授業連携

オオムラサキの棲む環境における、リモートセンシングを利用した環境調査

埼玉県・大妻嵐山中学校

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概要

▲5月28日 講義の様子

<全授業を通した指導目標>

中学1年次、オオムラサキの飼育、観察、研究を行ってきたが、そこで学習したことをさらに広げ、オオムラサキの生育できる環境がどのようなものであるかリモートセーシング技術の活用を中心とし、科学的に調査、研究していく。また、そこで得られた結果より、人間生活と環境のかかわりを考え、今後の環境学習につなげていく。

<対象>

中学2年生 129名

<期間>

平成20年5月28日~平成20年8月6日

<区分>

SPP(サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト)

構成表

実施日
時間
形式
人数
授業内容
1
100分
講義
129名
「宇宙から見た地球」
油井 由香利
(JAXA宇宙利用ミッション本部地球観測研究センター 主任開発員)
支援:岸 詔子・宮原 有香
2
150分
講師
75名
『国際宇宙ステーション~宇宙での暮らし~』(60分)
講師:足立 昌孝
(JAXA有人宇宙環境利用ミッション本部 事業推進部 主任)
見学
筑波宇宙センター 施設見学(90分)
支援:岸 詔子

第1回目/全2回『授業記録シート』

<今回の授業の指導目標>
通年の環境学習の一環として、科学的な視点から環境について考えていく授業の導入としておこなう。地球環境を地球誕生の歴史からさかのぼり、現在に至るまで、どのような経緯があり、地球が生命をもつ惑星となった理由を考えていく。他の惑星と比較することで、宇宙から見た地球環境がどういうものかを理解し、その環境が宇宙(人工衛星)から見たときにどう変化してきているのかという現状を理解し、興味づけをおこなう。また、来年中学3年次の道東体験学習へ発展させていく。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
指導上の留意事項
導入
(20分)
●講師の自己紹介
・JAXAでの仕事内容、またそこへ至るまでの経緯(進路)
◎宇宙開発の仕事に就くためにどのような学習、進路に進んだのかという情報提供
・将来、宇宙の研究をしたいという生徒がいることを事前に知らせ、その生徒へのアドバイスもした。
展開
(90分)
●宇宙の歴史
・宇宙からさまざまな原子が誕生した経緯
・さまざまな原子が星を作る経緯
・特に太陽系の惑星の誕生について
・太陽系の惑星の特徴と誕生までの経緯
・地球と地球以外の太陽系惑星の比較
・地球誕生の奇跡について

●地球環境の現状
・衛星画像から見た地球環境の変化
◎スライドを使用し、現在わかっている宇宙の誕生について説明をした。人工衛星、衛星探査機からの写真を紹介。

◎人工衛星からの地球の写真を使い、地球環境の変化を説明した。特に話題になっている温暖化のメカニズムを科学的に説明したうえで、温暖化によると考えられる環境変化を中心に、生徒に考えさせた。
・生徒の科学的な知識を配慮しながら、理解しやすいように専門用語をわかりやすい言葉を使い説明した。
まとめ
(30分)
●地球は奇跡の惑星
・生命をもつことができた唯一の太陽系惑星

・長い年月を経て生命を生み出した地球環境の急速な変化の原因は年限の生活活動であるということ

・奇跡の惑星を守るために人間は何を考えていくべきか。
◎地球がたくさんの軌跡によって誕生した惑星であることを強調したうえで、地球環境の壊していく人間の活動に対して問題定義をする。今後の環境学習へのつながりを作った。
・講義だけでおわることのないように、生徒たちへの問題提議を明確にし、今後の授業へのつながりを意識させる。

授業の感想・メモ

  • 地球環境について今まで授業の中で学習したことを踏まえ、今までと違った科学的観点から地球環境を生徒にとらえさせる目的で行った講義であった。宇宙研究の内容もあり、単なる環境学習という枠だけでなく、最新の科学技術の話などもあり、生徒の宇宙への興味関心を引き出すことができたと思う。生徒たちは勿論、一緒に講義を受けた教師も深い感動を覚えた。ここで学習した科学的な広い視点を持って、今後の環境学習、研究、発表につなげていく予定である。大変大きな意義のあった講義と考えている。

第2回目/全2回『授業記録シート』

<今回の授業の指導目標>
地球環境を宇宙からの視点でとらえさせることで、より多角的に地球環境をとらえる思考力を養う。この視点を持ち、今後の学校地域の環境調査へと進めていく。また、宇宙センター見学も同時に行うことで、より講義内容に理解を深めさせるとともに、興味・関心を持たせる。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
指導上の留意事項
導入
(10分)
●講師の自己紹介
訪問先である筑波宇宙センターでの研究内容、また講師の仕事内容の紹介
◎筑波宇宙センターで宇宙開発の最先端の技術が使われており、そのような施設でどのような研究がおこなわれているのかといった情報提供、興味づけ
・宇宙開発における技術について興味を引くようにわかりやすい言葉、スライドで説明
展開
(30分)
●宇宙とはどのようなところなのか
・無重力状態とはどういうことか
・大気がないということはどういうことか

●宇宙へ行くために必要なこと
・宇宙飛行士の訓練から見えてくること

●宇宙に住むために必要なこと
・水の循環
・空気循環(酸素供給、二酸化炭素回収)
・空調(熱循環)
・トイレ(先日の宇宙ステーションのトイレ修理の話題)
◎宇宙の定義について確認をする。
宇宙の環境について、実際に宇宙ステーションでの実験を通して考えていく。また、宇宙空間で生活をするという視点で問題になってくる点を生徒に想像させ、宇宙という環境がどのようなものかということに対して興味づけをさせる。生徒に対していくつかの項目について、クイズ形式に質問を投げかけ、関心を引き付ける。

△講師の質問に答え、その話題についての意見や考えを述べていく。
・生徒が想像しにくい内容については、クイズ形式に問題を出し、興味を引き付ける工夫を行った。最近、報道されたトイレ修理の話などのタイムリーな話題にも触れ、今後の宇宙関連報道への興味関心を持たせていく。

・実際にステーションでの映像を見せることで、専門用語も無理なく理解させていくことに努める。
まとめ
(20分)
●宇宙の暮らしから見えてくる地球環境
・宇宙から地球環境を考えてみる。
・生命が生きていく上で理想的な環境
・微妙なバランスの上で成り立っている地球環境の大切さを考えていこう
◎今まで学習してきた地球環境とは違う、宇宙からみた地球環境という新たな視点で私たちの地球環境を考えるきっかけとする。今後の環境学習において、ここで養った視点も加えながら今後の研究へとつなげていく。
・今後の学習へとつなげていけるよう生徒へ向けて、地球環境の考え方に関して明確な問題意識を持たせる。

授業の感想・メモ

  • 宇宙ステーション開発という講師の専門を生かした講義をしていただいた。大変興味深い内容で、生徒も話に夢中になっていた。単なる【最先端の宇宙技術】という話にとどまらず、このプログラムの目的である、地球環境学習へとつながっていく内容であった。宇宙から見た地球という視点は大変生徒たちだけでなく、引率教員にとっても興味深いものであった。講義の後、実際に宇宙センターを見学し、講義内容がさらにリアルに考えることができたように思う。大変よい機会をいただいたと感じている。

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