授業連携

宇宙開発における微小重力の利用

群馬県・群馬県立前橋女子高等学校

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概要

<全授業を通した指導目標>

宇宙開発からわかること、その利用方法等を学びながら、科学技術に対する理解・興味関心を喚起させる。

<対象>

高校1・2年生 37名

<期間>

平成18年8月1日~9月6日
回数(総時間):2回(14時間)

<区分>

SPP(サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト)

構成表

実施日
時間
形式
人数
授業内容
1
360分
講義
37名
「重力と人工衛星軌道について」(140分)
講師:山中 勉
(JAXA宇宙基幹システム本部 宇宙環境利用センター 主幹研究員)
授業
「クリノスタットのしくみを検討し、植物を用いて実験を始める」(140分)
支援:高沖 宗夫
(JAXA宇宙基幹システム本部 宇宙環境利用センター 主幹研究員)
見学
筑波宇宙センター 見学(80分)
2
300分
観察
25名
クリノスタットを用いた植物の観察
3
180分
講義
実験
25名
「重力と生き物について」(90分)
実験計画に基づいて、実験する。(90分)
講師・支援:高沖 宗夫
(JAXA宇宙基幹システム本部 宇宙環境利用センター 主幹研究員)

第1回目/全2回『授業記録シート』

<今回の授業の指導目標>
講義「重力と人工衛星について」(140分)
宇宙についての基礎について学習する。
宇宙の定義、宇宙に行くために必要な速度、重力とはどのようなものか、人工衛星の軌道等について。

授業「クリノスタットのしくみを検討し、植物を用いて実験を始める」(140分)
実験を計画するさいの注意事項や手法について説明を受け、植物が微小重力の環境で生育したときを模倣できる実験方法を考える。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
                
指導上の留意事項
講義「重力と人工衛星について」
(140分)
導入
(20分)
・現在の宇宙開発やISSについての紹介を受け、宇宙開発に対する興味関心を持つ。
△宇宙開発の現状を理解する。
・1年生は物理を履修していないので、受講している生徒の基礎知識にばらつきがある。事前学習を1時間程度行い、万有引力、遠心力等について学習させた。
展開
(110分)
1.宇宙の定義について理解する。
2.重力と遠心力の関係について理解する。
3.人工衛星の軌道を計算する。
△宇宙について理解する。

△宇宙に出るための速度について、理解する。

△人工衛星の軌道と地球の自転から、人工衛星の位置を作業により求める。地球の自転と同じ方向、北極と南極を通る軌道など、それぞれの軌道における特徴を考察する。
まとめ
(10分)
・本日の内容をレポートにまとめる。
△宇宙についての知識を整理する。
授業「クリノスタットのしくみを検討し、植物を用いて実験を始める」(140分)
導入
(20分)
・実験を計画するとき注意することについて学習する。
◎実験の計画で重要である目的、仮説の設定、対照実験等について紹介する。

△実験を計画する際のポイントについて学習する。
展開
(100分)
・実験の計画を考える。
◎重力の影響をなくすために「検体を回転させる」というヒントを与える。

△4つのグループに分かれ、各班毎に実験の計画を立てる。以下に動力の概要を記す。

A班:水槽用ポンプを使い、水車を回す。
(水車にペットボトルを使用)
B班:水槽用ポンプを使い、水車を回す。
(水車に卵パックを利用)
C班:扇風機で風を送り風車を回す。
D班:扇風機の軸に、自転車の
前輪を乗せ回転させる。
・安全面に配慮する。
・計画に無理がないか、また、現在あるもので代用できないかアドバイスおよびアイデアの提供を行う。
・ゆっくりと安定した回転を得るための装置作りが課題となった。
・今回は、実際のクリノスタットの見学を取り入れて頂いた。
まとめ
(20分)
・本日の内容をレポートにまとめる。
△装置の仕組みが分かるように、記録する。

授業の感想・メモ

  • 講義「重力と人工衛星について」
    ・人工衛星の軌道は、人工衛星の速度と地球の自転が関連するので複雑であるが、球体とモールを使った作業を行いながら求めたので、生徒もよく理解できた。多くの生徒は、宇宙開発について、興味関心を持つことができたと思う。
  • 授業「クリノスタットのしくみを検討し、植物を用いて実験を始める」
    ・実験しながらの試行錯誤がたくさんあり、考えながら問題を乗り越える力が育めたと思う。このような実習には不慣れであり、実現困難な計画やどんな点が問題であるか、見抜けない面もみられた。

『授業記録シート』

<今回の授業の指導目標>
実験計画に基づいて、実験する。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
                       
指導上の留意事項
導入
(10分)
・実験の準備
◎装置の安全性を確認する。
△安定して回転するか確認する。
・扇風機などの電気製品を扱う際には、発熱に注意する。
展開
(230分)
・3~4日前にカイワレダイコンの種子をまき、発芽させる。

・装置に芽をセットして回転させたまま8時間、生育させる。

・対照実験として、そのままの状態で、横倒しにしたものを準備する。

・結果を確認する。
△4つのグループに分かれ、それぞれの装置を考え、作成した。以下に動力の概要を記す。

A班:水槽用ポンプを使い、水車を回す。
(水車にペットボトルを使用)
B班:水槽用ポンプを使い、水車を回す。
(水車に卵パックを利用)
C班:扇風機で風を送り風車を回す。
D班:扇風機の軸に、自転車の前輪を乗せ回転させる。

△自作した装置にカイワレダイコンの芽を朝セットする。
△対照実験では、重力以外の条件を同じにする。
△日光による影響をなくすため、黒ビニールで覆う。
△夕方、成長の様子を観察する。
・実験の3~4日前に種子をロックウールに蒔き、バットに水をはり、新聞紙で覆い、暗くしておく。
まとめ
(60分)
・まとめをレポートにまとめる。
△実験の方法、仮説、結果が分かるように、レポートに記入する。

授業の感想・メモ

  • 扇風機のプロペラを外して、自転車の前輪を回した班は、安定した回転を得ることができた。しかし、風が動かないため、モーターが加熱した。そこで、後ろから、別の扇風機で風を送ったところ、加熱が防げた。今回は安定してゆっくりと動かす動力、回転軸および軸受けがネックとなった。軸が安定していないため、上下に振動し芽が粉砕してしまった班もあった。
  • 回転させる動力に時計を使用する計画があった。スピードはいいが、トルクが弱いので、使用しなかった。
  • 最終的には、ほとんどの班で、横に倒した芽を茎が軸になる方向に回転させることで、重力による影響をなくすことができた。

第2回目/全2回『授業記録シート』

<今回の授業の指導目標>
講義「重力と生き物について」(90分)
地球上の生物が重力の影響をどのように受けているか学習する。また、重力の影響をなくす観察方法について学習する。

実験「実験計画に基づいて、実験する。」(90分)
微小重力の環境で植物を生育した状態を模倣できる実験方法を考え、装置を作成する。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
                   
指導上の留意事項
         
講義「重力と生き物について」(90分)
導入
(5分)
・地球上では、常に無意識のうちに全てのものが重力の影響を受けている。
△重力の影響について興味を持つ。
展開
(80分)
1.重力について理解する。
2.生物が受ける重力の影響を理解する。
3.地球上で重力を与えない実験方法について理解する。
△地球上では、すべてのものが常に重力の影響をうけている事を理解する。

△宇宙空間に行ったとき、無重力であるためおこる現象について理解する。

△地球上で宇宙空間と同じ無重力を作る実験方法を理解する。
まとめ
(5分)
・本日の内容をレポートにまとめる。
△講義の中での疑問点等質問し、理解を深める。
実験「実験計画について、実験する」(90分)
導入
(10分)
・植物の芽が上に、根が下に向かい生育するのは、重力の影響である。植物に重力が働いていないように感じさせる方法を考えさせ、実験により確認する。
◎生徒が考えそうな実験に使う材料を準備しておく。

◎重力の影響をなくすために「検体を回転させる」というヒントを与える。
△実験の計画を立てる。
・安全面に配慮させる。
・予算の上限もあるので、できることと、できないことを明示する。
展開
(60分)
1.実験の計画を立てる。
2.装置の組み立てを行う。
△4つのグループに分かれ、それぞれの装置を考え、作成した。以下に動力の概要を記す。

A班:水槽用ポンプを使い、水車を回す。
(水車にペットボトルを使用)
B班:水槽用ポンプを使い、水車を回す。
(水車に卵パックを利用)
C班:扇風機で風を送り風車を回す。
D班:扇風機の軸に、自転車の前輪を乗せ回転させる。
・安全面に配慮する。
・計画に無理がないか、また、現在あるもので代用できないかアドバイスおよびアイデアの提供を行う。
・ゆっくりと安定した回転を得るための装置作りが課題となった。
まとめ
(20分)
・本日の内容をレポートにまとめる。
△装置の仕組みが分かるように、記録する。

授業の感想・メモ

  • 講義「重力と生き物について」
    ・パワーポイントを見ながらの説明で、重力の影響をなくす観察方法の困難さを感じた。日頃重力があることが当たり前になっているので、無重力空間での現象には興味が持てた。
  • 実験「実験計画に基づいて、実験する。」
    ・実験しながらの試行錯誤がたくさんあり、考えながら問題を乗り越える力が育めたと思う。実際に装置が形になると新たな問題が生じたり、新しい発想が生まれてきた。生徒の柔軟な発想力には、驚かされた。反面、このような実習には不慣れであり、実現困難な計画やどんな点が問題であるか、見抜けない面もみられた。

群馬県・群馬県立前橋女子高等学校(1)

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