<今回の授業の指導目標>
宇宙とは、宇宙ステーション、宇宙環境、宇宙食、フリーズドライ製法など、高校の地学、物理、化学で学習する基本事項の確認を行う。また、宇宙食品について予め調査し、実物を見ながらどのような工夫がなされているかをテーマ別にグループディスカッションする。さらに、化学?・?未履修生徒の考慮を含め、真空、昇華、圧力、水に関する基本法則を学習する。
時間配分 |
学習内容 |
◎教師の活動
△生徒の活動 |
指導上の留意事項 |
40分 |
※本講座は、講義→実験・観察→グループディスカッション→プレゼンテーションの流れを基本として構築している。また、各講座単発にまとめるのではなく、次回の講座の導入として問題発見解決能力を養うための課題を与え、事後学習・報告書作成実習で生徒自身が問題提起に対して解決していくプロセスを学習できるような教育環境を整えることに留意したい。そのためにも、生徒の活動として討論・発表を重視したい。 |
△基本的な内容と導入に関する講座である。ここでは、宇宙食品について事前調査を行わせ、実物を見ながらどのような工夫がなされているかをテーマ別にグループディスカッションし発表する。発表形式は、B2程度のホワイトボードを使って行う。時間は1班あたり5分以内を予定。〔生徒〕(25分)
◎フリーズドライ製法に関する、高校の物理、化学で学習する基本事項の確認を行う。また、宇宙食品について予め調査し、実物を見ながらどのような工夫がなされているかをテーマ別にグループディスカッションを行う。さらに、化学I・II未履修生徒の考慮を含め、真空、昇華、圧力、水に関する基本法則を学習する。〔教員〕(15分) |
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※本校HP SPP活動報告文より
- 「日本の食文化と科学技術IV」の事前指導として実施しました。担当の先生から真空凍結乾燥技術「フリーズドライ(Freeze drying)」について説明が行われました。フリーズドライ技術のメリットについて生徒へ質問が投げかけられると、保存性が良い、水で簡単に復元できるなどの意見が出されました。また、フリーズドライの歴史にも触れ、日本ではお茶漬けやインスタントラーメンなどが民衆に広がっていったこと、現在では宇宙食や非常用食品・携行食品としての価値が高まっているなどの解説がありました。次回は、JAXA宇宙航空開発機構の先生をお招きしての講座となります。フリーズドライ技術がどのように宇宙食に応用されているか興味津津です。
<今回の授業の指導目標>
宇宙食に関する加工技術、安全性・保存性、容器の工夫について学習する。本講座で学習した知見についてグループディスカッションおよびプレゼンテーションを行い、理解の定着をはかる。
時間配分 |
学習内容 |
◎教師の活動
△生徒の活動 |
指導上の留意事項 |
講義 (30分) |
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◎宇宙環境、宇宙ステーション内の環境、宇宙食、加工技術、食の安全性・保存性、容器の工夫について。 |
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問題発見学習 (120分) |
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△宇宙での環境(無重力状態)を考え、どのような食品が宇宙食に成り得るか、宇宙食を食べる前の処置はどのような方法があるか、調味料や生鮮食品は宇宙食として可能か否かを考察する。 また、容器の工夫では摂取口の形状について工夫や長所・短所について考え、さらに容器の廃棄処理技術にはどのようなものがあるかを考察する。〔生徒〕(2時間) |
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実験・実習 (60分) |
テイスティング実験 |
△市販されている宇宙食品を実際に食してみて、味覚、嗅覚、食感などを体験する。〔生徒〕(1時間) |
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グループディスカッション (60分) |
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△人体における宇宙食の役割、宇宙食の条件、宇宙食の安全性、保存性などを討論する。〔生徒〕(1時間) |
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プレゼンテーション (60分) |
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△グループディスカッションでまとめた内容をホワイトボードを使って発表する。また、発表を評価し、再度ディスカッションを行う。〔生徒〕(1時間) |
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※本校HP SPP活動報告文より
- 「宇宙食の知られざる科学技術」と題して、宇宙食の歴史、宇宙食の種類や容器について学習しました。冒頭、野口宇宙飛行士の船内活動が紹介され、山崎宇宙飛行士の活躍も最近の話題となっているためタイムリーに学習がスタートしました。
- はじめに、「宇宙食の歴史」に関して中沢先生より講義を受けました。ロシアとアメリカの宇宙食の開発秘話や今までに宇宙に行った日本食が紹介されました。ご飯は当然ながら、さばの味噌煮や羊羹、チョコレートなど意外と多くの食品が宇宙に飛んでいることがわかりました。続いて、グループディスカッションI「地上と宇宙の違い」について討論をしました。ホワイトボードに思いついたことを自由に記載し、闊達な意見交換がなされていました。プレゼンテーションIでは、まとめた内容の発表となりました。酸素・重力・気圧・温度・音波・紫外線量などの違いや宇宙では“座る”ことができないなどユニークな発表もありました。場慣れした雰囲気で堂々と発表し、質問・解説を生徒どうし双方向で行うなど、和やかな雰囲気で進みました。
- 午後はじめの授業は、「スペースカレー」のテイスティングを兼ねたグループディスカッションII。「テーマ」は、「宇宙に持っていける、持っていけない食品」に関するテーマで自由に意見を出し合いました。生徒からは、持っていけない食品として炭酸飲料、刺身、寿司などが挙げられました。先生からは、小さな破片に分散してしまう食品が不向きであると教えられました。その後、「宇宙食」に関する全般的な講義を受けました。日常生活で多くの食品が宇宙に持っていけることがわかりました。特に重要なのは、容器と食べ口の工夫と食べ方によって、実に多くの食品が普段の生活と同じような感覚で食べられていることでした。塩・胡椒は液状にして食品に浸み込ませるように使用すること、野口宇宙飛行士がラーメンを食べる映像が紹介され、普段私たちが箸を使って食する動作とさほど変わらない様子だったことが印象的でした。
- 講座の最後に、スープ麺が普通に食べられるパッケージとは、廃棄物ができるだけ少なくなるパッケージとは、宇宙で食べにくい食品を食べやすくするための工夫などの課題が出されました。
<今回の授業の指導目標>
フリーズドライ(凍結乾燥)について、日本のフリーズドライに関する食文化、フリーズドライの化学的構造、特性について学習する。本講座で学習した知見についてグループディスカッションおよびプレゼンテーションを行い、理解の定着をはかる。
時間配分 |
学習内容 |
◎教師の活動
△生徒の活動 |
指導上の留意事項 |
講義 (60分) |
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◎フリーズドライ(凍結乾燥)について、日本のフリーズドライに関する食文化、フリーズドライの化学的構造、特性について。 |
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問題発見学習 (60分) |
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△フリーズドライとは何かを身近な自然現象から考える。フリーズドライの歴史と製法を学ぶ。日本の食文化に見るフリーズドライ製法食品とは何かを考える。フリーズドライ構造について考察する。〔生徒〕(1時間) |
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実験・実習 (120分) |
フリーズドライ材料の調整実験。 |
△真空凍結乾燥機でフリーズドライ製品を作成し、化学的構造や物性に関する実験を行う。また、できた製品のテイスティング実習を行う。〔生徒〕(2時間) |
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グループディスカッション (60分) |
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△フリーズドライの構造について、フリーズドライ製品の安全性や保存性について討論を行う。生鮮食品のフリーズドライ製法について考える。〔生徒〕(1時間) |
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プレゼンテーション (60分) |
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△グループディスカッションでまとめた内容をホワイトボードを使って発表する。また、発表を評価し、再度ディスカッションを行う。〔生徒〕(1時間) |
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※本校HP SPP活動報告文より
- 「フリーズドライの科学」と題して、フリーズドライ食品の製造に関わる凍結乾燥法や微視的構造について湘南キャンパスの実験室を利用して学習しました。
- はじめに、応用化学科片山主任教授のご挨拶をいただいた後、今回のテーマである物質の姿をいろんな角度から調べる高度物性評価施設がある17号館分析センターへ移動し、最先端の分析装置を見学しました。透過型電子顕微鏡、電界放出形分析電子顕微鏡、飛行時間形二次イオン質量分析計、X線装置など原子レベルの観察ができる装置が多数設置され、物質の構造が様々な手段を使って調べられていることを学習しました。また、分析装置の操作が訓練を受ければ学生でも扱える教育システム(マイスター制度)があることも興味が増しました。
- 午後からは、フリーズドライに関する本格的な実験がスタートしました。凍結乾燥法技術に関する実験では、実際にプリンやゼリーを小片に切断し、凍結乾燥装置に入れてフリーズドライになっていく様子を観察しました。また、テクスチャー測定では、硬さ、軟らかさ、べた付き感を調べました。その後、凍結乾燥したプリンとゼリーを食べるテイスティング実習を行いました。さらに、微視的構造に関する実験では、プリンやゼリーの表面の様子を電子顕微鏡で調べました。試料に毛髪を加え、試料全体を金メッキ処理した後、約1000倍に拡大した表面を観察しました。プリンの表面は滑らかで、ゼリーは繊維質のような構造が観察され、毛髪はきれいなキューティクル構造を確認することができました。
- 実験後は、グループディスカッションならびにプレゼンテーション実習を行いました。6つのグループに別れ、プリンとゼリーの食べ比べと電子顕微鏡からみた構造の違いやテクスチャー実験との比較、実験室見学での感想などをまとめ発表しました。テクスチャーの測定では、温度が低いほど、硬く、粘着性が低いこと、プリンの方が比較的変化の差が小さいこと、その背景には、牛乳を入れたことによるタンパク質の影響があるのではないかという発表がありました。また、質問では、凍結乾燥が不可能な食品にはどのようなものがあるか、フリーズドライ後の食品を完全に戻すことができるのか否か等の質問がなされました。先生方の懇切丁寧な説明は、フリーズドライの興味をより一層高めることになり、宇宙食の開発技術の一端を知る機会となりました。
<今回の授業の指導目標>
◎〔講義〕筑波宇宙センターの役割、未来の宇宙食、宇宙食の容器について学習する。本講座で学習した知見についてグループディスカッションおよびプレゼンテーションを行い、理解の定着をはかる。さらに、授業テーマ全体の総括を行う。
時間配分 |
学習内容 |
◎教師の活動
△生徒の活動 |
指導上の留意事項 |
講義 (30分) |
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筑波宇宙センターの役割、未来の宇宙食、宇宙食の容器について。 |
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問題発見学習 (150分) |
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△展示物を視察し、実際のステーション空間を擬似体験し、その中で行われる日常生活の利便性を考察する。宇宙食の役割や宇宙食の条件について見識を深める。容器の形状に着目し、どのような工夫がなされているか、各国による開発の差異について調査する。〔生徒〕(2.5時間) |
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グループディスカッション (60分) |
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△展示物を視察し、ステーション空間の一部を疑似体験した後の生活の利便性や宇宙食の条件、安全性、保存性について討論する。〔生徒〕(1時間) |
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プレゼンテーション (90分) |
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△第2回講座で討論した内容を発展させて、パソコンを利用したプレゼンテーションを行う。専門の研究者より発表に対する課題を提供し、さらに進化させた討論を行い、発表する。〔生徒〕(1.5時間) |
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※本校HP SPP活動報告文より
- 正門から入ると“JAXA”の文字が大きく記された総合開発推進棟やH-IIロケットが目に入ってきました。筑波宇宙センターに来たという実感がすぐに湧いてきました。
- はじめに、総合開発推進棟で宇宙航空研究開発機構JAXAの活動紹介映像を見て全体像を掴む学習を行いました。人工衛星やロケットの研究・開発や追跡管制技術、有人宇宙ミッション、宇宙環境利用への取り組みなど様々な活動を行っている研究機関である事を知りました。今話題となっている国際宇宙ステーション(ISS)実験棟“きぼう”や小惑星探査機“はやぶさ”などの映像を通して、とても身近に感じられました。
- 昼食後、施設見学では、あいにく展示施設が準備のため閉鎖されていたため、人工衛星やロケットなどを展示したブースでの学習はできませんでした。宇宙ステーション試験棟では、国際宇宙ステーションISS“きぼう”に実際に設置された同じモデルの船内実験室を見学しました。想像をはるかに超えた大きさで、黄色い円筒形をした施設が実際に地球を周回していると思うと宇宙技術のすごさを実感しました。次いで、宇宙飛行士訓練設備のひとつである無重量環境試験棟の大型プールやプール内で宇宙服を着た状態で潜り実際の船外活動と同じ行動を訓練する様子、アメリカ製とロシア製の宇宙服の比較、宇宙飛行士が宇宙服を着用する際の映像を見ました。最後に、宇宙食保管庫や宇宙メダカの17代目を観察するなど多くの知見を得ることができました。
- 総合開発推進棟に戻り、第2回講座で出された課題を中心にグループディスカッションおよびプレゼンテーション実習を行いました。課題は、1.スープ麺が普通に食べられるパッケージの検討・提案、2.廃棄物ができるだけ少なくなるパッケージの検討・提案、3.宇宙では食べるのが難しいものを食べやすくするアイディア、4.宇宙食を進化させるための提案についてグループで検討し発表しました。施設見学を通じて調査した体験が生かされた発表となりました。
- 以上で、講座I〔食品〕の学習が終了しました。日本食の多くがそのままの状態で食べられている背景には、日本の食文化のひとつであるフリーズドライ製法をはじめとした加工技術の発展や保存容器の工夫、食べ口の工夫、宇宙飛行士自身の食べ方の創意工夫など人間と科学技術の融合が、新しい食文化を発展させていることを学びました。