ISEB学生派遣プログラム
【2003年度】第54回 IAF大会
※ 2005年のISEB設立以前はJAXAおよび他機関との協力事業として実施
※ 2004年度以前の実績は派遣当時の参加者報告を原文のまま参考掲載しています。なお使用している写真・文章は、提供者本人の許可を得て掲載しています。
派遣期間 | 平成15年9月28日(日)~10月5日(日) |
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派遣先 | International Astronautical Congress 2003 第54回IAF大会(ドイツ連邦共和国ブレーメン市 Messe Bremen他) |
主なスケジュール
日付 | 内容 |
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9月28日(日) | 出発→ブレーメン着 |
29日(月) | IAF大会Opening Ceremony→ IAF大会→Welcome Reception出席 |
30日(火) | IAF大会→Culture Night等出席 |
10月1日(水) | IAF大会→Science Night出席 |
2日(木) | IAF大会→Bremen市長主催学生レセプション・ESA主催Student Party出席 |
3日(金) | IAF大会→IAF Gala Dinner等出席 |
4日(土)~5日(日) | 帰国 |
参加者の声「第54回IAF大会に参加して」
※ 下記執筆者の所属等についてはIAF大会参加時(平成15年10月現在)のものです。
[その1] 東京大学 工学部 マテリアル工学科 3年 細居 洋介
We are the member of Space Development!!!
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"You are the member of Space Development!"
IAF大会のOpening Ceremonyで言われた言葉だった。
大会会期中は退屈する時間など全くなく、コロンビア号の事故のあとのISS建設や火星ミッション、有人ミッション、向井サンとの対談など、小さい頃月基地の写真を見て「こういうのをつくりたい!」と思ってから、ずっと宇宙開発に携わりたいと思っていた僕にとっては単に夢のような5日間ではなく、現実問題として何が不可欠なのか、日本は何をすべきなのか、そして他の宇宙開発機関と比較したときの現在の日本の宇宙開発の問題点など以前よりずっと問題を大きく捉えることできるようになったことが一番の成果であろう。
もちろん、同年代の宇宙開発に興味のある他国の学生と友達になったことも、もう一つの大きな成果である。Student Partyで行った、スピーチに対しても皆に好評で見聞を広められただけでなく、これからずっと続けていきたい人的ネットワークを与えてくれた大会だった。これから、今回出逢うことのできたひと、ものを糧に本当のmember になれるように生かしていこうと思う。
[その2] 慶應義塾大学 理工学部 機械工学科 4年 齋藤 俊哉
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学部1年生以来、IAF学生派遣プログラムに応募し続けてきましたが、4度目の挑戦にしてようやく今回の採用が実現し念願叶いました。まさに初志貫徹。派遣が決まった時の喜びもひとしおでした。
高校生時代はサイエンスキャンプを始めとする数々の宇宙教育プログラムに積極的に参加していました。また大学生になってからは、ボランティア活動等を通じながら宇宙開発に関する情報を吸収していました。しかし、IAFに参加し視野を世界に向けてみると、いかに自分が世界の一部にしか注意を向けていなかったかを痛感させられました。ヨーロッパ各国の宇宙開発に対する取り組みや、インドや中国、ウクライナなどの宇宙開発に対する取り組み、アメリカでは次々に衛星打ち上げ企業が立ち上がっている事等、新たに発見した事は様々でした。
また、ヨーロッパ各国の学生とも知り合えた事も大きな収穫の1つでした。帰国後早速、メールを通じて宇宙開発に関する意見交換をしたり、次回の開催場所であるカナダでの再会を約束したりと交流も続いています。
今回は幸いにして派遣プログラムで参加することができましたが、来年カナダで開催される55回大会へも何らかのかたちで是非とも参加したいと考えています。
今回の派遣で出会えた学生の皆さん、派遣事業に携わられたJAXAや日本宇宙フォーラムの関係者の皆様、本当にありがとうございました。
[その3] 同志社大学 法学部 3回生 小谷 敏之
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そもそもIAFについて何もしらなかった僕は、まず公式インターネットを見ることからはじめました。大学の文系で、しかも学部生である僕には、国際学会などというものに参加したことは当然なく、ましてやアブストラクトという意味も、はじめはなんのことかさっぱりわからず、応募する前から困惑の連続でした。しかし、宇宙、という分野に幼少のころより魅了を感じ、宇宙法、という発展途上の学問に、国際法のゼミのなかで漠然とした興味を抱いていたことも影響し、試行錯誤の末、アブストラクトを締め切り前日になんとか書き上げることができました。そんな僕が今こうして5日間のIAFに参加し、このような文章を書いていることを、大変嬉しく思います。
今回IAFに参加するにあたって、自分のなかではやってみたいことがたくさんありました。たくさんのセッションにでて、たくさんの知識を身につけたい、宇宙法についてたくさん勉強したい、宇宙ステーションのことをもっとしりたい、中国の有人ロケットの発達や、日本になぜ有人ロケットがないのか、日本の宇宙飛行士の方のことや、ブレーメンの歴史のことまで、列挙するとそれだけでページがいっぱいになってしまいそうです。しかし、僕自身の一番の目的は、他国の参加者の方々とたくさん話がしたい、ということです。もともと人との交わりが好きという理由もありますが、日本を知るためには世界を知ることが必要であると考えていたからです。
実際にIAFがはじまり、セッションに参加しているうち、想像していた以上に学生のプレゼンテーターが多いことに驚きとある種の感銘をうけました。僕と同じ歳ほどの学生が、非常にわかりやすく、そして技巧をこらした発表を展開して盛大な拍手をうけていたのです。実際に話を聞いてみると、あるものは自らワークショップをたちあげ、またある学生は宇宙法の研究に携わっている機関に自ら志願して、その中で研究を重ねてきたということでした。彼らの心のなかには、宇宙産業のなかで自分達が何をすべきなのか、ということに対して、明確な意思をもって今回のIAFに参加しているということが、会話を通じて伝わってきたように思います。同じ学生として、そんな彼らに影響を受け、一日終わるたびに宿に帰ってから、「明日もがんばるぞ!」という気持ちになっていけたからこそ、僕にとって5日間を充実ある大会にできたと思っています。
拍手喝采でイベントが終わった後、イベントの間中隣に座っていた老紳士このIAF大会を通じ、同じ日本の学生の参加者や研究者の方、それにEUや諸外国の学生との出会いのなかで学んだことは、学生として日常生活を送っていた僕には決して得られないものであり、次は堂々と発表していた彼らのように、自分もそうなれるよう、努力を重ねていきたいと思います。最後に、今回IAFプログラムで多大な温情を注いでくださったJAXAの伊藤さん、JSFの安藤さん、本当に最後の最後までありがとうございました。
Student Poster Session
"Scientific Poster展"への参加
本プログラムでは、IAF大会において日本人学生の宇宙開発関連研究活動を広く世界に紹介する目的で、展示会場内のJapanブースにおいてStudent Poster Sessionを実施しました。また、昨年同様、ESAのIAF学生派遣事業に協力し、同じく展示会場内に設置されたESA Student Squareにおける"Scientific Poster展"に3名の日本人学生が参加しました。
Japanese Students Poster
Plenary Event
本プログラムでは、10月2日に開催されたIAF/国際宇宙アカデミー(IAA)共催によるプレナリーイベントに協力し、日本人学生の中から早稲田大学大学院理工学研究科修士2年の眞山聡さんがパネリストとして参加しました。
本イベントは、国際宇宙大学(ISU)学長Dr. Karl H. Doetschを進行役として世界の宇宙開発のリーダー達に交え世界各地域からの学生がパネリストととして一緒に議論を行い、IAFのイベントの中でも初のユニークな企画として参加者の注目を集めました。
Plenary Eventの様子
向井千秋宇宙飛行士の宇宙講座
本プログラムでは、論文発表等でIAF大会に参加されていた向井千秋宇宙飛行士との交流の機会を参加学生に提供し、経験談や、Q&Aなど、直接、向井宇宙飛行士からお話を聞ける貴重な機会となりました。
宇宙講座の様子
ブレーメン大学・宇宙応用技術・微小重力センター(ZARM)
サイエンス・シティBremenの象徴であるZARMの落下塔。
欧州宇宙機関(ESA)Student Outreach Programとの協力
本プログラムは、ESA/JAXA相互協力により運営されています。