神奈川県・横浜市立公田小学校 |
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小学6年生 |
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22名 |
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平成23年6月~平成24年1月 |
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総合的な学習の時間を核とした他教科にわたる宇宙教育の実践 (1.総合的な学習、2.理科、3.国語、4.道徳、5.社会科、6.図画工作) 1.総合的な学習 宇宙アサガオの継続観察を通して、宇宙への関心を高め、その後、子どもの興味・関心に応じて、チームを組み、それぞれが探究的学習を深めました。 2.理科 「月と太陽」の単元や「生物と地球かんきょう」に関連づけながら、発展的内容として、宇宙教育の学びを深めました。 3.国語 「話す・聞く」活動の一貫として、効果的な伝え方を学ぶ際の発表内容として取りあつかい、地域や保護者に向けた学習発表会につなげました。 4.道徳 道徳の内容項目 高1-(6)向上心・個性伸長の教材として、向井宇宙飛行士の話を取り上げ、学習の総合化を図りました。 5.社会科 明治・大正期の人物調べで、糸川英生博士を対象の一人とし、総合的な学習との関連づけを図りました。 6.図画工作宇宙の日に向け、未来の宇宙をテーマに、想像による絵画単元の材としました。 |
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○宇宙・JAXA関連 ・宇宙アサガオの種子 ・DVD(かぐや・はやぶさ) ・ペーパークラフト(ロケット、人工衛星、ISS) ・ワークシート(皆既月食をみよう、ISSをみよう) ・傘袋ロケット ・簡易真空実験セット ・ブルースーツ ・水ロケット ・スーパーボールロケット ・炭酸ガスロケット ・コズミックカレッジ実験教材画像(太陽系・傘袋ロケット) ・書籍(はやぶさ関連、宇宙のとびら、子どもの科学他) ○宇宙飛行士関連 ・向井宇宙飛行士に関する道徳教材(天女、再び宇宙へ) ・糸川英生博士の業績に関するHP |
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・導入として ・発展として ・その他 これまでは理科や総合における単元の一つとして扱ってきましたが、昨年度、担任をした際の宇宙に関する学習が子どもにとって大きな関心事の一つとなっていたことから、年間を通した学習カリキュラムとして位置づけ、宇宙教育に取り組みました(詳細はページ下のpdfファイル「横浜の時間基本構想図」を参照のこと)。 基本的には宇宙アサガオの継続的な観察をベースとすることで、絶えず子どもの関心が宇宙に向くよう配慮し、教室環境も宇宙を意識したものとしました。 理科の「月と太陽」では、月と太陽の位置関係だけでなく、JAXAの太陽系に関するコズミックカレッジの内容を取り入れることで、太陽系全般に対する学習に発展させました。 総合的な学習では、宇宙やロケットに関する導入的な学習として、傘袋ロケットやかぐやの映像を教材として活用して、クラス単位での学習活動を展開しました。その後、子どもの興味・関心に応じて、チームごとに探究的学習を進める中で、発展的な教材として、水ロケットや太陽光パネルの発電実験、真空実験機などを使用して活動を展開しています。 そうして年間を通じて深めてきた学びをもとに、保護者や地域に対して学習発表をするおまつりにおいて、子どもたち自身が宇宙について伝え、下級生に対して宇宙教育を行うことで、社会教育における「知の循環」を意図しました。 |
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今回、初めて年間を通じて宇宙教育を実践したことで、なによりも子どもたちの宇宙に対する興味・関心が大いに高まったようでした。例えば、ケプラー22bの発見やはやぶさ2の打ち上げの決定など、宇宙関連のニュースについては子どもたち自身が話題とし、自分たちの論を展開していました。保護者からも家族で流星群を観察するようになったことや、筑波宇宙センターに見学に行ったこと、JAXAクラブに入会したなどといったインパクトがあったとの声が多数挙げられています。「宇宙」というスケールが大きく、夢にあふれる材は、卒業を控えた6年生の子どもたちにとって、未来を感じ・考えることに適した材のようでした。 |
授業・活動後の先生のご感想、ご要望など
- 前述しましたが、なによりも「宇宙」という材の可能性の大きさと、子どもにとっての「あこがれ」感の強さを実感したように思います。これまでの総合的な学習の材としては、「地域」を中心に実践してきたため、当初は、子どもにとって身近ではない宇宙という材を扱うことに少し不安がありましたが、今では「知りたい」という好奇心が大いに高まる材だけに、子どもたちの自主性や、教師が思いもつかないような創造性が大きく高まったように考えています。そして、自分たちで学んだこと・活動してきたことを「伝えたい」という思いも強く、発表会では大変活き活きとした姿が見られました。副次的なメリットとして、発表会を通じて下級生や地域住民、そして保護者に対しても宇宙に対する興味・関心を高めることができたのも良かったと考えています。
自分自身も今年度から宇宙教育指導者として、コズミックカレッジに関わらせていただけていることで、宇宙に対する興味・関心が高く、そうした姿勢も子どもたちに伝わっていたように思います。「宇宙」という共通した関心事・趣味を子どもたちと共有し、学びの時間を進められたことで、自分自身も改めて子どもたちの可能性の大きさに実感できた時間となりました。現場の教師が宇宙教育指導者としてスキルアップをできる場が今後、ますます増えていくとさらに良いなと感じました。