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〜X線分光撮像衛星(XRISM)の挑戦〜
Q&A

たくさんいただいた質問に登壇者が回答しました。
質問部分をクリックすると回答が見れます。



天文学

天の川の真ん中に見えるのはM87ですか?

M87はおとめ座銀河団(Virgo Cluster)の中心にあり、
天の川の中心には射手座Aスターと呼ばれる大質量ブラックホールがあります。



天の川から太陽系をみたらどんなふうにみえるのでしょうか??(X線・可視光線)

天の川のどこからか、にもよりますが、天の川銀河の中心からであれば、可視光では塵に隠されて、X線はそもそも暗すぎて太陽は見えないと思われます。
天の川銀河内にある近くの星からであれば、地球から見る他の星と同じように見えるでしょう。



太陽も極域の太陽風は強いのですか?

太陽はむしろ低緯度帯の方が黒点も多く、激しく活動しています。



XRISMのHPに記載されている「銀河に吹き渡る風をみる」というのは
ブラックホール由来のガスを観測するという意味ですか。

ブラックホールからのアウトフローの他にも、超新星爆発の重ね合わせによって銀河から多量のガスが噴き出す現象も確認されています。
また、高温のプラズマはそれ自体が重力の縛りを振り切って拡散する性質を持ちます。
「銀河を吹き渡る風」という表現は、そうしたプラズマの流れを総称したものです。



ブラックホールと中性子星のX線の時間変動はどれくらい異なるのですか。
XRISM衛星はどれくらいの時間変動幅(時間分解能?)まで観測できるのでしょうか。

大雑把には、時間変動の速さは放射領域の大きさで決まります。
小さい天体ほど、速い時間変動が観測されます。ブラックホールは、それ自体は「無限に小さい天体」ですが、光を出す領域は「シュバルツバルト半径」と呼ばれる半径よりも外側に限られます。
太陽と同じ質量のブラックホールの場合、その半径は約3kmです。
一方、典型的な中性子の半径は10km程度なので、原理的に実現可能な時間変動の速さは、ブラックホールと中性子星の間でそれほど大きくは変わりません。
XRISMに搭載されるResolveは、1ミリ秒以下の絶対精度で光子到来時刻の測定を行えます。
相対的には、さらに細かい時間分解(80μs程度)も可能です。



宇宙は無限につづいてるんですか?

これは私たちにはわかりません。
但し、私たちの宇宙は、少なくとも観測可能な領域の大きさ(宇宙の年齢に光の速さを掛けたもの)よりもはるかに大きいと考えられています。



宇宙の泡構造はどういうしくみで形成されたのでしょうか?

一言で言うと、重力です。
宇宙が生まれた直後に暗黒物質の密度分布にごくわずかな「ムラ」がありました(宇宙マイクロ波背景放射のパターンとして確認できます)。
密度が高いところは少しだけ重力が強いので、周りの物質を引き寄せて、さらに密度が高くなります。
逆に、密度が低いところはさらに密度が低くなります。
このプロセスが宇宙年齢の138億年間かけて、現在のような泡構造(密度が高い銀河団やフィラメント構造と、スカスカのボイド構造)が形成されました。



XRISMについて

ASTRO-Hの反省をふまえてXRISM...ということですが、
具体的にどのようなことをなさっているか、お話いただけるようであれば教えていただきたいです。

衛星システムとしては、姿勢制御のためのスタートラッカーや視野の広い太陽センサを複数台搭載し、常時安全に姿勢制御できる仕組みに改良しています。
また、異常対応を含めた運用訓練を入念に行っているほか、異常時は速やかに対応できるよう、海外の運用局等も利用して24時間体制で運用を行います。



XRISMのエンジンはどこに配置されていますか。

XRISMは探査機(はやぶさ2など)のように遠くに行くわけではないので「エンジン」は搭載しませんが、「スラスタ」と呼ばれる飛行高度の調整などに使う噴射装置が衛星のお尻のあたりについています。



一般の方(趣味で研究したい方)がXRISMのデータの解析をすることは可能なのでしょうか?

観測データは世界中に公開されますので、どなたでも解析いただくことが可能です。



XRISMは、日本語名は作らないのですか?

従来の衛星では打ち上げ後に和名を命名することが一般的でしたが、今回はXRISMで通す予定です。
チームメンバーや開発に関わっていただいた企業の皆さんがXRISMという名称に愛着を持たれていることが主な理由になります。



XRISMプロジェクトの研究の仕事は楽しいですか?

はい、楽しいです!



その他

中学生です。
XRISMがうまくいくとブラックホールなどが詳しく調べらるようですが、
私たちの生活が何か大きく変わることはありますか?

ブラックホールのことが詳しくわかったとしても、即座に私たちの生活が変わることはありません。
しかし、ブラックホールを含む様々な天体や天文現象を理解するためには、物理学や数学の知識を駆使する必要があります。
新しい物理法則が発見される可能性もあります。
それらは天文学に限らず様々な分野に影響を与えますし、間接的に私たちの生活を便利にすることもあります。
一例を挙げると、ブラックホールの観測からも実証可能な一般相対性理論は、重力が強いところほど時間がゆっくり進むことを説明します。
この効果は重力さえあれば現れるので、重力源がブラックホールである必要はなく、地球上でも感じることができます。
皆さんの現在地を教えてくれるGPSは、手元の端末と複数台の人工衛星の間で電波を送り合い、信号の到達に要する時間から位置を計測します。
その際、端末側と人工衛星側で同じ時計を用いなければなりませんが、人工衛星がいる場所の方が地球による重力が少しだけ弱いので、時計が速く進んでしまいます。
一般相対論の知識を使ってこれを正しく補正することで、正確な位置測定が行えるのです。
同じような例は他にもたくさんありますので、これから高校、大学と進んでいく中で、広い視野を持って学びを深めていってくださいね。



この分野を学ぶのにお勧めの本やサイトなどありますか。

(大学生〜大学院生向けレベル)
・新天文学ライブラリー
 「銀河団」北山哲著、「ブラックホール天文学」嶺重慎著 日本評論社

(入門者向け)
・B&Tブックス「トコトンやさしい 天文学の本」
 山口弘悦、榎戸輝揚著 日刊工業新聞社刊



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