教員研修

SPP(サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト)教員研修会テーマ『宇宙・宇宙開発を理科につなげる』

群馬県・群馬県教育委員会

概要

全研修を通した趣旨

群馬県教育委員会で最重点に取り組んでいる「授業改善」を充実させるために、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との連携のもと、教員の指導力の向上や授業方法の工夫改善を図ることを目的とする。授業の導入時に使用する画像をJAXAのHPを中心に検索し、グループに分かれて導入教材を制作する。最終日には高校生を対象に研究授業(制作した教材を用いた研究授業・火薬ロケットの製作・打上げ)を行い、授業についてJAXA職員を交えながら意見交換をする。

対象

県立高等学校の地学を専門としない理科教員 15名

期間

平成18年9月16日~10月17日

回数(総時間)

3回(12時間)

構成表

実施日
時間
形式
人数
内容
1
240分
講義
12名
「宇宙開発の現状とJAXA」(90分)
 講師:本間 正修
 (JAXA宇宙利用推進本部 利用推進プログラム・システムズエンジニアリング室長)
講義
「太陽系と地球」(90分)
 講師:今村 剛
 (JAXA宇宙科学研究本部 宇宙科学共通基礎研究系 助教授)
講義 実技 演習
「導入教材について」(60分)
 講師:遠藤 純夫
 (JAXA宇宙教育センター 参事)
「宇宙教育センターの紹介」
 講師:岸 詔子
 (JAXA宇宙教育センター 主査)
◎参考教材:導入教材ガイドブック 理科編
 支援:遠藤 純夫・浅野 眞・岸 詔子
2
240分
実技 演習
15名
「教材化の作業」(90分)
導入教材の方向性を示す資料制作を目的とする。
 支援:中村 日出夫
 (品川区荏原第一中学校 校長)
 TA:田口 裕一
 (JAXA宇宙科学研究本部 対外協力室)
講義 見学
「はやぶさを中心とした人工衛星開発」(150分)
小惑星探査機「はやぶさ」プロジェクト関連の講義・見学
 講師:清水 幸夫
 (JAXA宇宙科学研究本部 技術開発部 試験技術開発グループ 主任開発員)
 支援:浅野 眞・岸 詔子・森 理恵
3
240分
見学 実技 演習
11名
群馬県立館林商工高等学校の生徒13名を対象に行われた研究授業を見学する。(180分)
・制作した教材を用いた研究授業を行う。
・火薬ロケットの製作・打ち上げ
 授業者:時田 和美
 (群馬県立館林商工高等学校 教諭)
演習
研究授業後、研修参加者とJAXA職員が授業について意見交換する。(60分)
 岸 詔子
 (JAXA宇宙教育センター 主査)
 支援:岸 詔子

群馬県・群馬県教育委員会

第1回目/全3回『研修会記録シート』

実施日
9月16日
合計時間
240分
参加数
12名

<今回の研修の指導目標>
宇宙科学と宇宙開発の基礎について講義を受けることにより、JAXAが現在取り組んでいる研究・開発をとおして宇宙と地球の関わりについて理解を深める。

時間配分
研修内容
受講者のようす・感想
研修の感想・メモ
講義
(90分)
「宇宙開発の現状とJAXA」  
本間 正修氏     
(宇宙利用推進本部 利用推進プログラム・システムズエンジニアリング室長)         
・はやぶさについて             
・ロケット・輸送システムについて      
・宇宙利用について             
・国際宇宙ステーションについて       
・私たちはなぜ宇宙に向かうのか
・地表の反射特性や放射特性で様々なことが分かることに驚いた。
・現在の宇宙開発の重点や衛星・ロケットのしくみが分かった。 
・各国のロケット打ち上げの成功率についてはそれほど大きな差は無いと感じた。日本は最近失敗が続いていたのでどうかと思っていたが、あまり心配するほどのものでもないと感じた。
・具体的な活用例を知ることができ、とても参考になった。
・無重力状態での体験は参考になった。
・JAXAが取り組んでいる事業等、分かりやすく説明していただいた。授業に活用できる話題も豊富にあった。
講義
(90分)
「太陽系と地球」
今村 剛氏
(宇宙科学研究本部 宇宙科学共通基礎研究系助教授)
・太陽系惑星の顔ぶれ             
・地球環境の成立               
・地球の隣人、火星と金星              
・系外惑星
・原始太陽系の形成は面白く分かりやすかった。微惑星という言葉を始めて聞いた。地球型惑星と木星型惑星の形成の違いも分かりやすかった。
・地球に近い火星や金星の大気組成や惑星を作っている成分を学ぶことにより、当たり前に思っている地球環境のありがたさや不思議さを生徒に伝えることができるのではないかと感じた。
・「これから」の分野ということが心に残るものであったが、将来研究がどこまで進むのか気になった。
・金星・火星の大気の違いや最新の話題等興味深い内容であった。理科総合B等で教員が生きた言葉で話し、生徒に還元できればと思う。
講義
実技
演習
(60分)
導入教材について               
・導入教材の重要性について        
・導入教材研究の紹介              
・素材紹介
・宇宙について高い関心を持つ生徒は多いのでJAXAが保有する画像や動画を使っての導入教材は、さまざまな授業で有効利用できると思う。
・各学校の実態に合わせて、「授業改善」の充実に繋がるような教材作成を望む。

群馬県・群馬県教育委員会

第2回目/全3回『研修会記録シート』

実施日
9月30日
合計時間
240分
参加数
15名

<今回の研修の指導目標>
前回検討した画像や動画を用いて、他の惑星と比較させたり、生命を生み出す条件を備えた地球の特徴について理解させるための教材を作成する。また、施設に関連する講義・見学実習をとおして宇宙開発への理解を深める。

時間配分
研修内容
受講者のようす・感想
研修の感想・メモ
実技
演習
(90分)
教材化の作業                  
・JAXA保有の画像や動画を用いての導入教材の作成
・宇宙については生徒が興味を持ちやすいので勉強の動機づけに使えればと思う。
・総合的な学習の時間やホームルームなど、理科の授業以外でも使えそうなのでぜひ利用させていただきたい。
・時間が経つのも忘れ夢中で作業してしまいました。人工衛星からの群馬の地形やロケットの画像、人工衛星の画像を取り込んだ。
・画像の取り込みの説明を受けて今後はスムースに活用できると感じた。
・膨大な画像や動画の前に参加教員が夢中になって作業しているのが印象に残った。これらの画像は学校現場で様々な場面で活用できると感じた。
講義
見学
(150分)
「はやぶさを中心とした人工衛星開発」
清水 幸夫氏  
(宇宙科学研究本部 技術開発部試験技術開発グループ主任開発員)
・先生の熱のこもった説明に引き込まれ時間が経つのを忘れるほどだった。
・はやぶさの構造や、イトカワのサンプルを採取する方法がいろんなアイデアから考え出されたいきさつなど、大変興味深い話だった。               
・惑星探査の歴史のみならず、運用方法等についても詳しく聞くことができ、実際に見ることができ、更に深く知りたくなった。
・研究者・技術者の熱い思いが伝わってきた。
・パワーポイント等の講義に慣れていた我々にとって、実物を見ながらの人工衛星の構造や歴史、研究者の苦悩等の詳しい説明には感銘した。新しい講義の形として有効だと感じた。

群馬県・群馬県教育委員会

第3回目/全3回『研修会記録シート』

実施日
10月7日
合計時間
240分
参加数
11名

<今回の研修の指導目標>
JAXAでの研修が生徒の実態にあった教材になるかどうか、実際の授業で生徒に対して展開する。また、火薬ロケットを実際に製作し、打ち上げて生徒の科学技術に対する興味・関心を高める。授業終了後、研修参加者とJAXA職員とそれぞれの立場からの意見を交換する。

時間配分
研修内容
受講者のようす・感想
研修の感想・メモ
見学
実技
演習
(60分)
研究授業
授業者:時田 和美
(群馬県立館林商工高校 教諭)
・JAXAホームページからダウンロードした画像や動画を使っての無重量の説明・各運動量保存の法則等具体的な例をあげての解説は大変わかりやすい。さらにダイヤカット缶、ミウラ折りなど生徒の興味・関心を引く内容も盛り込まれていて大変参考になった。今回の研修で学んだ内容を生かすことにより、新たな視点で授業が展開できると思われる。
・1時間の授業としてはかなり密度の高い授業であった。参加した教員側としては、参考になる部分が数多くあり、各校の実態に合わせた教材作成がイメージできたと思う。授業者は相当の時間と労力を費やしたと思われる。各校での実際の授業では、今回の研究授業の一部分にポイントを絞った展開で十分であろう。
見学
実技
演習
(120分)
生徒実習「火薬ロケットの製作と打ち上げ」
授業者:時田 和美
(群馬県立館林商工高校 教諭)
・火薬ロケットは1時間程度で作れるということで生徒たちも楽しく真剣に取り組めていた。天候が心配であったが無事打ち上げることができてよかった。大空を飛ぶ姿を見られたことで生徒の心の中にとても大きな達成感、満足感が生まれたと思う。そして、科学への興味・関心を深められたであろう。
・当日は強風のためロケットを真上に打ち上げることができず残念であった。ただ、火薬ロケットの打ち上げは他の学校ではあまり実施していないので今後の参考になったと思う。
演習
(60分)
授業研究並びにディスカッション
・JAXAホームページでの有効な教材の提示方法や、取得した動画や画像の使い方、研究授業を各学校でどのように生かすかなど様々な角度から有意義な議論が行われた。
・ディスカッション中に火薬ロケット打ち上げのためのライセンスの取得法の話があった。各校でも生徒の実態に合わせて工夫し、このような体験学習が増えることを望む。

群馬県・群馬県教育委員会

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