ISEB学生派遣プログラム
【2009年度】第60回 IACテジョン大会
派遣期間 | 平成21年10月10日(土)~10月17日(土) |
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派遣先 | 大韓民国 大田(テジョン)広域市(DCC:テジョンコンベンションセンター)他 |
主なスケジュール
日付 | 内容 |
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11日(日) | ISEB学生プログラムオリエンテーション・Session with ISEB Heads of Education and Students・ISEB Student Session・JAXA派遣学生ブリーフィングへの出席 |
12日(月) | Opening Ceremony・Q&A Session with HoA/Senior Representative and Students ・IAC2009プログラム(テクニカルセッション・プレナリーセッション・ハイライトレクチャー)・Welcome Receptionなどへの出席 |
13日(火) | IAC2009プログラム(テクニカルセッション・プレナリーセッション・ハイライトレクチャー)等・KARI(韓国航空宇宙研究所)/JAXA共催学生イベント・ISEBランチイベント(白鴻悅前KARI理事長)および本間正修JAXA理事によるレクチャー)への出席 |
14日(水) | IAC2009プログラム(レイトブレーキングニュース・テクニカルセッション・プレナリーセッション・ハイライトレクチャー)およびISEBランチイベント(CNES・CSAによるレクチャー)等へ出席 |
15日(木) | IAC2009プログラム(レイトブレーキングニュース・テクニカルセッション・プレナリーセッション)、ISEBランチイベント(NASAによるレクチャー)、ISUによる教育プログラム紹介、IISL模擬裁判決勝、Next Generation Party等への出席およびスぺースティバル会場におけるJAXA学生主導による宇宙教室実施 |
16日(金) | IAC2009プログラム(レイトブレーキングニュース・テクニカルセッション・プレナリーセッション・ハイライトレクチャー)およびISEBランチイベント(ESAによるレクチャー、および、Young Professional Panel)・クロージング・セレモニー等へ出席 |
ISEB学生派遣プログラム(第60回IACテジョン大会)(IAC2009)におけるJAXA学生派遣プログラムについて
JAXAはIAC2008グラスゴー大会終了後から2009年10月までの1年間、ISEB(国際宇宙教育会議)の議長機関として、ISEBの活動の根幹となる事項について取りまとめする立場でISEBの宇宙教育活動の発展に貢献するべく努力を重ねて参りました。活動の一環として、IAC2009においては、公式プログラムの参加機会を提供するとともに、ISEB参加機関であるESA、NASA、JAXA、CNES、CSAの宇宙5機関間協力の下、学生への宇宙分野における知識・理解増進の機会提供、学生を交えた学術・研究交流の奨励、国境や専門領域の違いを越えた友好の輪を広げることを目指したISEB学生プログラムを主導的に企画・運営させて頂きました。また、JAXAが本活動を実施するにあたり、より参加学生に資するプログラム作りを目指して、準備・企画段階からJAXAが本年度試行的に実施した学生プログラム・サポータ制度により参加いただいた学生サポータ5名(東大大学院の荒堀真生子さん、吉川岳さん、東京工業大学大学院の佐藤泰貴さん、日本大学大学院の山崎政彦さん、筑波大学大学院の長谷川浩司さん)および宇宙教育サポータ4名(総研大大学院の三浦政司さん、楠野こず枝さん、東京大学大学院の南部陽介さん、吉澤良典さん)の皆さんにご助言・ご提言を頂き、これを基に実現化に向けての議論を重ね、最終的には派遣学生41名全員の参画・貢献により、有意義なプログラムに発展させていくことができました。さらに、IAC2009テジョン地元組織委員会、KARI、KAISTなど韓国各機関の協力の下、韓国から参加されている学生とJAXA学生間の協同や交流機会を提供させて頂くことができました。本ウェブサイトにおいては、本派遣プログラムに参加された学生の皆さんの感想を交え、これらの活動について報告をさせていただきます。
※ 本ウェブサイトにおける執筆者の所属大学・学年等についてはIAC2009テジョン大会参加当時(平成21年10月現在)のものです。
ISEB学生プログラムとしては、IAC2009開催の前日である10月11日(日)を初日としてスタートし、Orientation Session、Session with ISEB Heads of Education and Students、ISEB Student Sessionが開催され、ISEB参加機関より派遣された約100名(JAXA:41名・ESA:21名・CNES学生2名・CSA:24名・NASA:10名)の学生が出席しました。
ISEB Student Sessionでは、JAXA学生が"One for All, All for One!"体制をコンセプトとして41人が一丸となって日本の学生による宇宙研究活動について資料をまとめあげ、発表を行いました。出発前の準備段階から本イベントの総合調整役を担当された東北大学大学院の須藤さん、当日の司会進行を担当された鹿児島大学の水野さん、発表者のトップバッターとして登壇された東京工業大学大学院の西田さんの感想は次のとおりです。
東北大学大学院 工学研究科 航空宇宙工学専攻
博士課程前期2年 須藤真琢
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IACという素晴らしい学会に参加することで得られた学術的な経験はもちろんですが、JAXAプレゼンテーション製作等を通じて得た派遣学生間の交流が非常に有意義なものでした。
各々の考えを十分に把握できていない状況において、円滑な意見交換は成立するのであろうか。派遣学生間の総合調整役として選出して頂いた当初、動揺と不安でいっぱいでした。事前準備において、考えを十分に伝えられないことや把握できないことで、準備が辛い場面さえあったことを覚えています。しかし、現地到着後の意見交換の場において、これらの不安は消し飛ばされました。初めこそ遠慮しがちでしたが、瞬く間にお互いの距離は狭まり、議論のきっかけとなるたくさんの新たな考えや意見が次々と飛び出しました。もちろん、派遣学生間における配慮や気遣いが、円滑な話し合いを可能にしたことは言うまでもありません。多くの価値ある議論を通じて、有意義な派遣プログラムを送ることができたと感じています。
最後に、本派遣プログラムに私と共に参加した派遣学生、JAXA宇宙教育センターの皆様には、たいへんお世話になりました。この場を借りて、厚くお礼申し上げます。
東京工業大学大学院 理工学研究科 機械宇宙システム専攻 松永研究室
修士課程2年 西田淳一
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"One for all, all for one"というコンセプトの元、取り組んだJAXA派遣学生によるプレゼンテーション、私の役割はトップバッターとして日本の学生による小型衛星やロケットなどの宇宙開発活動を紹介することだった。H-IIAによる多数の相乗り衛星打ち上げに象徴されるように近年盛り上がりを見せる日本の大学での宇宙開発を、私の言葉でどのように他国の学生に伝えるか、スライドの構成から写真、話し方に至るまで細心の注意を払った。またこの発表をJAXA派遣学生の「共同作業」的に作成する中で派遣学生同士の連帯感も高まり、まさしく冒頭のコンセプトが実現された発表となった。このような連帯感は他国の学生にも伝わり、発表内容とともに強い印象を与えたと思う。プレゼンテーションだけでなく、今回のIACでは各国宇宙機関からの派遣学生とのネットワークを構築し、また同じJAXA派遣学生の活動に大きな刺激を受けるなど、今までとは違った視点で宇宙活動を考える機会を得ることができた。このような機会を与えてくださったJAXA宇宙教育センターの方々には深くお礼を申し上げたい。
鹿児島大学 理学部 物理科学科
宇宙コース4年 水野いづみ
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IACに参加するにあたり、自分の見通しを立てるために視野を広げるという目標を立てました。言語が英語であることで不安でしたが、貴重な機会を生かすために積極的に望みました。
ISEBの各機関の学生が、活動を発表し合うセッションが初めに開かれました。私はそこでJAXAの派遣学生の古賀さん共に司会を務めました。セッションの情報は直前に伝えられ、本番直前までばたばたしました。そのなかで発表者全員が事前確認のためにつたない英語で話す私達に好意的に接してくれ、セッションを進める上で支えになりました。そして、司会をやり遂げたことは自信につながり、交流の潤滑油となりました。その後、世界中の宇宙に挑む人たちとの交流で、私の視野の狭さを再認識し、他分野、世界へ視野を広げるきっかけを得ました。
これからは研究分野に留まらず、大きなスケールで自分の立ち位置を考えていきたいです。そして、次IACで知り合えた外国の人と再会した時はもっと流暢に話したいと思います。
最後に、近くで支えていただいたJAXA宇宙教育センターの皆様をはじめ全ての私達を支えて下さった方へ、本当にありがとうございました!
また、IAC2009テジョン地元組織委員会に協力し、韓国地元の一般市民・子供たちを対象した宇宙広報イベントである「スペース・フェスティバル」においてJAXA学生ブースを出展し、日韓学生の協力の下、主として韓国の子供達を対象とした様々な宇宙教育イベントを実施し、現地において好評を博しました。メインイベントとして実施された「きみっしょんin韓国("Let's Think Your Space Mission!")」の企画・運営は、毎夏JAXA相模原キャンパスで実施されている「君が作る宇宙ミッション(きみっしょん)」の運営に携わられている宇宙教育サポータ学生4名のアイディアや入念な事前準備作業により実現化されました。このイベントでは、現地の子供達から集められた宇宙に関する願いやメッセージを日本の子供達の願いやメッセージと比較対照するなどの分析作業を日韓学生が協同して行い、10月13日(火)に国際学生ゾーンで実施されたKARI/JAXA共催学生イベントの中で活動成果として発表しました。子供達の多様な考えを理解することを通じて、日韓の相互理解を図る契機となり、KARI/JAXA派遣学生間の友好・交流を一層深める活動ともなりました。
本活動を担当された宇宙教育サポータ楠野さんからの感想は次のとおりです。
総合研究大学院大学 物理科学研究科 宇宙科学専攻
博士課程後期2年 楠野こず枝
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韓国の子供達は「宇宙人」が好き。
IACと平行して行われたSpace Festivalで、私たちは地元韓国の大学の学生さんたちやボランティアの方々と協力し、"Let's think your space mission!"と題して活動を行った。内容としては来場した人たちに自分達の思う宇宙ミッションについて書いて貰うこと。書いてくれた多くが幼稚園から高校生までの子供達で、集まったミッションの数は300を超える大盛況。耳慣れない「宇宙教育」という言葉も難しいことではなく、こうやって子供達と一緒になって宇宙についてちょっと考えてみる。そうやって、少しでも宇宙を身近に感じてもらえることが「宇宙教育」の第一歩だと強く感じた。
最初は戸惑っていたのに、ペンを持って紙に向かうと途端に真剣な表情で書く子や、最初から楽しそうに書く子など反応は様々。「できた!」って笑顔で差し出してくれる子に嬉しくなって「あにょーん」と返すと、笑って手を振ってくれて、国境なんてなくなってしまうんだなと感じることができた。
このような貴重な機会を与えてくださった宇宙教育センターの皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。
さらに、10月15日(木)の夕方には、同じJAXA学生ブースで、JAXA学生による折り紙飛行機、三浦折り、スチレンペーパー凧などの工作を中心とした宇宙教室が開催され、現地の子供達と直に触れ合う貴重な宇宙教育活動機会となりました。
折り紙飛行機教室の企画立案、運営までをトータルコーディネートされた東京大学大学院古賀さんの感想は次の通りです。
東京大学大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻
修士二年 古賀勝
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今回のIACにおいて私は多くの海外の若手宇宙関係者と交流し将来の自分の宇宙活動に役立つネットワーク(そして純粋な友情)を形成することを目標の一つとして臨みました。
会期中、まず私は各国派遣学生が集うISEB学生セッションで司会を担当させて頂きそれを切り口に各国の学生と打ち解けることができました。事前に発表者らと打ち合わせをする時には国際調整の難しさというものも初めて体験することができ、国際的な場面で自分の対応力を試す良い経験ができたと感じています。また、JAXA学生で主催した宇宙教育イベントでも私は折り紙飛行機教室を担当し、サポートに入ってくれた現地学生らと共に共同作業を通じて交流を果たすことができました。日本ですら経験の無かった教育活動に外国で初めて挑戦することは不安ではありましたが、協力して成功裏に終えることができたことは互いに純粋な友情を育むことに役立ったと思っています。
これらの交流の機会を通じて、マネジメント、医学、心理学、さらには起業家に至るまで様々な背景の人達と面識を持つことができ、宇宙開発に携わる人間として発想の幅を広げるチャンネルを増やせたことは非常に意義があったと感じています。
International Student Zone ; ISZ(国際学生ゾーン)
ISEB学生プログラムの一環としてIAC2009 展示会場の中に学生のための研究活動成果発表および人材交流の場としてのInternational Student Zone ; ISZ(国際学生ゾーン)が設置され、会期中、主としてランチタイムにISEB参加5機関・KARIから派遣された専門家による学生対象のレクチャー、KARI/JAXA共催学生イベント、様々な状況を経て宇宙分野でキャリアを築いてきた海外の若手専門家を招いたキャリア・パネル、国際宇宙大学(ISU)の紹介等が実施されました。
Q&A Session with HoA/Senior Representative and Students
本セッションでは、昨年に引き続き、ISEBおよびKARI派遣学生からの質問にISEB参加機関の機関長や代表者が回答を行うという貴重な直接的対話機会として実施されました。今年は、(1)ROLE OF STUDENTS IN THE FUTURE SPACE EXPLORATION(将来の宇宙探査やその他宇宙活動における学生の役割)、(2)IMPACT OF SPACE EXPLORATION ON CLIMATE CHANGE(気候変動と宇宙活動の貢献)、(3)COMMERCIALIZATION OF SPACE EXPLORATION(宇宙探査やその他宇宙活動の商業化)、(4)「宇宙分野における人材育成」の4テーマが取り上げられました。
KARI/JAXA共催学生イベント
KARIは、IAC2009テジョン大会の開催に際し、韓国の学生100名を初めてIACに派遣しました。JAXAとKARIは両機関の派遣学生による自主企画・運営である本イベントを支援し、10月13日(火)にISZにおいて、前述のスぺースフェスティバルにおける「きみっしょんin韓国」の活動成果報告、CanSat活動の相互紹介等を中心とした、共同イベントを共催により開催しました。当日は、JAXA派遣学生約40名、KARI派遣学生約100名に加え、ISEB参加機関の派遣学生も加わり、ISZの来場者は約200名となり、大変盛況なイベントとなりました。
なお、JAXAがISEBの共同事業のひとつである「CanSat開発・実験活動」を支援していることから、本イベントにおける日本のCanSat活動紹介については、CanSatスペシャリストとしてIAC2009に派遣した学生3名(九州大学の田川真さん・慶応義塾大学の須藤雄哉さん・電気通信大学の大瀧篤さん)により9月に米国ネバダ州で実施されたARLISS(A Rocket Launch for International Student Satellites-CanSat打上げ実証実験)の取材を含む研究活動について発表をして頂きました。
本イベントで司会進行を担当された北海道大学大学院の市村さんの感想は次のとおりです。
北海道大学大学院 工学研究科 機械宇宙工学専攻
博士課程3年 市村豊
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今回のIACでは2日めに国際学生ゾーン(ISZ)において「KARI/JAXA共催学生イベント」というイベントを開催しました。これは日本と韓国でそれぞれ宇宙科学の活動をしている学生に登壇してもらって日本と韓国、それぞれの国での学生の宇宙活動を発表するという一時間のイベントです。私はこの学生イベントの日本側の司会進行をやらせていただきました。
なにしろ日本においても「司会進行」という役職をすることはほとんどなく、ましては国際的な舞台で英語を使って司会をするなんて生まれて初めてのことだったので相当緊張しました。それでもせっかくIACに参加するのならば「なにかやりがいのある仕事をしたい!」と思ったので、頑張ってやってみることにしました。前日に原稿を準備したかいもあって、時間は押してしまいましたがちゃんと英語での司会進行の仕事を務めることができて、この経験が自分自身のなかでとても大きな自信につながりました。
普通だったら絶対に出来ないような大きな経験が出来たので、IAC2009およびKARI/JAXA共催学生イベントに参加して本当に良かったと心から思っています。
JAXA派遣学生の英国惑星間協会(British Interplanetary Society)
Best Technical Paper Award受賞
東京大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻博士課程1年生でJAXA派遣学生である稲守孝哉さんが、IAC2009学生セッションで、「Magnetic dipole moment estimations and compensations for accurate attitude control in nano-satellite missions」と題した口頭発表を行い、その成果に対し、英国惑星間協会のベストテクニカルペーパー賞を受賞されました。
国際宇宙法学会(IISL)への協力
本派遣プログラムでは、2001年よりIISL主催の「マンフレッド・ラクス宇宙法模擬裁」に協力し、アジア・太平洋地域予選通過チームの学生2名をIAC会期中に実施されるワールド・ファイナル・コンペに派遣しています。本年の地域代表インド国立法科大学チームは、ワールド・チャンピオンという輝かしい成績を修めました。
おわりに...
今年度の本派遣プログラムでは、学部生から博士課程の学生まで、多種多様な専攻分野から、幅広い層の学生が参加されました。今回参加された41名の派遣学生の中から東海大学の元村さん、順天堂大学の小川さん、慶応義塾大学大学院の梯さん、東京大学大学院の谷本さんから寄せられた感想を代表して掲載させていただきます。
東海大学 工学部 航空宇宙学科 航空宇宙学専攻
2年 元村 和史
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参加当時、学部二年の私は特に研究分野がない状態でしたが、『将来の方向性を探しに行きたい』と考え、参加させて頂きました。 この目的から、私は学会発表では宇宙工学分野を幅広く聞きに行く様にしていました。 学会発表を含め、IACでは最先端の研究に触れる機会が多く有り、 とても刺激的で、必ず今後の自分の進路選択への糧となったと感じています。 と同時に、詳しく聞きたい発表が自分の英語能力の無さから満足に聞けず、悔しく思うことも多々ありました。 この経験は今後の英語学習へのモチベーションとして生かしていきたいと考えています。
また、IAC参加によって素晴らしい仲間が出来たことも、私にとって非常に価値のある派遣でした。 同じJAXA派遣学生は勿論のこと、国外の学生や学会参加者、現地の 学生との交流し、友人になれたことはかけがえのない経験でした。 学部2年での参加で、参加前は非常に不安でしたが、本当に良い経験になったと感じています。 最後になりましたが、参加にあたってお世話になったJAXAスタッフの皆様、JAXA派遣学生メンバーに改めて御礼申し上げます。 ありがとうございました。
順天堂大学 医学部
4年 小川萌
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私は宇宙医学に興味を持っておりますが、国内での情報収集は困難で、この分野へのアプローチ方法を知りたいと思っておりました。また、有人宇宙開発に対して自分はどのように関わることができるかというビジョンを描きたいと思っていたので、宇宙医学のみに限定せず、広く宇宙開発について知識を深めることをテーマに掲げ、IACに参加させていただきました。
実際にTechnical sessionやPlenary Eventなどの聴講を通して、期待以上の最新情報を得ることができ、大変勉強になりました。自分がこれから何を学び、どのような研究活動をしたいかということについて、より具体的に考えられるようになり、良い機会だったと思います。
今回のプログラムにおける最大の収穫は、次世代の宇宙開発を担う国内外の学生・研究者たちと交流して人の輪が広がったことだと思います。彼らが発表を行う姿を見たり、将来の夢などについて語り合うことで、良い刺激をたくさん受けました。何より、宇宙医学を志す海外の医学生たちと知合い、モチベーションが上がりました。このような素晴らしいプログラムに参加できたことをとても幸運に思います。この貴重な経験を今後の活動に活かしていきたいです。
慶應義塾大学大学院 理工学研究科
修士1年 梯 友哉
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IAC2009学生派遣プログラムを通じて、私は三つのことを再確認することができました。それは、「自分の未熟さ」、「仲間の素晴らしさ」、そして「宇宙へ行きたいという夢」です。
IACでは、ISEB Student SessionやTechnical Sessionで発表を行いましたが、言語の壁により、専門的な議論ができず「自分の未熟さ」を思い知らされました。また、JAXAメンバーや他国の派遣学生、韓国の学生など、世界中の宇宙を目指す同志と交流することで「仲間の素晴らしさ」を再確認しました。宇宙から国境は見えないと宇宙に行った宇宙飛行士は言いましたが、自分にはIACでも国境は見えませんでした。どの国の人も宇宙の話をすれば目を輝かせ、たくさんの笑顔が生まれ、皆同じ気持ちを持っていることに気付かされました。改めて宇宙を目指す素晴らしさを感じ、宇宙へ行きたい!という熱い気持ちがより一層燃え上がりました。
本プログラムによって、将来宇宙へ行く、宇宙開発によって社会貢献をするという夢に向けた現時点での自分の位置を再確認することができました。この現状をしっかりと受け止め、IACで出会った同志と、時に協力し、時に競争して、今後更なる努力をしていきたいと思います。
東京大学大学院 公共政策学教育部 国際宇宙法専攻
修士2年 谷本浩隆
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「専攻のカベは、相手の研究に対する好奇心と自分の研究に対する誇りさえあれば乗り越えられる。」と気づけたこと。これが、私のIAC2009における最も大きな収穫だったと思います。
IACには、宇宙工学・理学・医学・生物学などの自然科学分野から私の専攻する社会科学分野まで様々な専攻の学生が集まります。会期中、積極的に他分野の学生の研究について聞く中で感じたのは彼らの研究の面白さでした。前提知識も何もない私にそれを感じさせたのは、彼らの研究に対する誇り、そしてその面白さを伝えたいという熱い想いの表れではないかと思います。それは同時に私自身の専攻についても皆に知ってもらいたいというモチベーションに繋がりました。宇宙法模擬裁判の見学に誘った派遣メンバーに説明資料を配ってできるだけ理解してもらえるように努め、「面白かったよ!」と言ってもらえたときは本当に嬉しかったです。
他分野とのインタラクションという刺激的な経験を得る機会はまだ少ないと感じています。それを国際的な規模で経験することのできるIACという機会は本当に貴重なものと感じました。このような機会を与えてくださった宇宙教育センターの皆様に心より感謝します。