授業連携

環境科学特別講座-環境とエネルギー-

神奈川県・東海大学付属相模高等学校

  • 高等学校
  • 高1
  • 高2
  • 高3
  • 探究

概要

<全授業を通した指導目標>

環境問題を多面的な視野で捉え考察できる能力と問題発見から問題解決に至る科学的プロセススキルを主体的に構築できる能力の育成を目的として本講座を実施した。
宇宙航空研究開発機構における連携講座では、宇宙太陽光発電の学習を行うことによって次世代エネルギーについての将来の展望と課題を考察する。
東京ガスにおける連携講座では現在主体となっている化石系エネルギーとスマートグリッドエネルギーシステムの展望を学習することで、現在のエネルギー事情の問題点と新エネルギーの課題を明確化し、エネルギー問題についての解決策を多面的な視野で捉え考察できる力を獲得させる。
また、東海大学工学部原子力工学科、応用化学科における支援講座では、現在のエネルギー状況と温暖化問題、環境中の放射線、太陽光発電材料についての学習活動を行い、連携講座の学習を深化させ、経験的知識として獲得させる。
これらの学習活動により、エネルギーと地球環境との関連性を総合的に考察できる能力を獲得させ、探究的学習における問題発見能力と問題解決能力を育成することを目的とする。

<対象>

高校1~3年生 25名

<期間>

平成24年7月20日~12月23日

<区分>

SPP(サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト)

構成表

実施日
時間
形式
人数
授業内容
1
7月20日
180分
講義
討論
発表
25名
事前学習(開始講座):東海大学付属相模高等学校
・ガイダンス(講座内容の概要、講座の目的と学習目標)
・環境問題とエネルギー問題を考察する視点について(講義)
・将来のエネルギー構成について討議し、提案する。(グループ別発表)
講師:本田 英世(東海大学付属相模高等学校)
2
90分
講義
見学
25名
連携講座:宇宙航空研究開発機構相模原キャンパス
宇宙太陽光利用システムについての講義と見学を通して、地球環境と将来のエネルギーの可能性について学習した。
・宇宙太陽光発電(SPS)について(講義)
・無線送電技術について(講義)
・宇宙太陽光発電に関する施設見学(見学、解説9
講師:佐々木 進(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所/教授)
田中 孝治(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所/准教授)
牧 謙一郎(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所/助教)
支援:門倉 真士
3
220分
講義
実験
発表
25名
連携講座:宇宙航空研究開発機構相模原キャンパス
無線送電装置の製作と作動実験、特性測定を通して、無線によるエネルギー搬送を体感するとともに、送電理論の検証を行った。
・レクテナによる無線送電(講義)
・ダイポールレクテナの製作と作動観察(実習)
・I-V特性測定用回路の製作(実習)
・レクテナのI-V特性およびP-V特性の測定(実習)
・質疑応答(発表)
講師:佐々木 進、田中 孝治、牧 謙一郎、
TA(井上 史也ほか)の学生の皆さん(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所)
支援:石川 由紀
4
8月2日
500分
講義
見学・
実習
発表
25名
連携講座:東京ガス(株)根岸工場
・ガスの輸入、製造から供給までのプロセスについての学習と製造装置および液化天然ガスの特性についての学習を行った。
連携講座:東京ガス(株)環境エネルギー館
・東京ガスのCRS活動の一環としての環境教育活動について学習した。環境エネルギー館に敷設された燃料電池をはじめとするエネルギーシステムの見学と解説を通じて次世代エネルギーについて学習した。スマートグリッドシステムをはじめとする将来のエネルギー構想について学習した。
5
8月3日
330分
講義
実習
25名
事後学習(支援講座):東海大学湘南キャンパス
・現代のエネルギーの現状と水素エネルギーについて(講義)
講師:内田 裕久(東海大学工学部 原子力工学科/教授)
・温暖化シュミレーション実習8講義・コンピュータ実習)
講師:大江 俊昭(東海大学工学部 原子力工学科/教授)
・環境中の放射線測定実習(講義・実習)
講師:吉田 茂生(東海大学工学部 原子力工学科/教授)
6
8月23日
420分
講義
実験
25名
事後学習(支援講座):東海大学湘南キャンパス
・環境問題と次世代エネルギーとしての太陽電池の必要性について(講義)
・色素増感型太陽電池の作成と起電力の測定。(講義、実験)
講師:功刀 義人(東海大学工学部 応用化学科/教授)、TAの学生の皆さん
7
12月23日
240分
発表
講義
25名
事後学習(総括講座):東海大学付属相模高等学校
・全講座の学習を通じて個々の生徒が見出した課題について調査研究した成果の個別発表(発表)
・環境問題とエネルギー問題および経済問題を総合的に考察するための視点について総括的に解説する。(講義)
講師:本田 英世(東海大学付属相模高等学校)

第2回目/全7回『授業記録シート』

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
指導上の留意事項
導入
(5分)
宇宙太陽光発電についての知識
◎宇宙太陽光発電を知っているか質問する

△自分の知識の確認を行う。
興味関心を喚起する。
展開
(200分)
宇宙太陽光発電の概要説明
・宇宙太陽光発電システムの解説
・研究の歴史
・実現のために必要な技術
・日本の研究の現状と展望
・実現した将来の社会とは

無線電力送電技術
・電気の特徴と使い方
・無線エネルギー伝送の歴史
・無線エネルギー伝送の応用
・各種の無線伝送技術の演示実験


宇宙太陽光発電システムに関連する施設の見学と解説
・マイクロ波伝送装置
・高速衝突実験設備
・スペースプラズマ実験設備
・無響電波室
・再使用ロケット模型
△メモを取りながら、問題意識を持って講義を聴く。





△メモを取りながら、問題意識を持って講義を聴く。
△各種方式のエネルギー伝送方式を演示装置を用いて操作し、体験する。


△各種施設の見学と解説を受けて、宇宙で発電した電力を地上に送る送電装置、発電衛星に対するスペースデブリの衝突被害、宇宙空間プラズマの影響、無線送電特性、資材運搬用ロケットの開発など実用化のためには多くの研究が必要なことを学習する。
講義に集中させるように留意する。





送電理論の確認をさせる。
次回の講座で製作するレクテナの作動状態を確認させる。
まとめ
(10分)
質疑応答
講義の振り返り
◎本日の講義と翌日の実習から疑問や課題を見出し、各自が整理しておくように指示する。
豊富な講義内容を整理して理解を進めるように指示する。

授業の感想・メモ

  • ほとんどの生徒が初めて得る知見となるので関心を持って講義に臨んでいた。物理の電気分野を未習の生徒が多かったため無線送電技術に関する電気分野の講義内容は難しく感じたようだ。しかし、各種送電方式の演示実験装置を操作することで理論を体感することができたことから、ある程度理解を進めることができたようだ。宇宙太陽光発電研究関連施設の見学では、宇宙空間中で太陽光発電衛星が受ける影響の研究について強い関心を示して解説を聞いていた。

第3回目/全7回『授業記録シート』

時間配分
学習内容
◎教師の活動
△生徒の活動
指導上の留意事項
導入
(5分)
宇宙太陽光発電システムについての実習-実習内容とスケジュールの説明
◎実習内容を把握させる。
△作業内容とスケジュールを確認する。
実習内容の全体像を理解させたうえで取り組めるように留意する。
展開
(220分)
電気と磁気に関する基礎知識の講義

実習に使用する器具の取り扱い説明



レクテナ(受電装置)の製作と作動観察








I-V特性測定用回路の製作

・全波長レクテナと半波長レクテナの
I-V特性、P-V特性の測定
・レクテナの特性の比較
◎レクテナの構造と部品の電気特性について理解させる。
△部品の役割と実習の用いる器具の使用方法を理解する。
◎器具の取り扱いを指導する。
△工具を用いて全波長ダイポールレクテナと半波長ダイポールレクテナを製作する。
△小型無線機からの電波をレクテナで受信しREDの点灯を観察して、無線電力伝送を理解する。
△工具を用いて測定用回路を製作する。
◎測定装置とレクテナを正しく接続しているか確認する。
△測定用回路の抵抗値を10点ほど変え、テスタを用いてレクテナのI-V特性、P-V特性を測定する。
△測定値をグラフにプロットする。
△グラフ化した結果を比較し、特性の違いを検討する。
実習の目的を理解して、製作と測定に取り組ませるよう留意する。


ハンダゴテの取り扱いに注意させる。


グループで役割分担して、製作と測定、記録を行うように指導する。
まとめ
(30分)
質疑応答
学習活動の振り返り
△2回の学習内容から自分が見出した課題に関する疑問を発表する。
◎個々の生徒の質問に回答する。
◎今回の学習内容についての振り返りを行う。
自分の疑問や考えを正確に伝えるように指導する。

授業の感想・メモ

  • 最初に電気理論の解説が行われたので、前日の学習内容の理解が進んだようだ。ハンダゴテを使用した電子工作は全員初めてだったことから工具の取り扱いや接続の仕方などに少し戸惑う様子が見られた。しかし、講師の先生方とTAの皆さんが非常に丁寧に指導してくださったので多少時間を要したが装置の製作と測定をすべて完了することができた。2日の学習内容は大変豊富であったが、全員が問題意識を持って取り組み、、講座を通じて自分の見出した課題や疑問を述べることができた。

神奈川県・東海大学付属相模高等学校

授業連携実績一覧

このページのTOPへ