授業連携

朝のショートホームルーム約15分を利用して、はやぶさの平均の速さを計算する

和歌山県・近畿大学附属和歌山中学校

  • 中学校
  • 中1
  • その他

概要

<全授業を通した指導目標>

大きな数の計算を取り扱うときに、位どりを間違えないようにする。正しい計算ができるようにする。
宇宙探査機はやぶさが実際に移動している速さを求め、身近な場所まではやぶさの速さで移動するとどのくらいかかるか計算し、はやぶさの速さを実感する。
速さ、と一口でいっても、何を基準にしているのかによっていろいろな考え方があることを理解する。

<対象>

中学1年生 34名

<期間>

平成23年1月14日~1月26日

<区分>

ショートホームルーム

構成表

実施日
時間
形式
人数
授業内容
1
15分
演習
34名
はやぶさが7年間かけて60億km航行したときの平均の速さを計算する。
2
15分
講義
34名
太陽系は銀河の端で回転していることから、相対速度の概念を理解する。

第1回目/全2回『授業記録シート』

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
指導上の留意事項
導入
(2分)
はやぶさの実際の移動時間と移動距離を提示する。
◎黒板にはやぶさの移動時間 7年間
はやぶさの移動距離 60億km
この7年間に閏年、閏秒はなく、
1年は365日、1日は24時間、1時間は3600秒
という前提で、はやぶさの平均の秒速を計算させる。
閏年、閏秒なども現実には存在する可能性があるが、はやぶさの速さの概算をする場合にはそれら細部にとらわれる必要のないことを理解させる。
展開
(11分)
はやぶさの平均の速さを計算する。
△生徒が計算する。
大きい数字の計算において位どりを間違えないように注意させる。
まとめ
(2分)
はやぶさの平均の速さがどの程度のものなのかを理解する。
◎この問題に対する計算結果、毎秒約27キロメートルを示す。学校からJR和歌山駅までバスで20分かかるところをはやぶさの速さならわずか0.2~0.3秒で移動できること、ジェット戦闘機でも約毎秒1キロメートルであることを例示し、その速さを実感させる。
身近なものと対比させ、その速さを実感させる。

授業の感想・メモ

  • 数字が大きいため、計算間違いする人が多かった。
  • 最後に正しい計算結果を例示し、その速さが、日常生活に置き換えるとどの程度速いのか、例えば、バスで通常20分程度かかる本中学校からJR和歌山駅までわずか0.2~0.3秒程度の速さで移動している、ということを示すと、はやぶさがいかに早いか、宇宙空間がどの程度広いのか、に関する認識があたらしくできたようである。

第2回目/全2回『授業記録シート』

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
指導上の留意事項
導入
(2分)
はやぶさの平均秒速27キロメートルがどのような意味を持つのか考えさせる。
◎前回、はやぶさは平均して秒速27キロメートルで移動した、と計算したが、これには何か前提があるのでは、と発問する。
何を基準に秒速27キロメートルと表現しているのかについて想像させる。
展開
(5分)
速さ、といっても、絶対的な速さはなく、相対的な速さを表現していることに気付かせる。
△生徒にどのような前提があるのか考えさせる。
相対的な速さの概念を理解できるようにする。
まとめ
(8分)
宇宙空間においては絶対的な静止系というのは存在せず、我々が速さ、というのは相対速度のことを言うのであり、この場合、どういった前提での相対速度なのかを常に考えながら速さについて考えなければ、速さの定義そのものがあいまいになることを理解させる。
◎太陽系は銀河系の周辺部に位置し、銀河系そのものが回転しており、太陽系そのものが銀河系の中で毎秒約220キロメートルもの速さで移動していることを示す。
現在常識と考えていることも実は角度を変えてみれば異なることもあることに気付かせる。

授業の感想・メモ

  • 中学校1年生には現在の日常空間を外から見る、という抽象的な事象の捉え方が苦手なようであったが、この授業を通じ、若干ではあるが広い視野でものごとを考えることができるようになった様子である。

和歌山県・近畿大学附属和歌山中学校

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