授業連携

情報通信技術と宇宙科学 ~身近な通信技術が宇宙の謎を解明する~

千葉県・東海大学付属望洋高等学校

  • 高等学校
  • 高2
  • その他

概要

<全授業を通した指導目標>

情報通信技術の発達は、宇宙誕生の謎や宇宙の姿など宇宙空間の解明や発見にも貢献しており、電波望遠鏡によって、宇宙から発せられている電波を受信解析することで、可視領域からでは得られない貴重な宇宙の姿が明らかになっている。本講座では、携帯電話やデジタル放送など身近な通信技術が宇宙誕生の謎や進化、星間物質の組成分析、生命存在の有無など宇宙の姿を解明する上で重要な科学技術であることを認識させる目的で実施したい。

<対象>

高校2年生 21名

<期間>

平成24年9月11日~平成25年1月22日

<区分>

望洋理科特別講座(BSSP)

構成表

実施日
時間
形式
人数
授業内容
1
50分
講義
21名
事前学習:本校実施
・本テーマに関する全体ガイダンス
・講座の目的、達成目標、取り組みに関する指導を実施。
・第2回講座の事前学習として、電磁波、黒体輻射の基礎を学習した。
2
320分
講義
実習
21名
(東海大学付属望洋高等学校にて実施)
テーマ:「電波天文学とは何か、パラボラアンテナの作成」

・電磁波の基礎的内容。
・ハッブル宇宙天文台、日本の宇宙天文台などの観測成果の紹介。
・宇宙を構成している原子の組成やガスやチリの様子、温度分布、銀河形成の推移、ブラックホールや天の川銀河の構造について。
・一人1枚の画用紙を所定の線に従って切断し、アルミホイルを貼り付け、凹面状の形状に加工しパラボラアンテナの製作。
講師:朝木 義晴
(JAXA 宇宙科学研究所 宇宙物理学研究系)
支援:門倉 真士(宇宙教育センター)
3
50分
講義
21名
事前学習:本校実施

・第4回講座の事前学習として、パラボラアンテナの原理、太陽の表面温度を電波で測定する原理について学習。
4
380分
講義



実習






討論
発表
21名
(JAXA相模原キャンパスにて実施)

・「JAXAについて」、「相模原キャンパスでの研究活動について」の紹介
・第2回講座で製作したパラボラアンテナを用いて太陽や空から注いでくる電波を受信。
・電波吸収体からの放射電波と、液体窒素に浸して極低温にしたときの放射電波の2つを温度算出時のベースとなるデータとして測定。
・太陽からの放射電波と天頂方向の電波を受信して、太陽表面と宇宙の温度に対応する電波を受信。
・太陽表面の温度を算出する作業実施。
・施設見学。
・グループディスカッション、プレゼンテーション
講師:朝木 義晴
(JAXA 宇宙科学研究所 宇宙物理学研究系)
支援:門倉 真士(宇宙教育センター)
5
50分
講義
21名
事前学習:本校実施
・第6回講座の事前学習として,ALMA電波天文台の事前学習。
6
330分
講義


見学

実習


討論
発表
32名
・「電磁波とは」「ALMA望遠鏡とは」「ALMAで探る宇宙」「電波天文学と我々の生活」について受講。

・施設見学。

・「宇宙の年齢を計算してみよう!」というテーマで、宇宙年齢を計算する実習を実施。

・結果のまとめ、プレゼンテーションを実施。
講師:下条 圭美(国立天文台野辺山太陽電波観測所)
北林 照幸(東海大学理学部物理学科准教授)
7
90分
まとめ
21名
事後学習:本校実施

事後学習として、講座全体のアンケート調査ならびに感想の記入ならびに講座で得られた知見の総括を行った。

第1回目/全7回『授業記録シート』

※本講座は、講義→実験・観察→グループディスカッション→プレゼンテーションの流れを基本として構築している。また、各講座単発にまとめるのではなく、次回の講座の導入として問題発見解決能力を養うための課題を与え、事後学習・報告書作成実習で生徒自身が問題提起に対して解決していくプロセスを学習できるような教育環境を整えることに留意したい。そのためにも、生徒の活動として討論・発表を重視したい。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
30分
講義
◎講座の目的、達成目標、取り組みに関する指導を実施。
・電磁波、黒体輻射の基礎を学習した。日常的に電波が私達の生活にどのように寄与しているか、黒体輻射についてその基礎を指導した。
20分
ワーク学習
△ワークシートを用いて、身の回りに電波がどのように貢献しているかなど理解を深めるワーク学習を行った。

第2回目/全7回『授業記録シート』

※本講座は、講義→実験・観察→グループディスカッション→プレゼンテーションの流れを基本として構築している。また、各講座単発にまとめるのではなく、次回の講座の導入として問題発見解決能力を養うための課題を与え、事後学習・報告書作成実習で生徒自身が問題提起に対して解決していくプロセスを学習できるような教育環境を整えることに留意したい。そのためにも、生徒の活動として討論・発表を重視したい。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
                              
90分
講義
◎・電磁波の基礎的内容
・ハッブル宇宙天文台、日本の宇宙天文台などの観測成果の紹介
・宇宙を構成している原子の組成やガスやチリの様子、温度分布、銀河形成の推移、ブラックホールや天の川銀河の構造について
150分
実験
△パラボラアンテナの原理、専用画用紙を用いて、パラボラアンテナの製作。
40分
問題発見学習
△アンテナの形状がどのような役割、効果を出しているかを検討した。
40分
グループディスカッション
プレゼンテーション
△製作を通じて得られた知見や凹状の意味など電波を受信するための工夫について検討した。また、講座全般を通じて、得られた知見や講座全体を通して判ったこと、疑問に思ったことなどをホワイトボードにまとめ発表した。

授業の感想・メモ

本校HP SPP活動報告文より

  • BSSP〔宇宙〕は、情報通信技術が宇宙の解明にどのように貢献しているかを知り、実際にパラボラアンテナを作成して太陽の表面温度を測定する実習を行います。さらに、宇宙から発せられている電波を受信し、解明する電波望遠鏡のしくみや電波天文学で明らかになった知見について深く学習します。

    第1回目の講座は、「電波天文学とは何か、パラボラアンテナの作成」をテーマに、いろいろな「波長」で観測する宇宙について朝木先生より講義を受けました。冒頭、多くの人が周知しているオリオン座の可視光と赤外線で観測した姿が紹介され、その違いに圧倒されました。講義は、電磁波の基礎的な説明からスタートし、電磁波の概要、ハッブル宇宙天文台、日本の宇宙天文台などの観測成果の紹介など興味ある知見について学習を行いました。特に、電波を観測することで普段見ている宇宙の姿が大きく異なることや宇宙を構成している原子の組成やガスやチリの様子、温度分布、銀河形成の推移など様々な知見が得られることを学びました。また、ブラックホールや天の川銀河の構造についての話は興味深く生徒たちは真剣に聞き入っていました。恒星の表面温度とそこから発せられる電磁波のスペクトルの関係についても説明を受け、次回行う太陽の表面温度の計測の基礎となる知識を得ることができました。

    午後からは、パラボラアンテナの作成に入りました。一人1枚の画用紙を所定の線に従って切断し、アルミホイルを貼り付け、凹面状の形状に加工してきました。生徒達は丁寧に作業を進めていきました。完成したパラボラアンテナは、BSSP〔宇宙〕の次回講座では、JAXA相模キャンパスに赴き、実際に太陽からの電波を測定し、温度を求める実習に使用します。

第3回目/全4回『授業記録シート』

※本講座は、講義→実験・観察→グループディスカッション→プレゼンテーションの流れを基本として構築している。また、各講座単発にまとめるのではなく、次回の講座の導入として問題発見解決能力を養うための課題を与え、事後学習・報告書作成実習で生徒自身が問題提起に対して解決していくプロセスを学習できるような教育環境を整えることに留意したい。そのためにも、生徒の活動として討論・発表を重視したい。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
30分
講義
◎講座の目的、達成目標、取り組みに関する指導を実施。
・製作したパラボラアンテナの微調整、次回講座で学習するための予習。太陽の表面温度を電波で測定する原理について学習。
20分
△ワーク学習
ワークシートを用いて、身の回りに電波がどのように貢献しているかなど理解を深めるワーク学習を行った。

第4回目/全7回『授業記録シート』

※本講座は、講義→実験・観察→グループディスカッション→プレゼンテーションの流れを基本として構築している。また、各講座単発にまとめるのではなく、次回の講座の導入として問題発見解決能力を養うための課題を与え、事後学習・報告書作成実習で生徒自身が問題提起に対して解決していくプロセスを学習できるような教育環境を整えることに留意したい。そのためにも、生徒の活動として討論・発表を重視したい。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
                        
90分
講義
◎・「JAXAについて」、「相模原キャンパスでの研究活動について」の紹介
160分
実習

1.第2回講座で製作したパラボラアンテナを用いて太陽や空から注いでくる電波を受信。
2.電波吸収体からの放射電波と、液体窒素に浸して極低温にしたときの放射電波の2つを温度算出時のベースとなるデータとして測定。
3.太陽からの放射電波と天頂方向の電波を受信して、太陽表面と宇宙の温度に対応する電波を受信。
4.太陽表面の温度を算出する作業実施。
40分
問題発見学習
△太陽の表面温度を実験データより算出した。
40分
プレゼンテーション
△グループ毎に意見を集約し、プレゼンテーション実習を行い、意見の共有化をはかった。
10分
その他諸連絡

授業の感想・メモ

本校HP SPP活動報告文より

  • 第2回目の講座は、「電波から太陽の表面温度を求めよう」をテーマに、第1回講座で製作したパラボラアンテナを用い、太陽からの電波を受信し、そこから太陽表面の温度を算出する内容です。
     本校を7時過ぎに出発し、約2時間半で神奈川県相模原市にあるJAXA相模原キャンパスに到着しました。JAXAとの連携は3年目になりますが、相模原キャンパスは初めての講座となりました。
     はじめに、「JAXAについて」、「相模原キャンパスでの研究活動について」の紹介映像を見ました。話題の「はやぶさ」の成果をはじめ、宇宙に関する様々な研究活動が行われていることがわかりました。
     続いて、施設屋上にて、第1回講座で製作したパラボラアンテナを用いて太陽や空から注いでくる電波を受信しました。生徒一人ひとりが製作したパラボラアンテナを天体望遠鏡の赤道儀に据え付けて測定を行いました。雲ひとつ無い晴天のもと、秋風が心地よい屋上での活動となりました。次に、BSアンテナを装着して、同様な方法で電波を受信しました。また、電波吸収体でアンテナの受信部を覆い、気温での電波吸収体からの放射電波と、液体窒素に浸して極低温にしたときの放射電波の2つを温度算出時のベースとなるデータとして測定後、太陽からの放射電波と天頂方向の電波を受信して、太陽表面と宇宙の温度に対応する電波を受信しました。
    午後からは、太陽表面の温度を算出する作業に入りました。計算に必要な太陽に関する知見を深めた後、絶対温度と電圧の関係のグラフを電波吸収体の放射データを基に方眼紙に描き、温度換算の基本となるグラフを作成しました。更に、太陽の視直径やパラボラアンテナの解像度、ノイズなどを考慮して、最終的に太陽表面の温度を概算で求めました。
    その後、施設見学において小惑星探査機「はやぶさ」や「IKAROS」などの科学衛星や科学観測用大気球、衛星打上げロケット「M-V」について詳細な説明を受けました。最後に恒例のグループディスカッション、プレゼンテーションを行い本日の講座を終えました。
    BSSP〔宇宙〕の次回講座は、国立天文台三鷹キャンパスに赴き、太陽観測、電波天文学について引き続き学習します。

第5回目/全7回『授業記録シート』

※本講座は、講義→実験・観察→グループディスカッション→プレゼンテーションの流れを基本として構築している。また、各講座単発にまとめるのではなく、次回の講座の導入として問題発見解決能力を養うための課題を与え、事後学習・報告書作成実習で生徒自身が問題提起に対して解決していくプロセスを学習できるような教育環境を整えることに留意したい。そのためにも、生徒の活動として討論・発表を重視したい。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
30分
講義
◎講座の目的、達成目標、取り組みに関する指導を実施。
・製作したパラボラアンテナの微調整、次回講座で学習するための予習。太陽の表面温度を電波で測定する原理について学習。
20分
ワーク学習
△ワークシートを用いて、身の回りに電波がどのように貢献しているかなど理解を深めるワーク学習を行った。

第6回目/全7回『授業記録シート』

※本講座は、講義→実験・観察→グループディスカッション→プレゼンテーションの流れを基本として構築している。また、各講座単発にまとめるのではなく、次回の講座の導入として問題発見解決能力を養うための課題を与え、事後学習・報告書作成実習で生徒自身が問題提起に対して解決していくプロセスを学習できるような教育環境を整えることに留意したい。そのためにも、生徒の活動として討論・発表を重視したい。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
                      
90分
講義
◎・「電磁波とは」、「ALMA望遠鏡とは」、「ALMAで探る宇宙」、「電波天文学と我々の生活」について受講。
90分
見学
◎施設見学実習
90分
問題発見学習
グループディスカッション
◎・「宇宙の年齢を計算してみよう!」というテーマで、宇宙年齢を計算する実習を実施。
30分
プレゼンテーション
◎・グループ毎に、講義や施設見学実習を通じて得た知見を基に、問題発見学習に即した内容をまとめ発表する。
10分
その他諸連絡

授業の感想・メモ

本校HP SPP活動報告文より

  • 第3回目の講座は、「電波天文学から最先端の宇宙を知ろう」をテーマに、電波で知る宇宙の姿について学習しました。国立天文台は、はじめての訪問となります。
    本校を7時過ぎに出発し、約2時間半で東京都三鷹市にある三鷹キャンパスに到着しました。
    先生方より自己紹介をいただいた後、宇宙天文学に関する講義からスタートしました。「電磁波とは」、「ALMA望遠鏡とは」、「ALMAで探る宇宙」、「電波天文学と我々の生活」について説明を受けました。宇宙から放射される電磁波を波長別に調べることで、星の温度や成分、相対運動など様々な事がわかることを学習しました。「ALMA天文台」に関する説明では、観測のターゲットとして、星の生まれる場所の特定、星の最後の様子、銀河誕生の様子など幅広い観測対象があることが分かりました。最後に、最近の成果について詳細な説明が行われました。
    午後からは、施設見学に入りました。秋の心地よい日差しの中、森林浴を満喫しながら、第一赤道儀室、太陽系ウォーキング、天文台歴史館、太陽塔望遠鏡、展示室などを見学しました。日本で最大口径65cmを誇る屈折望遠鏡は焦点距離10mと長く、抜群の存在感を示していました。展示室では、すばる望遠鏡、ALMAなどの模型展示や研究成果などの紹介が行われていました。
    見学後、「宇宙の年齢を計算してみよう!」というテーマで、宇宙年齢を計算する実習を行いました。系外宇宙に存在する銀河から放射された水素の電波を受信し、ドップラーシフトを利用して地球から銀河が遠ざかる速度を求めました。さらに、地球からの距離を求め、宇宙年齢を算出しました。pc(パーセク)、分角など聞き慣れない単位が出てきましたが、グループで協力しながら宇宙年齢を求めました。
    最後に、グループで結果をまとめ、ホワイトボードにてプレゼンテーションを行いました。宇宙年齢は50億年~300億年と幅のある値が報告されましたが、正しくは、137億年とのことでした。
    以上で、BSSP〔宇宙〕の講座は全過程を終了しました。私たちの生活に身近に存在している電波は、携帯電話やデジタル放送などの情報通信技術として注目されがちですが、電波天文学に関連する科学技術は、宇宙の謎を解明する貴重なデータも与えていることを学び取りました。

第7回目/全7回『授業記録シート』

※本講座は、講義→実験・観察→グループディスカッション→プレゼンテーションの流れを基本として構築している。また、各講座単発にまとめるのではなく、次回の講座の導入として問題発見解決能力を養うための課題を与え、事後学習・報告書作成実習で生徒自身が問題提起に対して解決していくプロセスを学習できるような教育環境を整えることに留意したい。そのためにも、生徒の活動として討論・発表を重視したい。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
60分
まとめ
△全講座を通じて学んだことを総括した。
20分
ワーク学習
△ワークシートを用いて,講座の内容をまとめた。
10分
その他諸連絡

千葉県・東海大学付属望洋高等学校

授業連携実績一覧

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