ISEB学生派遣プログラム

【2025年度】第76回 IACシドニー大会 NEW!

派遣期間 2025年9月26日(金)~ 10月4日(土)
派遣先 オーストラリア・シドニー

主なスケジュール

日付 内容
9月28日(日) ●ISEB Orientation Day(ISEB Introduction & Welcoming、Students Icebreaker、Student Presentation、ISEB Team Workshop等)
9月29日(月) ●IACプログラム(Opening Ceremony、Plenary、Welcome Reception)
9月30日(火) ●IACプログラム(Plenary、Technical Session、IP Session)
●JAXAプログラム(JAXA宇宙科学研究所所長懇談会)
10月1日(水) ●IACプログラム(Plenary、Technical Session、IP Session)
●JAXAプログラム(JAXA理事長・理事懇談会)
●ISEBプログラム (Head of Agency Q&A Session)
10月2日(木) ●IACプログラム(Plenary、Technical Session、IP Session)
●JAXAプログラム(JAXAセッション)
●ISEBプログラム(ISEB Closing Event)
10月3日(金) ●IACプログラム(Plenary、Technical Session、IP Session、IAC Closing Ceremony)
●ISEBプログラム(Culture Visit)

◆IAC(国際宇宙会議)について

International Astronautical Congress(IAC:国際宇宙会議)は、International Astronautical Federation(IAF:国際宇宙航行連盟)が主催する世界最大規模の宇宙会議です。毎年秋に開催され、最新の宇宙開発計画や学術研究成果の発表の場として、各国の宇宙機関、学者、研究者、企業、学生などが参加しています。IACは1949年に第1回が開催され、2025年には第76回がオーストラリアのシドニーで開催されました。

IACエントランス
IAC会場エントランス
IACオープニング
IACオープニングセレモニー
JAXA広報ブース
IAC展示会場

◆ISEB学生派遣プログラムについて

本プログラムは、IAC公式プログラムに加え、ISEB参加機関・団体*1の協力により実施される国際交流プログラムへの参加機会を大学生・大学院生に提供するものです。将来、宇宙分野で幅広く活躍する学生を対象に、学術・人材交流を通じて知見を深め、国際理解と親善を促進するとともに、研究成果の発表機会を設けるなど、人材育成を目的として毎年IAC会期中に実施しています。JAXAは選抜した日本の大学生・大学院生を本プログラムに派遣しています。2025年度は、ISEB参加機関から派遣された38名(CSA:10名、ESA:10名、 JAXA:10名、KARI:8名)の学生がこのプログラムに参加しました。

以下は、ISEB学生派遣プログラムに参加した日本の学生の皆さんの感想を交えた活動報告です。
※記載されている学生の所属大学・学年は、IAC2025当時(2025年10月現在)のものです。

  • *1 ISEB参加機関・団体:

CNES(Centre National d'Etudes Spatiales)
CSA(Canadian Space Agency)
EgSA (Egyptian Space Agency)
ESA(European Space Agency)
JAXA(Japan Aerospace Exploration Agency)
KARI(Korea Aerospace Research Institute)
NASA(National Aeronautics and Space Administration)
SANSA (South African National Space Agency)
UAESA (United Arab Emirates Space Agency)
VSSEC(Victorian Space Science Education Centre)

◆IACプログラム(Technical session他)

IACでは、宇宙関連の研究や技術開発の成果を専門分野ごとに分け、口頭発表や対話形式で共有する学術セッションが実施されます。今年は5名のJAXA派遣学生がIAC Technical sessionにおいて研究発表を行いました。

IAC研究発表の様子

IAC発表1
IAC発表2
オリエンテーション
オリエンテーション2

参加学生の声


IACについて
IACに初めて参加し、世界の宇宙に関する研究や産業がいかに盛り上がっているかを肌で感じた。私自身の専門は工学だが、宇宙法、哲学、医学といった、これまで接点のなかった分野の方々と多く知り合うことができた。バックグラウンドは違っても、これほど多くの国の人々、そして多様な分野の人々が、皆「宇宙利用」という同じ方向を向いているという事実に、大きな感銘を受けた。この人たちと一緒に宇宙利用を促進していくためにも、国際理解はもちろん、自国に留まらず広く世界を見ることの重要性を改めて強く感じた。

東京大学大学院 鳴海龍哉


IAC研究発表について
海外開催の国際学会には初参加ということもあり、今まで自分が発表してきた学会と大きく異なる国際色豊かなオーディエンスだったため、かなり緊張をしていました。しかし、一度自分の発表を始めると、オーディエンスの方々が真剣に聞いてくださったため、自分もしっかり伝えようと思い、緊張はほぐれました。また、発表後に質問もいくつかいただいたほか、自分の発表に興味を持ってくださった方とコネクションを作ることができました。今回の発表を通して、国際的な場で発表を行ったという経験は、自分の今後のキャリアを築く第一歩として非常に充実した時間になりました。

東京大学大学院 藤井雅希


IAC研究発表について
Technical sessionに参加し、世界中から集まった研究者/産業界の方々に積極的に話しかけることで交流を深めることができました。特に印象深かったのは、ドイツ宇宙機関DLRの研究者との議論の機会です。セッション内での対話をきっかけとして、帰国後もオンラインミーティングを開催し、私自身の研究と相手側の研究とのシナジーを探求することができました。また、ドイツの学生とも私の研究に関連する類似分野において活発な意見交換を行い、最後は私からJAXAブースを案内することもできました。数日後には共に昼食を取りながら更なる議論を深めることができました。

名古屋大学 山本大凱

◆ISEB プログラムオリエンテーション

ISEBプログラム初日は、学生同士が対面で顔を合わせ、自己紹介や会話を楽しむ交流の時間から始まりました。続くオリエンテーションでは、プログラムの概要や目的が説明され、その後、学生同士が打ち解けるためのアイスブレークや各機関の教育長や代表者との交流セッションが行われました。さらに、一部のISEB派遣学生による研究発表(ISEB Student Presentation)の機会も設けられました。なかでもこの日のハイライトは、プログラム期間を通じて取り組むISEB Team Challenge*1の一環として実施されたISEB Team Workshop*2でした。初日は、参加者同士のネットワーク形成とISEB活動への理解を深める一日となりました。

  • *1 ISEB Team Challenge

ISEB Team Challengeは、学生同士が打ち解けながら、コミュニケーション力やチームワークを高めることを目的としたチーム対抗企画です。参加する各国の学生は、あらかじめ割り当てられたチームに分かれ、自国を出発する前から専用SNSを活用して交流を深めるタスクに取り組み、IAC期間中も活動を継続しました。 タスクをクリアすることで得られるポイントは、IAC 2025のテーマ「Sustainability」にちなんで「宇宙デブリの除去数」に例えられ、最終的にISEB Closing Eventまでに最も多くのデブリを集めたチームが表彰されました。

  • *2 ISEB Team Workshop

初日の午後、各国の学生はチームに分かれ、ESA主催のワークショップ「Capsule Optimization For Space Mission Operations And Safety(COSMOS)」に取り組みました。本ワークショップでは、IAC 2025のテーマ「Sustaining Life Beyond Earth」に沿い、火星往復60日を想定した6人乗り宇宙カプセルの設計コンセプトを考案しました。限られた時間の中で、技術的条件や乗員の多様性を考慮しながら創造的なアイデアをまとめ、最後に各チームがスケッチしたカプセルのイメージをもとに発表をおこないました。発表後には、審査員による評価が行われ、国際的なチームワークやアイデア創出、課題解決を体験できる充実したセッションとなりました。

オリエンテーション3
HoAセッション
HoAセッション2
理事長懇談
所長懇談
LT Session1
LT Session2
LT Session3
チーム写真
チーム写真2
集合写真1
集合写真2
集合写真3

参加学生の声


ISEB Team Challengeについて
さまざまな国や文化的背景を持つ学生と同じチームで活動することで、自身の視野を大きく広げることができた。言語や考え方の違いに戸惑う場面もあったが、互いの意見を尊重しながら議論を重ねる中で、多様性が新たな発想や解決策を生み出す源であることを実感した。特に、課題解決に対するアプローチが一人ひとり異なる点が刺激となり、柔軟性や適応力を磨く貴重な機会となった。また、国境を越えて協力することの楽しさと難しさを体験し、将来的にグローバルな環境で研究や仕事に取り組む上で必要な姿勢を学ぶことができた。ISEBを通じて得た友情と経験は、今後の学びや挑戦を支える大きな財産となると感じている。

東北大学 小川成就


ISEB Team Workshopについて
「火星で90日過ごす居住カプセルを設計せよ」という興味深い課題だった。 チームは私を含めた宇宙工学専攻の学生が2名で、他3名が宇宙法学を専攻しており、文理融合な構成となった。同じ工学を専攻する海外学生との交流経験しかない私にとっては、宇宙に対して文系的アプローチをする方とのコラボレーションは初めての経験だった。(文系的アプローチという形容自体が日本的なのかもしれないが) 工学系の私にとって、居住カプセル設計の課題に取り掛かるときは、工学的成立性などを追いかけてしまいがちである。しかし法学専攻の方々は、居住の快適性やサステナブルであるかの妥当性など、設計項目のプライオリティが違っていた点が印象的だった。その観点の違いを利用し、設計の役割分担をしたり各分野の議論を融合させたりすることができたのは大きな成果だと思う。 また、法学系の方は喋りが非常に堪能だった(プレゼンも論理的かつ的を射ていて上手い、かつ観衆を引き付けるユーモアもある)。個人的には議論をリードする力やプレゼンテーション英語力の不足を感じたので、帰国後はそこを重点的に取り組みたいと考えている。

東京大学大学院 大木春仁


ISEB Team Workshopについて
チームワークショップでは、1時間ちょっとの時間内で有人火星往還機を設計するという大変チャレンジングな検討をおこなった。会ってから数時間のチームメンバー、しかも専門もバラバラの学生たちで限られた時間をフル活用するべく、多くの意見交換をし、チームでの共同作業を急ピッチでおこなった。大変短い時間で複雑な検討をおこなうためには綿密なコミュニケーションが必要であり、気づけば英語でのやりとりに対するハードルは全く感じずに、ただひたすら意思疎通・状況確認に励んでいたことがとても印象的だった。同じ方向をみてなにかに取り組むにあたっては言語の壁は大したことは無い、ということを肌で感じることのできる貴重な時間だったと感じる。

東京大学大学院 中村介


ISEB Student Presentationについて
ISEB Student Presentationでは、私の研究を4分でISEB派遣学生の前で発表し、その後1分の質疑応答を行いました。私は自分の専門分野とは異なる人たちを前に英語で研究発表を行うことは初めてのことでとても緊張しましたが、発表練習をたくさん行っていたため、研究内容をしっかりと発表できました。質疑応答では、私の専門分野と近い学生が質問をしてくれました。英語力不足のため、その質問内容を一度聞いただけでは理解できず、もう一度聞き返すことで理解することができ、質問に答えることができました。また、発表後に私の研究に興味を持ってくれた学生が来て、質問してくれたことが嬉しかったです。私の専門分野とは異なる人たちを前に英語で研究発表を行えたことは、自分の研究を他の学生に周知し、そのフィードバックを受け取ることができるとともに自分の自信にも繋がり、良い経験となりました。

大阪大学大学院 出口椋大

◆ISEBプログラム―Head of Agency Interactive Session

ISEB学生プログラムのハイライトイベントのひとつが「Head of Agency Interactive Session*1」です。本セッションは、IACの公式Head of Agencyプレナリーとは異なり、ISEB独自企画であり、学生が主体となって各宇宙機関長に質問できる貴重な機会です。 学生が事前に準備した質問を投げかけるだけでなく、会場では投票ツールを使い、聴講者が機関長の回答を複数の選択肢から予想する参加型の形式で進行しました。機関長は、学生の予想と自身の考えを比較しながら意見を述べました。機関長への質問内容はキャリアや宇宙開発の将来展望など多岐にわたり、宇宙機関のリーダーの考えに直接触れられる有意義な時間となりました。

  • *1 Head of Agency Interactive Session登壇者:
  • Ms. Lisa Campbell, President, Canadian Space Agency (CSA)
  • Dr. Josef Aschbacher, Director General, European Space Agency (ESA)
  • Dr. Hiroshi Yamakawa, President, Japan Aerospace Exploration Agency (JAXA)
  • Mr. Lionel Suchet, Chief Operating Officer and General Director, Centre national d' spatiales (CNES)

集合写真3
集合写真3
集合写真3
集合写真3

参加学生の声


Head of Agency Interactive Sessionについて
各国の宇宙研究機関の長の方々を目の前にできたことが光栄だった。幼少期から宇宙開発の動向に詳しかったわけではなかっただけに、寧ろ宇宙工学専攻に入った修士以降に様々な情報に触れる機会が多く、その過程で知った様々な宇宙機関のトップの方を見れたことは非常に新鮮だったほか、同時に感慨深いものがあった。それだけに、質問する側の方々を本当に羨ましく思った。 国際的な宇宙開発と聞くと、各国が自身のプレゼンスを示すという優位性という側面、他国との連携によりさらなる成果を創出するという協同性という側面を思い浮かべる。国際的な情勢が目まぐるしく変わる近年、どのような質疑応答が為されるのか気になった。どの質問も興味深い他、各国なりの考え方(主には協力関係が重要、という結論には至っていた)を聞けたが、特に印象的だったのは、"What will be the most important factor shaping global space exploration over the next 20 years?"という質問だった。その回答の中で、CSAとESAのHoAの方が、多くの機会を創出するために弛みない努力を続けること、と答えたのが記憶に残っている。 ある意味それは、我々のような若い世代へのメッセージとして捉え、勇気をもらっているように感じた。 (一部省略)

東京大学大学院 大木春仁


Head of Agency Interactive Sessionについて
Head of Agency Interactive Sessionでは、世界各国の宇宙機関代表者や関連組織の責任者と直接交流する機会を得た。各国が取り組む宇宙開発の重点分野や方針を共有する中で、国際協力の多様な形や、技術・政策両面での相互理解の重要性を実感した。短い時間ながらも活発な意見交換が行われ、将来グローバルな宇宙開発に関わる上で求められる視野の広さを学ぶことができた。

東北大学 小川成就


Head of Agency Interactive Sessionについて
各機関のトップは佇まいからオーラが溢れていた。いろんな質問に対して明確なビジョンに基づいて、回答をしていて目指すべきリーダー像が少し見えた気がした。宇宙分野で世界トップで活躍することに対して解像度が上がった。

東京大学大学院 山川憲信

◆JAXAプログラム―JAXA理事長・理事懇談会、宇宙科学研究所(ISAS)所長懇談会

JAXA派遣学生は、ISEBプログラムに加え、JAXA独自のプログラムとして、現地でJAXA山川宏理事長・佐藤寿晃理事、藤本正樹ISAS所長との懇談の機会を得ました。懇談会では、キャリアや研究に関する質問を通じて、JAXAを率いるトップの考えに直接触れることができました。また、ISAS所長との懇談には特別ゲストとして津田雄一ISAS副所長も参加し、所長から学生に問いかけがなされるなど、活発な意見交換が行われました。こうした交流は、学生にとって宇宙開発の現場を身近に感じる貴重な機会となりました。

集合写真3
JAXA理事長・理事懇談会
集合写真3
集合写真3
ISAS所長・副所長懇談会
集合写真3
集合写真3

参加学生の声


JAXA理事長・理事懇談会について
JAXA理事長との懇談は、私にとって将来活動に直結する、示唆に富む経験となりました。私は特に、人材の国際間流動性をいかに高められるかという観点から、ご意見を伺いました。理事長は「Go Global」というコンセプトを大切にされており、実際にご自身も幼少期から海外を転々とされ、国境を超えた活動に対する自然な感覚を身につけておられるとのことでした。私自身も一若手世代として、国分け隔てない国際感覚を獲得することの重要性を改めて感じました。IACでの経験を通じて、グローバルな経験と人脈を得ることができたことはもちろんですが、これらを日本に持ち帰り「Act Global」、すなわち国際的な視座のもとで周囲の仲間に影響を与えられるよう行動を生み出してゆく心積もりです。

名古屋大学 山本大凱


宇宙科学研究所所長懇談会について
有難いことに連携大学院制度を利用し宇宙科学研究所にて修士1年から研究をさせていただいているが、藤本所長と直接話す機会は初めてだったので、非常に楽しみだった。また、副所長の津田教授(はやぶさ2プロジェクトマネージャー)にもお越しいただけた。 ISEB学生からの質疑応答だけになるかと思いきや、所長からプレゼンテーション(宇宙科学研究所の取り組んできたミッションの紹介)をいただいたことや、はやぶさ2が2回目のタッチダウンを断行したことに対して、自分がプロジェクトマネージャーだったら2回目のタッチダウンにGO判断を出すか?という問いかけをいただいた。私は、もちろんやりたい!という回答だったが、ISEB学生全員の意見が同じではなくリスクマネジメントの観点から慎重な意見もあり、当時の議論の現場に立っているような感覚になった。なぜ2回目を行ったのかについて津田教授から説明をいただいたときは、ミッションで論じられる「リスク」という定義や所在に関しての見解、昨今の世界情勢に於いて日本が発揮すべきプレゼンスなど、様々な新しい観点に気付かされた。

東京大学大学院 大木春仁

◆JAXAプログラム―JAXA Session

JAXA派遣学生は、IAC展示会場に設置されたJAXA広報ブースで自身の研究発表を行いました。この発表は、IACに参加する多様な来場者に研究内容を紹介し、自身の取り組みを広く知ってもらう貴重な機会となりました。 学生たちは、幅広い聴講者に向けて研究をわかりやすく伝えることの重要性を実感し、発表をやり遂げた達成感を得ることができました。

集合写真3
集合写真3
集合写真3
集合写真3
集合写真3
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参加学生の声


JAXAセッションについて
(IACでの)口頭発表に加え、JAXAブースで研究発表の機会をいただけたことは、大変光栄でまたとない経験となった。口頭発表の直前だったため、本番に繋がるよう分かりやすさを意識したが、緊張で思い通りにはいかない部分もあった。しかし、発表後には「面白い研究だ」と評価の言葉をもらい、はるばるIACに来た甲斐があったと実感した。他国の参加者からは、JAXAが学生にこうした機会を提供していることを羨む声も聞こえた。口頭発表とは異なる形で、多くの方と直接対話し多様なフィードバックを得られたことは、研究を深化させる上で大きな財産となった。

東京大学大学院 鳴海龍哉


JAXAセッションについて
JAXAのブースにおいて自身の研究および活動を発表する貴重な機会を得た。学生同士での発表とは異なり、研究者や専門家、さらには業界関係者から直接質問や意見をいただく場であったため、内容の正確性や説明の明確さをより強く意識する必要があった。発表当初は緊張もあったが、多くの来場者が関心を持って耳を傾けてくださり、活発な意見交換を行うことができたことは大きな自信につながった。特に、自身では気づかなかった視点や新たなアイデアをいただけたことは大きな収穫であり、今後の研究を進める上での重要な指針となった。JAXAという日本を代表する宇宙機関のブースで発表できた経験は将来、国際的な研究に携わっていく上で大きな糧となると感じている。

東北大学 小川成就

◆ISEBプログラム―ISEB Closing Event

ISEBプログラムの締めくくりとして、「ISEB Closing Event」が開催されました。本イベントは、1週間の活動を振り返りながら参加者同士の交流を楽しむ場です。イベント内で行われたチーム対抗クイズでは、各国の宇宙開発や開催地オーストラリアにちなんだ問題が出題されました。異なる国の学生で構成されたチームメンバーが協力してクイズに回答しました。 これらの準備と進行は、クイズ作成を含めてJAXA派遣学生が担当し、プログラムの最後を締めくくる役割を果たしました。 終盤には、ISEB Team Challengeの表彰チームを発表する表彰式が行われました。最後に、今年のISEB議長国であるESAの教育長から、学生に向けたメッセージが届けられました。

集合写真3
集合写真3
J
集合写真3
集合写真3
集合写真3
J

参加学生の声


ISEB Closing Eventについて
私はJAXAチームのクイズ担当ではなかったので、最後のクイズはとても楽しかった。特にクイズ作成チームがそれぞれの宇宙機関に関するクイズや領域の違うクイズを出していたため、みんなが協力して回答する必要があり、とても盛り上がり、さらにチームの中の会話とつながりを促進するとても良い機会になった。また、クイズ後にチームメンバーや他のISEB学生と軽食を食べながらIACの振り返りを共有でき、自分とは違う感想が聞けたことはとても面白かった。それぞれの領域や持つ知識の違いにより、同じものを見ていても違う感想が出てくることは、ものを振り返る時に自分だけではなく、他の人と話し合う重要性を感じた。

京都大学大学院 大森香蓮


ISEB Closing Eventについて
クイズセッションの司会を担当したが、クイズの難易度が簡単で盛り上げるのが難しかった。しかし、終わった後にチームメンバーから「Nice work!!」と迎え入れてもらい、役割は果たすことはできたのかなと思った。IACのディナー中に「クイズやっていた子だよね」と話しかけられる機会もあり、人前に立って損はないなと感じた(司会を担当して良かったと感じた)。

東京大学大学院 山川憲信


ISEB Closing Eventについて
ISEB Closing Eventではクイズイベントの主催をしました。今回のクイズイベントはISEBでのグループワークの最後のイベントとして、絶対に盛り上げないといけないなと感じていました。そのため、各国の学生が主体的に回答できるようにヨーロッパ、カナダ、韓国、日本の宇宙技術や文化などをうまく織り込めるように問題構成を工夫しました。また、オーストラリア開催ということもあり、現地の文化に関する問題も何問か取り入れました。イベント中は、各々の国に関する問題が出るとその国の学生から声が上がるなど、盛り上がりに貢献することができたかなと感じました。問題の正解率はかなり高かったのですが、翌日に、参加した学生と話したところ「かなり難しかった」との声がありました。それでも正解率が高かったのは、各チームがそれぞれの知識を持ち寄って議論してくれたおかげかなと。それによって話が盛り上がったのではないか、と少しホッとしました。今回は初めて世界の学生の前でイベントを進行するという経験をすることができました。日本とは違った雰囲気、盛り上がりを感じ、自分の視野が少し広がった気がしました。

東京大学大学院 藤井雅希

◆ISEBプログラム―ISEB Culture Visit

ISEBプログラムの最後を飾るイベントとして、シドニーの歴史と文化を学ぶガイドツアーが実施されました。The Rocksは、シドニー湾沿いに位置する歴史的地区で、オーストラリアにおけるヨーロッパ入植の発祥地として知られており、シドニーの成り立ちを理解する上で欠かせない場所です。 学会への参加に加え、開催地の歴史や文化に触れることも国際交流の大切な要素です。このツアーは、ISEBプログラムを締めくくるにふさわしい、学びと交流の時間となりました。

集合写真3
集合写真3

参加学生の声


ISEB Culture Visitについて
Sydneyの古い街をツアー形式で紹介してもらった。ガイドさんが博識なので、大半の疑問に関して答えてくださり、Sydneyの歴史について詳しく知ることができた。(中略)それぞれの街や文化、土地を知ることも学会の一つの大事なことである。多様な文化と歴史、それぞれの背景を知ることでお互いの理解とそれを尊重し、歩み寄ることで、話し合いを成り立たせることができる。Cultural Tourはその土地の歴史と要所を現地の人から時間を取って知ることができるとても良い機会だった。

京都大学大学院 大森香蓮

おわりに・・・

今年度は10名の学生がJAXAの派遣学生としてISEBプログラムに参加しました。JAXA派遣学生の参加報告書より一部抜粋した文章と写真を掲載いたします。

【ISEB派遣プログラムに参加したことでどのような影響をもたらしたか】

  • 博士課程で研究活動を続けていると専門性を突き詰める観点から関わる世界がどうしても狭くなってしまいがちだが、改めて宇宙開発に心血を注いでいる方を世界規模・多角的分野で見ることができたのは意義深かった。やる気が出たという短絡的モチベーションよりは、頑張らねばならないという自覚を改めて持ったという感覚が近いように思う。 IACは、各国を代表する航空宇宙研究機関や宇宙ビジネスを手掛ける世界的な有名企業の展示が勢ぞろいしている点が、一般的な学術会議と大きく異なる部分である。各展示の中の方とコミュニケーションを取る中で、人類の発展に貢献すべく宇宙開発を実現するのだというポジティブな気概ながらもインテンシブに宇宙開発を進めているプロフェッショナルに沢山出会えたのは、非常に刺激的だった。自分自身、現在やっていることへの迷いや将来への不安などがよぎるが、IAC参加・ISEB学生派遣プログラムを通じてそんな甘いことを言っていられないと感じてくるようになった。無論、研究者としてのキャリアの方向付けや自分自身の人生設計を捨てるという意味ではないが、山川理事長との懇談会でおっしゃられていたように、広い分野として宇宙開発を捉えるジェネラリストとしての視点を持ちつつ、自分の目の前のことを淡々と一生懸命に取り組むスペシャリストとしての素養を磨くことが重要なのだと考えている。
  • 大木 春仁(東京大学大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻 博士後期課程2年)

【本プログラムを通じて得られたこと】

  • JAXAや他の宇宙国際機関から派遣されたかけがえのない仲間ができたことが何よりも大きな収穫だったと感じる。彼らの持つ意見や豊富な知見、自らの研究等への姿勢や意欲は素晴らしく、同世代の学生として、自分を省みる貴重な機会になった。また、有人宇宙分野外の繋がりが大きく広がったのは今後将来的に重要な関係性を得られたと感じる。宇宙関係の多様な分野が集まる学会であるため、全体の関係図や今のブームがわかりやすく、今の自分の領域の立ち位置が把握できる良い機会であった。加えて、企業ブースが他学会に比較して充実しており、中国やUAEなどなかなか見ることのできない国際機関の展示を見ることができ、各国の宇宙への今の向き合い方を知ることができた。
  • 大森 香蓮(京都大学大学院 総合生存学館 博士前期課程2年)

【ISEB派遣プログラムの参加は進路選択に影響を与えたか】

  • ISEB派遣プログラムへの参加は、自身の進路を再考する大きな転機となった。これまで主にシミュレーションを中心とした研究に取り組んできたが、プログラムを通じて各国の宇宙機関関係者と直接対話する中で、実際の宇宙開発現場が抱える多様な課題や制約を具体的に知ることができた。これにより、理論や紙面上の検討だけでなく、現実の宇宙空間で生じている問題を解決することの重要性を強く意識するようになった。この経験をきっかけに、今後はものづくりや実践的な宇宙プロジェクトにより深く関わり、技術を通じて社会に貢献することを目指したいと考えている。ISEBで得た気づきは、自分の将来の方向性を明確にし、研究者としての使命感をより強くする契機となった。
  • 小川 成就(東北大学 工学部 機械知能・航空工学科 学部2年)

【ISEB派遣プログラムで印象深かったこと】

  • ISEB派遣プログラムで印象深かったことは、JAXAを含めた各国の宇宙機関から派遣されている学生やIACに参加している人々はみんなそれぞれの専門分野に誇りを持っており、また、宇宙開発に対する自分の考えと強い意志を持ちながら、自分の定めた目標に向かって着実に努力していたことです。例えば、Plenary sessionで隣にいた学生は私に本当に楽しそうに自分の研究の内容と意義について話してくれました。また、ISEB派遣学生の中には様々な企業や宇宙機関でインターンシップを行っている学生も多く、本当に様々な宇宙を志す学生と出会うことができ、とても刺激的でした。私も夢に向かって努力している学生を見習って、自分の目標に向かってしっかり努力していきたいと思いました。
  • 出口 椋大(大阪大学大学院 工学研究科・機械工学専攻 修士課程2年)

【本プログラムを通じて得られたこと】

  • 本プログラムを通じ、国際協働に必要な実践的スキルとネットワークを得た。短時間で複雑な課題に取り組む中で、役割分担、意思決定、トレードオフの整理といったシステムズエンジニアリングの基本動作を、英語で円滑に回す経験を積むことができた。特に、限られた情報の中で前提を明確化し、合意形成しながら前に進める"ファシリテーション力"は大きく伸びたと感じる。 また、IACの口頭・ポスター発表や企業展示を通じ、研究・産業双方の最新動向を俯瞰でき、自身の研究をどこに位置づけ、次に何を深掘りすべきかの具体的な示唆を得た。英語での発表・質疑応答をやり切ったことは、自らの発信力に対する自信につながった。 加えて、各国派遣学生との継続的な連絡先を確保できたことは、将来の共同研究や人材交流の基盤となる。多様な背景を持つ仲間と目標を共有して活動した経験は、「言語や国籍の違いは乗り越えられる」という実感を伴った価値観の変化をもたらし、今後の国際連携に向けた心理的ハードルを大きく下げてくれた。
  • 中村 介(東京大学大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻 修士課程2年)

【本プログラムを通じて得られたこと】

  • 多様な背景を持つ仲間と対話を通じて合意形成する力と、日本を客観視する視点を得ることができた。 英語は得意ではなかったが、完璧な英語でなくても、専門性や想いを軸に論理的に伝えようとすれば、議論をすることはできたという自信を得た。臆せずに発信する経験は、まさに国際共同プロジェクトの縮図であり、座学では得られない実践的な収穫だった。 そして、様々な人と話をするなかで、宇宙開発の中での日本の立ち位置というものをしれた。これまでは、どうしても日本国内での評価や常識を基準に物事を考えがちだった。しかし、各国が日本の技術や宇宙開発にどのような期待を寄せ、あるいはどのような課題を感じているかを肌で感じることができた。
  • 鳴海 龍哉(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻 修士課程2年)

【国際交流とISEBの価値】

  • ISEBという枠組みだからこそ、海外の宇宙機関の参加者とフラットに議論し合える時間が生まれました。 研究内容に限らず、キャリアや将来の宇宙産業のあり方について率直に話せたことは、多様な視点を得るうえで非常に有益でした。 特に、今後の国際会議(IAC 等)で再会し、長期的に協働関係が築けると感じたことは、ISEB参加の大きな収穫です。将来的に、事業側・研究側の両面で連携につながる可能性を強く感じました。

【まとめ】

  • ISEB参加を通じ、国内外の横のつながりが大きく広がるとともに、Fusekiをはじめとした自身の取り組みを国際的な文脈で再評価する機会にもなりました。 今回得た経験とネットワークを活かし、今後も日本および国際宇宙コミュニティに貢献できるよう取り組んでいきます。
  • 畠山 祥(総合研究大学院大学 先端学術院先端学術専攻 宇宙科学コース 博士後期課程2年)

【ISEB派遣プログラムで印象深かったこと】

  • 今回のISEB派遣プログラムで特に印象に残っていることは「様々な人との出会い」です。まず、JAXAから派遣された9名の学生と出会い、共に過ごした一週間は非常に充実したものでした。それぞれが様々な経験やバックグラウンドを持ち合わせており、1週間あっても知りきることができないほど、多才で優秀な学生らと出会うことができたことに感謝したいです。さらに、各国から様々な分野の学生と交流することで宇宙分野の世界を知ることができ、留学などで世界を知りたいと思う気持ちがさらに強いものになりました。

【ISEB派遣プログラムに参加したことでどのような影響をもたらしたか】

  • ISEBプログラムに参加し、世界を知ることの重要性をより強く感じました。IACが自分の初めての海外開催の国際学会であったため、今まで交流することのできなかった国や地域の研究者・学生と出会うことができました。そして、それぞれの研究をさらに知りたいと思い、そのためにはただ話を聞くだけではなく、実際に自分の目で見たいと思うようになりました。また、JAXAから派遣された学生を含め、皆研究以外にも様々なことに取り組んでおり、自分も研究だけにとらわれずに幅広いことに取り組んでみようと刺激を受けました。
  • 藤井 雅希(東京大学大学院 工学系研究科・航空宇宙工学専攻 修士課程2年)

【本プログラムを通じて得られたこと】

  • 国籍を問わず、コミュニケーションを行う力を身につけることができた。海外から派遣される学生とのコネクションは然り、モチベーションの高い日本の宇宙分野の学生と自分の将来のことや研究のことを議論し強い繋がりを作ることができたのは一生の宝物だと思っている。

【ISEB派遣プログラムの参加は進路選択に影響を与えたか】

  • IACの発表はなかったが、ISEB学生として宇宙開発の世界最前線を経験することができた。この経験を通して研究者どうしが国境を超えて人類の発展のために議論をしている環境を目の当たりにし、世界を股にかける研究者になりたいと考えるようになった。
  • 山川 憲信(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 先端エネルギー専攻 修士課程1年)

【本プログラムを通じて得られたこと】

  • 本プログラムに参加し、1週間の集中的な交流を通じて、「国際協働」という言葉の持つ本質的な深みを肌で感じることができました。派遣前、私にとっての国際協働は、国際宇宙ステーション(ISS)のような大規模プロジェクトの印象が強いものでした。しかし、この経験を通して得た最も重要な学びは、国際協働が「人材の幅が広がるプラットフォーム」であるという点です。生身の人間同士でプロジェクト型ワークショップに取り組む中で思考回路やアプローチの違いに直面し、時には悩まされましたが、その違いを乗り越えて完成した成果物は、独自性にあふれるものとなりました。また、互いの研究内容やその成果、さらには彼らを取り巻く研究環境の多様性に触れることができ、大きな刺激と驚きを受けました。プログラムを通じて、真の国際人としての感覚を養うことができたと感じています。
  • 山本 大凱(名古屋大学 工学部 機械・航空宇宙工学科 学部4年)

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ISEB学生派遣プログラム開催実績

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