授業連携

尾瀬国立公園の植生調査(ALOSの画像データ活用)

群馬県・群馬県立尾瀬高等学校

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概要

<全授業を通した指導目標>

本校は、平成8年より、環境学習の場として尾瀬国立公園を活用してきた。尾瀬ヶ原は興味深い生態系を有しており、一見平らで広大な湿原も、わずかな起伏(高低差)や水の流れによって、全く異なる植生があり、植物とその生育環境との関係について学習する題材として適している。
 近年では、ニホンエゾジカによる尾瀬の植物の食害が問題になっていることから、これまでにSPP等の支援を受け、ニホンエゾジカの分布や頭数を中心に調査を実施してきた。また、食害を調べるためには、植物に関する知識が不可欠である。
 本講座では、SPP講座で得られた尾瀬ヶ原の植生調査の結果や、詳細な植生図の外部データ等を活用し、人工衛星(ALOS)の画像データと比較考察をすることで、尾瀬ヶ原全体の植生と地形との関係について理解を深めることをねらいとする。

<対象>

高校1~3年生 12名

<期間>

平成22年2月13日、2月14日

<区分>

環境学習

構成表

実施日
時間
形式
人数
授業内容
1
315分
見学
講義
12名
筑波宇宙センター 施設見学ツアー(75分)
『宇宙開発・宇宙科学研究全般、宇宙から見た地球』(90分)
講師・指導:大木 真人
(JAXA宇宙利用ミッション本部地球観測研究センター 開発員)
実習
『画像解析について』(120分)
 画像解析実習(基本編)
講師・指導:大木 真人
(JAXA宇宙利用ミッション本部地球観測研究センター 開発員)
まとめ(30分)
支援:宮原 有香・伊藤 和哉
2
360分
実習
12名
画像解析実習(基本編)(60分)
画像解析実習(応用編)(180分)
講師・指導:大木 真人
(JAXA宇宙利用ミッション本部 地球環境研究センター 開発員)
自由課題の時間(90分)
まとめ(30分)
支援:宮原 有香・伊藤 和哉

第1回目/全2回『授業記録シート』

<今回の授業の指導目標>
(1)宇宙とは何か?宇宙から地球を見るとはどういうことか?また、その意義とは?
→これらのことを学習する。

(2)画像解析の基礎を学習する。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
指導上の留意事項
導入
(75分)
・宇宙開発について、JAXAの業務について理解を深める。
→JAXA筑波宇宙センター、施設見学ツアーに参加する。(75分)
△生徒の活動
・ツアー案内役の話を聞く。不明な点があれば、質問する。

◎教師の活動
・話の内容を理解しているか、顔を伺いながら理解度を確かめる。
教師もわからないことだらけなので、教師自らも講師の話をよく聞く。
展開
(210分)
・講師の自己紹介(業務内容、経歴など)

・講義(1)「宇宙開発・宇宙科学研究全般、宇宙から見た地球」(90分)

・講義(2)・画像解析実習(基礎編)(120分)
→講師の話を聞き、実際にPCを操作する。
→画像解析の基礎を学習する。
→使用する画像解析ソフトの操作方法に慣れる。
→画像を解析した結果、どんなことが見えてくるかを考える。
◎教師の活動
・PC操作でつまづく生徒がいるかどうか、目を配る。つまずいた生徒がいたら、サポートする。または、JAXAスタッフ(支援員)を呼ぶ。
・生徒に「考えながら、課題を見つけながら」PCを操作するように指導する。画像解析ソフトの使用方法について、アイコンの使い方をマスターするなど、初歩的な課題設定でもよいので、能動的になるよう指導する。

△生徒の活動
・「考えながら、課題を見つけながら」PCを操作するよう、受動的に操作しないよう注意する。
・画像解析の手法が定着するようにする。
・教師もわからないことだらけなので、教師自らも講師の話をよく聞く。
まとめ
(30分)
・本日の学習内容をふりかえる。定着度を確かめる。

・明日の講義に向けて、課題設定を行う。衛生写真を使って何が出来るか?どんなことがわかりそうか?自分で考え、翌日までにイメージをふくらませておく。
◎教師の活動
・翌日の講義に向け、イメージをふくらませるよう、課題を与える。その際に、解析の具体例を出すなどイメージをふくらませるよう、支援する。

△生徒の活動
・翌日の講義、学習内容を簡単に予習する。どんなことを学習するのか。
・不明な点など、講師に確認をする。教師自体、定着できるようにする。

授業の感想・メモ

  • 画像解析ソフトを用いるため、ペイントやフォトレタッチなどのソフトに予め慣れておく必要がある。
  • JAXAスタッフが分かりやすいように、レクチャーしてくれるので、進行上の心配はない。ただし、生徒が受動的にならないよう、時折教師側が生徒にチャチャをいれたり、発問したりするなど、生徒の理解度、学習到達度を確かてやる必要がある。
  • 教師自身、しっかりレクチャーを受け、定着させる必要がある。

第2回目/全2回『授業記録シート』

<今回の授業の指導目標>
 画像解析の基礎編を通じて、衛星画像をどのように活用するか、分析するかについて学習した。
 発展として、衛星画像を解析することでどのような発見があるか、自分でテーマ設定し、比較考察を行う。また、各自のテーマ設定、解析した結果をディスカッションする。ディスカッションを通じて、比較考察に幅を持たせる。また、様々な活用例、分析例があることを気づかせ、理解させる。

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
指導上の留意事項
導入
(60分)
・画像解析実習(基礎編)(60分)
→昨日の実習の復習を行う。
→バンド色合成、色調補正。
◎教師の活動
ソフト操作、解析までの画像データ処理など一連の動作がマスターできているか、定着度を確かめる。
展開
(270分)
・画像解析実習(応用編)(180分)
→季節変化、経年変化について考える。
→画像の貼り合わせについて、ソフトの操作方法を学習する。
→ピクセルスペーシングと分解能について。画像を合わせるために
→AVNIR-2とPRISMのパンシャープンの操作方法。画像の特徴について。

・自由課題の時間(90分)
→各自が課題を設定し、比較考察を行う。バンド色合成、色調補正など自分で行い、どんな発見があるか、変化が見られるか。
→各自が取り組んだ課題について、発表する。
◎教師の活動
(自由課題の時間)
→前日に予告した、「課題設定」についてここで発表するよう発問する。
→「自分で考えるように」留意させる。
→尾瀬調査、武尊山調査など現場調査、自らの経験を踏まえて、衛星画像と比較考察するように留意させる。

△生徒の活動
(画像解析実習)
→どんな変化がみられるかを考えつつ、画像を解析する。
(自由課題の時間)
→発表者の意見や考えを聞くだけでなく、ディスカッションを通じて、それらの意見や考えに深み、確実性を持たせる。
まとめ
(30分)
・2日間の講義実習を通して。
→講師からまとめの言葉を頂く。
→感想、今後の展望について意見を生徒が述べる。
→学習定着度を確かめるため、各学習のポイントについて、発問する。
◎教師の活動
今後、実際の現場調査とどのように対応させていくか、イメージさせる。

授業の感想・メモ

  •  自分でテーマを持たせるための支援が欠かせない。1年生など現場調査の経験が少ない生徒にとって、衛星画像の活用についてイメージさせる際にやや不利となるが、「衛星画像を活用する」ことに留意させ、なんでもよいので、身近な例でもよいので、「衛星画像を使うとどんなことがわかるのか」をイメージさせる。
     画像解析は端的に言ってしまえば、解析技術そのものは専門家に聞いたり、操作に慣れている生徒と一緒にやれば済むことである。しかし、活用のアイデア、課題設定は人様々である。とにかく、「衛生写真を使うと新たな発見がある」ことについて、イメージをさせるトレーニングさせる。このことが、広く一般にも衛生写真を活用し、生活の向上について果たすことに繋がると思う。

群馬県・群馬県立尾瀬高等学校

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