東京都・国立大学法人筑波大学附属視覚特別支援学校(1) |
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高等部第2学年(いずれも点字使用者) |
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2名 |
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平成22年9月6日 |
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理科 地学 |
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イトカワ立体模型 立体月球儀 |
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導入の教材として 発展教材として |
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はやぶさの地球帰還の際に、手元に教材や資料などがなかったために、口頭のみではやぶさのミッションやイトカワについて説明しました。今回改めて教材を提示しながら、授業を展開しました。 まず、イトカワ立体模型を提示し、生徒に観察(触察)してもらいました。生徒からは、「こんな形なんだ。」「丸じゃないとは知っていたが、ここまで細長いとは。」「ひざの部分のようだ。」という発言がありました。 その後、実際のイトカワの大きさ、表面の様子について説明しました。触った感じにより、滑らかな部分とゴツゴツした部分に分けられることを確かめました。惑星や月などの大型の天体とは表面の様子が異なり、クレーターがなく、れきや砂、岩石に覆われていることを紹介しました。その際、立体月球儀を観察(触察)してもらい、表面の様子の違いを実感をもって理解してもらいました。 全体の形がラッコに似ており、研究者がそう見立てていたことには、笑っていました。 授業の後半では、立体月球儀の表面の様子について説明しました。月の「海」について紹介したところ、「ただの平地」ということに生徒は少し驚いているようでした。「海」は、月の内部から黒っぽい色をした玄武岩質のマグマが湧き出てきたところであり、そこがその他のクレーターの多い部分とコントラストをなして、地上からは模様に見えていることを説明しました。太陽の光を受けて、クレーターの多い部分(明るいグレー)は白っぽく光り、「海」の部分は黒っぽい岩石なのであまり反射せず、コントラストのある、はっきりとした模様になっていることを説明すると、「なるほど」という声が聞かれました。日本ではうさぎの餅つきを横から見た図に見えることや、文化や地域の特性によって見立てているものが違うことを紹介すると、生徒は興味深く聞いていました。 地球から見えない側(裏側)には、多くのクレーターがあることも紹介しました。地球から見える側(表側)のみ「海」があり、マグマが噴出して埋め尽くされていることに驚いていました。 最後に、イトカワから採取したかもしれない試料の分析が12月頃であることを伝え、その頃にまた、結果をニュースなどで確認しようと約束しました。 |
授業・活動後の先生のご感想、ご要望など
- はやぶさ2は再びイトカワを目指すのか、というような質問も生徒から出され、小惑星探査への関心の高さを感じました。
イトカワ立体模型は2000分の1、立体月球儀は288分の1ということで、縮尺が違いましたが、手のひらに収まる観察(触察)のしやすい大きさでした。縮尺が異なっていたことで、イトカワ立体模型を立体月球儀と同じ288分の1に揃えたらどのくらいの大きさになるか、とか、その逆の縮尺で揃えたらどうか、など話が広がりました。
次の小惑星探査のターゲットはどこなのか、はやぶさ2の開発や打ち上げはどのくらいなのか、など、さまざまな方向に話が広がり、また、日常よく耳にする月について改めて理解を深めることもでき、モデル教材の活用、特に視覚障害特別支援学校(盲学校)では、立体模型の観察(触察)を通しての授業の展開が、生徒の理解を深めるのに重要であることが分かりました。宇宙を題材にした教材の奥深さを実感することができました。