ISEB学生派遣プログラム
【2004年度】第55回 IAF大会
※ 2005年のISEB設立以前はJAXAおよび他機関との協力事業として実施
※ 2004年度以前の実績は派遣当時の参加者報告を原文のまま参考掲載しています。なお使用している写真・文章は、提供者本人の許可を得て掲載しています。
派遣期間 | 平成16年10月3日(日)~10月10日(日) |
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派遣先 | International Astronautical Congress 2004 第55回IAF大会(カナダ国・バンクーバー市・Canada Place他) |
主なスケジュール
日付 | 内容 |
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10月3日(日) | 出発→バンクーバ着→国際学生プログラムオリエンテーション→バンクーバ市内視察 |
4日(月) | IAF大会Opening Ceremony→HOA Event with Student→Welcome Reception出席 |
5日(火) | IAF大会→Fun Night等出席 |
6日(水) | IAF大会→Storyeum等出席 |
7日(木) | IAF大会→ポスターイベント→Student Party出席 |
8日(金) | IAF大会→IAF Gala Dinner等出席 |
9日(土)~10日(日) | 帰国 |
参加者の声「第55回IAF大会に参加して」
※ 下記執筆者の所属等についてはIAF大会参加時(平成16年10月現在)のものです。
[その1] ジョージワシントン大学 大学院 人文科学部
修士2年 笹村 舞実
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今回のIAF大会への派遣プログラムを知った時、これは絶対に自分のためになるから挑戦しなくてはいけないと強く思いました。第一の挑戦は、IAF大会に参加する前から始まりました。私はポスターセッションのテーマを今まで書いた論文からではなく、前々から興味はあったもののリサーチの進んでいなかったインターネット衛星の経済社会的効果にしました。当然、派遣が決まってからIAF大会までの短い間に集中してリサーチすることになり、特に学校が始まってからはとても忙しくなりました。しかし、メールや電話でのみアドバイスを頂いた先生方と実際にIAF大会でお会いできたり、ポスターセッション等を通じて今までの論文にはない多くのリスポンスを得ることができたことは、このプログラムで得た第一の収穫です。
IAF大会には、理系から文系、学生から社会人、政府関連から民間企業まで、世界各国から幅広い背景を持つ多くの人が集まります。テクニカルセッションでは、私の専門(テレコミュニケーション政策・経済効果)に関係する宇宙ビジネスや国際協力に関するセッションを中心に回り、世界の宇宙産業界全体の利益において6割以上を占めるこの宇宙サービス分野の難しさと面白さを改めて実感しました。専門外の多くの方々とは、お互いの専門よりも全般的な宇宙の話をすることが多かったのですが、これだけ朝から晩まで宇宙の話をするのは初めてだという位どっぷりと宇宙に浸かることができました。私の場合、セッション中よりも毎晩のように開かれていたソーシャルイベントでの交流の方が多かったのですが、リラックスした雰囲気の中で多くの方々の知識と情熱から多くの刺激を受けました。
大会期間中の印象的な出来事として、個人的には初日のプレナリー・セッションHOA Event with Studentがあります。CSA、ESA、JAXA、NASA、RKAの各長官もしくは副長官と学生が宇宙開発計画について話し合うというコンセプトだったのですが、それまでの心配と裏腹に、JAXAの間宮副理事長とNASAのオキーフ長官に挟まれて席に着いた時に意外に落ち着いている自分に気が付きました。各長官が驚くほど気軽に話しかけて下さる方々だったということもありますが、自分自身、この経験をただのいい思い出にするのではなく、これからもっと発信する側に回っていくための第一歩にするのだと切り替えられたからだと思います。その他、中国初の有人宇宙飛行を達成した楊利偉飛行士が同席した会見、スケールド・コンポジッツ社のスペースシップワンによる民間開発初の有人弾道宇宙飛行成功のニュースなど、プレナリーセッションやテクニカルセッション以外にもたくさんの興味深い出来事がありました。
IAF大会を通じ、多くの宇宙に関わる方とネットワークを築くことができました。学生同士はもちろんですが、学会全体として学生を支援していこうとする雰囲気が強く、それは学生である私にとり、とても幸運なことでした。お会いした方の中には、私の通う大学院のあるワシントンDC近郊で生活されている方もかなりおられました。今はその方たちから得ることばかりですが、いずれ自分からも情報や知識を発信し共有していけるようになりたいと強く思いました。「また来年福岡で」と別れた方も多く、それまでに少しでも自分自身を成長させたいと思います。
最後になりましたが、今回の学生派遣プログラムを主催してくださったJAXAやJSFの関係者の皆様と、学生のためのイベントに奔走して下さったESA、CSA、NASA、RKAの方々に心からお礼申し上げます。
第55回IAF大会には国際学生プログラムにより各宇宙機関から約200名(ESA140名、CSA40名、JAXA16名)の学生が派遣された。
[その2] 九州大学 大学院 工学部 航空宇宙工学専攻
八坂研究室 修士2年 桒原 聡文
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私は九州大学八坂研究室の桒原聡文と申します。今回、International Astronautical Congress (IAC) 2004に参加しての感想を報告させていただく機会に恵まれましたことを感謝いたします。
今回のIACはカナダのバンクーバで開催されました。バンクーバは入り江に囲まれた静かな街で、木々の紅葉の美しさと、ヨットの白い帆が印象的な街でした。
私はJAXA派遣プログラムの学生として、そしてまたUNISEC(大学宇宙工学コンソーシアム)の学生として参加し、九州大学で進行中のQTEX衛星プロジェクトに関する論文を発表して参りました。各セッションでは世界の最先端の研究内容が、そしてエクシビジョンホールでは世界各国の宇宙開発機関の衛星やロケットがところ狭しと展示されており、会期中に宇宙開発の世界の動向を全て理解できる内容になっていました。早朝の宇宙開発の最新ニュースの発表から、夜のパーティーまで、スケジュールも大変充実した内容でした。著名人にも多数お目にかかることができました。
今回、学生の立場で参加したこともあり、ESA、CSA、NASA、そしてJAXAを始め世界中の学生達と交流を深める機会に恵まれ、今後の宇宙開発に関して意見を交わすことができました。航空宇宙分野に限らず、医学や建築、そして芸術を専門とする学生も多数おり、宇宙の共同開発、平和的利用に関して考える非常にいい機会となりました。テクニカルセッションをみても学生の割合は決して低くなく、学生を対象としたイベントも複数開催されるなど、学生のIACに占める役割は決して少なくないと感じました。ここに集った学生達が今後の宇宙開発の原動力になっていくことは疑いようのない事実であり、今回そのような仲間たちとめぐり合えたことを非常に幸運に思います。
最後に、来年のIACは日本の福岡で開催されます。これは1980年に東京で開催されて以来25年ぶりとなります。このタイミングで日本が注目されることは日本にとって有利であると考えます。次回のIACを盛大なものにするためにも、多くの学生の方々の参加を期待致しております。
International Student Zone (国際学生ゾーン)
"Scientific Poster展"への参加
今回は初の試みとしてESA・CSA・NASA・JAXAの4機関協力により、展示場内にInternational Student Zone ;ISZ(国際学生ゾーン)が設置され、人材交流、専門家・学生の研究紹介の場として活用されました。
ISZの外壁には各国の教育活動を紹介する写真が展示された。
専門家による研究発表、国際宇宙大学など教育関係者が若い世代にむけて情報提供を行う。
Student Poster Session
本プログラムでは、IAF大会において日本人学生の宇宙開発に関連する研究活動を広く世界に紹介することを目的として、展示会場内のJAXAブースにおいてはStudent Poster Sessionを実施しました。また、国際学生ゾーンにおいて"国際学生ポスター・コンペ"が開催され、日本人学生代表として九大の桒原さん・東京芸大の小野さん・東大の西尾さんが参加し、西尾さんがメリット賞を受賞しました。さらに、日本国内の学生団体の活動を紹介しました。
Poster Session at JAXA Booth
派遣学生14名のポスター
Poster Session at International Student Zone
参加団体
SDF / UNISEC / UNISON / PULL / SPLEAD / SCSA / Live in Space
HOA Event with Students
本プログラムでは、国際学生プログラムの一環として、10月4日に開催されたプレナリーイベント「HOA Event with Students」に協力し、日本人学生の中からジョージワシントン大学大学院人文科学部修士2年の笹村舞実さんがパネリストとして参加しました。本イベントは、CSA教育部Ms. Marilyn Steinbergを進行役としてJAXA間宮副理事長、NASAオキーフ長官をはじめ、世界各国で活躍する宇宙開発のリーダーと世界各地域からの学生が質疑応答等の意見交換を行いました。本イベントは世代間を繋ぐ画期的な試みとして参加者の好評を博しました。
国際宇宙法学会(IISL)への協力
本プログラムでは、IISL主催の「マンフレッド・ラクス宇宙法模擬裁」に協力し、アジア・太平洋地域予選通過チームの学生2名をIAF大会に派遣しました。本年派遣した国立インド法科大学バンガロール校の学生2名は、IAF大会開催中に行われたセミ・ファイナルに参加しましたが、惜しくも本選には届きませんでした。なお、本年のファイナル・コンペはオランダのライデン大学が優勝しました。