう助言する。 |
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展開 (140分)
(100分) |
・衝撃波を打ち消す超音速機の複葉翼の模型を2つ設計する。 コンピュータ解析用、(比熱比1.4での設計)と、浅底水槽で使う模型用(比熱比2.0での設計)をマッハ数、翼の頂角などを班ごとに変えて、設計する。
・設計した模型を製作する。 厚さ10mmのアクリル板を切断、研磨する |
△チャートを使い、協力して、2つの設計を行う。 設計条件と設計結果(全長を1とした作図)を記入した設計図を作成する。さらに、浅底水槽で使用するために作成する模型の実際の大きさを決める。 ◎班毎に、異なる条件で設計できるよう助言する。
△ 設計図に基づき模型の製作を行う。
◎アクリル板の切断・研磨については安全に配慮し、ある程度手伝う。 |
生徒が自ら考えて、工夫、協力ができるように注意する。
設計結果を見せ合い、自分の班の設計の確からしさも考察させる。
アクリル板の切断・研磨については、危険のないよう十分に配慮しながら、できる部分は生徒に行わせるようにする。 |
まとめ (20分) |
次回の講座に向けて ・設計図と作成した模型の確認 ・諸連絡 |
△ 設計図と模型を班毎にまとめ、提出する。 |
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- 各班、様々な条件設定で設計を始めたが、うまく設計できないことが多かった。最初はとまどったものの、徐々にマッハ数や頂角の条件が狭まってきて、その範囲内で少しずつ条件を変え複葉翼の設計を行った。設計に思った以上に時間がかかったため、2日間に分けての作業となった。生徒は、根気強く、設計作業に取り組み、設計の難しさを感じるとともに、達成感を感じることができたようである。
<今回の授業の指導目標>
前回、設計・製作した模型を使って、CFD解析と浅底水槽実験での水流に対する抵抗についての観測をする。設計がうまくできたかを視覚的に確認する。また、実習を通して、翼の間隔や速さ(水流)を変えると抵抗がどのように変化するか,なぜそうなるのかなどを考え、科学的に考える力を向上させることをねらいとする。また、グループでのディスカッションや発表を通して、協力しながら問題を解決する能力を磨かせたい。
時間配分 |
学習内容 |
◎教師の活動
△生徒の活動 |
指導上の留意事項 |
導入 (10分) |
日程確認 実習の班の確認 |
△班毎にCFD解析と水槽実験の実習を交代して行うので、それぞれの班の日程を確認し、模型や設計図を持って移動の準備を行う。 |
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展開 (200分) |
衝撃波を打ち消す複葉翼の模型の設計をもとに実習をする。 ・ 設計したデータを入力し、CFD解析を行う。
・製作した模型を使い、浅底水槽で衝撃波の観測を行う。
実習のまとめとして、配布された用紙に、実験・実習の結果や考察を書き入れる。 |
△ CFD解析で、衝撃波がうまく打ち消される場合、翼の間を空気がうまく流れず詰まってしまう場合などのデータを入れ、解析結果を確かめる。
△作成した模型で、衝撃班が消える様子を観察する。翼の間隔や水流の速さを変えて、どのような変化が起きるかも確認する。
◎生徒の実習の様子や水槽実験での結果を、事後学習の資料用として写真を撮影する。
△条件の設定、模型の形状、CFD解析の結果の添付、水槽実験での水流の観察図や実験でわかったことなどを書き入れ、班毎のまとめを行う。各個人の感想も書く。 |
全ての生徒が、実習に積極的に参加できるよう、配慮する。
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まとめ (60分) |
「実習のまとめと感想」を発表する。(各班10分) 講師による講評とまとめを聞く。 |
△ 実習のまとめをした用紙を教材提示装置で提示しながら、班毎に結果と感想を発表する。
◎事後の学習に活かせるよう、講評についてメモを取る。 |
役割分担をして、全員が少しずつ発表するようにさせる。 |
- 班ごとに設計した複葉翼のデータや製作した模型を使って実習を行い、実習結果をまとめる時間を十分に取り、それについて発表の時間もとったため、全員で協力して積極的に取り組めたと思います。講義や模型の設計段階ではあまり理解できていなかったことも、今回の実習やそのまとめの中で理解を深めることができました。前回と今回の実習を通して、超音速機の開発や設計が身近に感じられたのではないかと思います。