ISEB学生派遣プログラム
【2018年度】第69回 IACブレーメン大会
派遣期間 | 平成30年9月28日(金)~10月8日(月) |
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派遣先 | ドイツ、ブレーメン |
主なスケジュール
日付 | 内容 |
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29日(土) | ブレーメン日本語補習授業校特別授業 |
30日(日) | ISEBプログラム(オリエンテーション、異文化ワークショップ、アウトリーチ活動のためのトレーニング、アイスブレイキング) |
1日(月) | IACプログラム(オープニングセレモニー、テクニカルセッション、プレナリー、ウェルカムレセプション) ISEBプログラム(宇宙機関長へのQ&Aセッション) |
2日(火) | IACプログラム(テクニカルセッション、プレナリー、ハイライトレクチャー) ISEBプログラム(ランチタイムセッション、ネットワーキングセッション) |
3日(水) | IACプログラム(テクニカルセッション、プレナリー、ハイライトレクチャー) ISEBプログラム(ランチタイムセッション) |
4日(木) | IACプログラム(テクニカルセッション、プレナリー、ハイライトレクチャー、IISL Moot Court Finals見学) ISEBプログラム(ランチタイムセッション) |
5日(金) | IACプログラム(テクニカルセッション、プレナリー、ハイライトレクチャー、クロージングセレモニー) ISEBプログラム(アウトリーチセッション) |
◆IAC(国際宇宙会議)について
IACは、IAF(国際宇宙航行連盟)、IAA(国際宇宙航行学会)、及びIISL(国際宇宙法学会)が主催する国際宇宙会議です。毎年秋季に開催され、最新の宇宙開発計画やアカデミックな研究成果の発表の場として、各国の宇宙機関、学者、研究者、企業、学生等が参加する世界最大の宇宙会議です。IACは1949年に第1回目が始まり、2018年は第69回目としてドイツ・ブレーメンで開催されました。
◆2018年度 ISEB学生派遣プログラム(第69回IACブレーメン大会)におけるISEB学生派遣プログラムについて
本プログラムは、IAC公式プログラムに加え、ISEB参加機関・団体(ESA、NASA、JAXA、CSA、CNES、VSSEC、KARI、SANSA、AEM)が協力して作る独自のプログラムへの参加機会を学生に提供しています。幅広い分野で将来の宇宙活動を担う各国の学生が、主に、学術・人材交流を通じて宇宙分野の理解を深め、国際理解と親善の促進、及び宇宙教育活動に参加することを目的として、IAC会期中に実施されます。2018年は、ISEB参加機関より派遣された73名(ESA:22名、NASA:13名、JAXA:10名、CSA:10名、CNES:8名、VSSEC:4名、KARI:6名)の学生がこのプログラムに参加しました。
また、JAXA宇宙教育センターは、より日本の派遣学生に資するプログラム作りを目指して、準備・企画段階から学生主導のもと、派遣期間中に現地での宇宙教育活動を実施しています。2018年度は、ブレーメン日本語補習授業校にご協力いただき、宇宙をテーマに学生たちが特別授業をおこないました。
本ウェブサイトでは、ISEB学生派遣プログラムに参加した日本の学生の皆さんの感想を交えた活動報告をさせていただきます。※学生たちの所属大学・学年等についてはIAC2018ブレーメン大会参加当時(平成30年10月現在)のものです。
◆ISEBプログラム①「オリエンテーション、クロスカルチャーワークショップ」
ISEBプログラム初日。前半は、各宇宙機関のスタッフ紹介やプログラムの概要説明がおこなわれました。
その後、クロスカルチャーワークショップでは、ファシリテーターによる進行のもと、学生たちがグループとなって自己紹介や自国の文化について話し合い、互いの理解を深めました。
<クロスカルチャーワークショップの様子>
【クロスカルチャーワークショップの感想】
- 7人1組のグループとなりディスカッションを行いました。自己紹介から始まり、各国のステレオタイプについて話しました。一部、SNSの用途など社会人研修のような内容もありました。このワークショップの目的は人種・言語・文化など多様性がある中で、「人の個性」を正しく理解する・自分を表現することの重要性を伝えることだと捉えました。英語は表現するための手段ですので、ワークショップ全体としてネイティブスピーカーの話す速度にも配慮していました。
(JAXA派遣学生 若井 悠貴)
◆ISEBプログラム②「 宇宙機関長×ISEB派遣学生 Q&Aセッション」
本セッションは、ISEB派遣学生からの質問に各国の宇宙機関長もしくは代表者が回答する、直接的対話形式で進行しました。JAXA派遣学生からは2名が質問をする機会を得ました。ISEB学生のみならず、IACに参加する多くの人々が集まり注目する中、Q&Aセッションは盛況のうちに終えました。セッション終了後も機関長等は学生との会話に応じてくれました。
<Q&Aセッションの様子>
◆ISEBプログラム③「ISEB国際学生ゾーン(ISZ:International Student Zone)における活動」
IAC会場内には、ISEB学生の研究発表(ランチタイムセッション)や人材交流の場として、ISEB国際学生ゾーン(ISZ)が設置されます。ランチタイムセッションでは、6名のJAXA派遣学生が協力し、各々のバックグランド(生物学、宇宙政策、宇宙法、サイエンスコミュニケーション等)を生かして、パネルディスカッション形式で登壇しました。
また、ISZにはISEBの各参加機関のブースが設置され、JAXAブースにおいては、学生の研究成果や学生団体活動など、発信したい内容をポスターとして掲示し、IACに参加しているあらゆる人々と交流するためのツールとして活用しました。
<JAXA派遣学生ランチタイムセッションの様子>
【ランチタイムセッションに登壇した感想】
- 発表時間の関係でLunch time sessionにおいて質疑応答の時間を取ることが叶わず、直接的なフィードバックを得ることが出来なかった点が悔やまれる。とはいえ、他機関派遣学生たちが個々人や派遣学生内の特定のグループの研究・活動報告が多かった中で見れば、内容のみならずプレゼンテーション構成としても先駆的な取り組み事例とすることが出来たように思う。
(JAXA派遣学生 長島 瑠子)
<ISZ、JAXAブースでの交流の様子>
【ポスター掲示の感想】
- ポスター制作を通じて自分の研究内容をわかりやすく簡潔に説明する必要に迫られたことで、文章だけでなく口頭においても以前より研究の要点をわかりやすく説明することができるようになったほか、簡潔に説明できない、すなわち十分に理解できていない点が明確になり、ポスター作成の意義を強く実感した。
当初は宇宙分野の中でもマイナーな法に関する研究であることから、注目度が低いと考え、ハンドアウト(ポスターの縮小版)は20部にとどめておいたが、実際は20部では足りなくなり増刷をしたことは想定外であった。明快な理由はわからないが、「宇宙飛行士とは何か、誰が宇宙飛行士か」というタイトルが興味を引いたものと考えられる。結果として、何度か直接質問をいただく機会もあり、とても嬉しかったとともに、質問の中で一番多かったのは、なぜこの研究をしているのか、というものであり、自分の研究の意義をわかりやすく伝える重要性を再認識することができた。
(JAXA派遣学生 斎藤 颯人)
◆ISEBプログラム④「ネットワーキングセッション」
ブレーメン大学に附属する科学技術博物館で、ISEB派遣学生とスタッフを含めた交流会(ネットワーキングセッション)が開かれました。CSA派遣学生が司会を務めた夕食会や科学ショーの見学など、和やかな雰囲気の中、他国の学生と交流を深めるひとときをすごしました。気分をリフレッシュした学生たちは、翌日から、各々後半の学会活動に臨みました。
<夕食会、科学ショーの様子>
【ISEB学生との交流を経て感じたこと】
- 今回参加したISEB活動には、参加者同⼠の交流を促進するプログラムが多く組まれており、さまざまな国の派遣学⽣の話を聞くことができた。これは驚いたことでもあるが、JAXA以外の機関から派遣されたメンバーのほとんどが博⼠課程の学⽣だった。⾃分はまだ学部⽣であるため、明確な専⾨分野や研究内容がないという点で弱いと思っていたが、実際に交流して感じたのは、⾃分の進路の参考にできるという点で強みでもあるということだった。<中略>
海外でも⾃分とよく似た進路を辿り、理学的なバックグラウンドを持った上で⼯学の勉強をする⼈がいると知ることができたことは、少しではあるが自分の将来設計に自信を持つことに繋がった。
(JAXA派遣学生 永利 光)
◆ISEBプログラム⑤「アウトリーチ活動」
ドイツ・ブレーメンの中学校に通う生徒をISZに招き、iPadでボール型ロボットを操作するプログラミングの体験学習がおこなわれました。ISEB参加機関のVSSECが主導の下、派遣学生たちと協力して、子供たちにプログラミングの楽しさを体感してもらいました。
<アウトリーチ活動の様子>
【アウトリーチ活動の感想】
- ISEB学生がアドバイザーとなり、レジュメを元に授業を進行しました。iPadを用いてプログラムを組み、ドロイドというスターウォーズに登場するキャラクターに似たロボットを動作させました。まず、入力値と出力値の関係性をグラフに書き起こし、それらの関係性を数式化しました。そのデータを用いて、目的値に最速で到達するためにはどんなパラメータを入力すれば良いか、トライ&エラーで取り組みました。
中学生の彼らが数式を使いこなしていたことが印象的です。目的地への到達実験では、闇雲にトライ&エラーを行わずに、すぐさま出発点と到達点の距離を測定し、作成した数式を用いて最適値を算出しました。その後、さらに難易度の高い課題に直面していたので、私のアイデアや彼らの解答が間違っていることを伝えると苦い顔をされました。おそらく、自分で考えたかったのだと思います。ドイツの教師は正しい答えに導くためにどんな伝え方をしているのだろうか、彼らの聡明さと自分で考えたいという欲求を垣間見て、私もドイツの教育を体験したいなと感じました。
(JAXA派遣学生 若井 悠貴)
◆その他の活動「JAXA派遣学生による日本語補習授業校特別授業」
準備・企画段階からJAXA派遣学生が主導の下、ブレーメン日本語補習授業校に通う準1年生から小学6年生までの24名の子どもたちとそのご家族にもご協力いただき、学生がさまざまな形で宇宙をテーマに特別授業を実施しました。
<授業テーマ>
低学年授業①:「月での生活を想像してみよう」~わたしたちの生活に必要なものってなんだろう?~
低学年授業②:「工作」~偏光(へんこう)まんげきょうを作ってみよう~
高学年授業①:「月面基地を作ろう」~コミュニケーションをつうじて~
高学年授業②:「宇宙に浮かぶ発電所」~未来の電気は宇宙からやってくる!?~
<特別授業の様子>
【特別授業の感想】
- 宇宙"に対する子供たちの好奇心や想像力を引き出し楽しませられる授業を提供したいという目標があったので、派遣学生たちにその思いを伝え、全員が一丸となり意見を出し合い進めてきました。今年は、派遣学生全員と直接会うのが難しく、さらにはアメリカに住む派遣学生もいたため、夜遅くにSkypeで何度も会議を重ねて派遣学生の皆さんには多大な苦労をかけました。<中略>
派遣学生一人ひとりの思いが、補習校授業を受けられた生徒さんに、一人でも多く楽しかったというだけではなく、何か学んでくれていることを願っています。
(JAXA派遣学生リーダー 万戸 雄輝)
※ブレーメン日本語補習授業校特別授業の様子は、以下のURLページでも紹介されています。
[活動報告]ドイツ ブレーメン日本語補習授業校特別授業/
おわりに・・・
今年度は学部生から博士課程まで、多種多様な分野を専攻する学生がISEB学生派遣プログラムに参加しました。JAXA派遣学生の参加報告書より一部抜粋した文章を掲載いたします。
石橋 拓真
東京大学 教養学部 前期過程 理科Ⅲ類 学部2年
【参加したIACセッションについて】
- まず感じたのは、思っていたよりも世界は月、そして火星を向いて、既に動き出しているということだ。初日の最初のPlenary Sessionでは各国のAgencyのトップが集まって銘々が今後のビジョンを語ったが、その中でNASA長官Bridenstine氏は国際プロジェクトとしてのDeep Space Gatewayの可能性を熱弁していた。「ISS運行終了後のプランは」という質問に対しても「DSGがISSと同じような、いやそれ以上の国際プロジェクトになる」「仕様を公開(make the architecture open)し、あらゆるステイクホルダーを巻き込んでいく」と回答するなど、DSGに対する本気度がうかがえた。Exhibition HallでもLockheed Martin社のブースでDSGの模型が、Boeing社やAirbus社、NASAのブースでも次世代有人宇宙船ORIONの模型が大きく展示されていた。日本でニュースを追っているだけでは「DSGという計画があるらしい」程度にしか感じていなかったのが、ここまで本格的に動きが進んでいるということが分かり、非常に刺激を受けた。
斎藤 颯人
慶應義塾大学大学院 法学研究科 公法学専攻 宇宙法専修コース 修士2年
【プログラム全般について】
- IAC派遣プログラムに参加して、もっとも大きな糧となったのは、様々な人との出会いである。優秀で多様な強みを持つJAXA派遣学生メンバーや、ISEBプログラムを通じて交流を深めた世界の学生たちと面識をもつことができ、深く刺激を受けた。これらは単にIACに参加するだけでは得難い仲間であり、このプログラムの一番の魅力であると心から思う。また、日本の学生を代表して英語でプレゼンする機会や、宇宙に関する授業を行うなど、自主的なプロジェクトを通じて、人として成長できたと感じており、今後は本プログラムで得た経験をもとに、研究や教育活動などを通じて宇宙分野や延いては世界に貢献することを目指していきたい。
篠原 香里
中央大学 法学部 法律学科 学部4年
【Moot Court Competition Final Round見学について】
- 私が本プログラムに申し込んだ理由のひとつは、宇宙法模擬裁判の世界大会決勝ラウンドを見に行くことができるということだった。私自身も学部1年の時に日本大会で優勝した経験があり、世界決勝のレベルを見てみたいという思いがあった。決勝ラウンドはブレーメンの裁判所で行われ、裁判官役にも聴講者にも、宇宙法の著名な研究者たちが多く来ていた。弁論では誰一人原稿も条約集も見ていないにも関わらず、条文番号すらもすらすらと答えているという点が印象的だった。来年も自分の後輩たちが日本大会に出場する予定だが、その上のアジア地区予選へ出場することも検討している。自分はOGとなってしまうが、今回見学した決勝ラウンドのことを後輩に伝え、日本からの世界大会出場チームとなれるよう、しっかり指導していきたい。
渋江 怜
早稲田大学大学院 人間科学研究科 地域・地球環境科学研究領域 修士1年
【参加したIACセッションについて】
- 専門が生物学のため、宇宙生物学(アストロバイオロジー)と宇宙医学に関わるセッションに参加した。そこでは、生命誕生に必要な水などの物質の探査や、有機物のサンプルリターン、あるいは宇宙空間で骨や筋肉の減少を抑える薬の開発などの最新の知見を得られた。しかしながら、生物学関連のセッションの数は、ロケットや人工衛星開発や惑星探査といったテーマに比べて圧倒的に少なかった。確かに、ロケットの開発によって宇宙に進出することは急務ではあるが、その先の次元、すなわち宇宙に簡単に行けるようになった時に何をするかをもう少し考えて欲しいと思った。宇宙に行くのが当たり前になれば、例えば宇宙で何を食べて行くか、酸素をどう作るか、国籍はどうなるのか、筋肉や骨の現象を抑えるための運動はどうやるのかなど、いっぱい考えなくてはならないことがある。それゆえ、もっとそのようなテーマのセッションがあってもよいのではと考えた。
【プログラム全般について】
- 本プログラムで得られた最も大事なことは、この派遣プログラムでともにブレーメンに行った派遣団の仲間である。約10日間寝食を共にし、日本語補習校授業やLunch Time Sessionのために長い期間グループで作業し、滞在中の夜は笑いあい、彼らと最高の時間を共有することができた。派遣団の皆は本当に優秀で、強い情熱を持っており、皆が将来大物になりそうな予感がした。私にとって、派遣団のみんなは大きな財産になった。大学の研究室にいるだけでは学べない多くのことを、本プログラムによって学ぶことができた。本当に貴重で、自分の人生にとって大切な10日間だった。
長島 瑠子
京都大学大学院 総合生存学館 博士一貫課程3年
【プログラムに参加して得られたこと】
- 派遣プログラム参加に際し、目標として掲げていた事柄は、1)ISEBプログラムに参加する、「宇宙が好き」な学生たちに対して日本の宇宙開発が抱える課題について発信する、2)発信した内容に対するフィードバックを受け取る、3)各国での宇宙に関する科学コミュニケーション活動や科学教育活動について、状況や手法を含めた情報収集をする、の3点である。1)に関しては、ISEB Lunch time sessionにおいて、他派遣学生との連携の結果、日本人学生が考える、日本が宇宙開発を行う意義について発表を行った。「高齢化先進国」日本における宇宙開発の課題を諸外国の学生に向けて発信することが出来、目的を達成したと言える。残念ながら、2)にも関連するのだが、発表時間の関係でLunch time sessionにおいて質疑応答の時間を取ることが叶わず、直接的なフィードバックを得ることが出来なかった点が悔やまれる。とはいえ、他機関派遣学生たちが個々人や派遣学生内の特定のグループの研究・活動報告が多かった中で見れば、内容のみならずプレゼンテーション構成としても先駆的な取り組み事例とすることが出来たように思う。3)に関しては、IACセッションやツアー、またISEBプログラムとして参加したspace education activity等から多くの学びと経験を得ることが出来た。部分的には達成できなかった目標もあるものの、概ね達成できたと考えている。
永利 光
首都大学東京 都市教養学部 都市教養学科 理工学系 物理学コース 学部4年
【プログラム全般について】
- 自分にとって国際学会は初めてであり、IACおよびISEB活動におけるコミュニケーションの⼤変さは⾃分の想像を超えていた。各セッションやイベントで話される英語は、当然ではあるがネイティブの⼈にとって⾃然な速度であり、専⾨⽤語も頻繁に使⽤されていたため聞き取るだけで難しく感じた。加えて、IAC には宇宙分野における世界最⼤規模の学会として、英語を⺟語としない国からも⼤勢の⼈が参加しており、同じ英語でもさまざまな訛りがあった。そのような状況において英語を使い続けることは⼤変であり、増して⾃分から積極的に会話に参加することは相当な労⼒を要するものであった。しかし、IACは⽇本語におけるコミュニケーションだけでは得ることができない情報の量やスピード感を持つイベントであり、このような国際的な場に参加することは重要だと感じた。以前から宇宙業界に進みたいのであれば英語は必須であると聞いていたが、まさにその通りであると身を以て実感した。
万戸 雄輝 (JAXA派遣学生リーダー)
総合研究大学院大学 物理科学研究科 宇宙科学専攻 博士後期課程2年
【JAXA派遣学生リーダーを経験して】
- リーダーとして活動して当初は年齢差も大きく気遣ってしまうかなと少し心配していましたが、派遣学生全員が非常に明朗活発で年の差を感じさせず誰でも気軽に発言できる環境を作ることができ、意見を素直に言い合えたことが成功の要因だったと考えています。結果的に、派遣学生それぞれの持つ得意分野が活かされ、補習校授業もランチタイムセッションも非常に完成度の高いものに仕上げられました。プログラムを通じて、私はみんなでうまく話し合えれば個々が考えている以上に良いアイデアが作ることができるのだと学ぶことができました。大西宇宙飛行士と対談したときもリーダーシップに関して、単に力ずくで引っ張っていくのではなく、メンバーそれぞれの得意とするところを引き出しまとめていくことが大切であると教わりました。私だけでなく今回のプログラムを通じて派遣学生一人ひとりに対して大きな学びになったのではないかと思います。
山田 裕己
名古屋大学大学院 工学研究科 航空宇宙工学専攻 修士2年
【プログラム全般について】
- とにかく充実したプログラムだった。参加した行事、そこまでの準備、海外学生との交流と全く飽きが来ない、常に新鮮なことができたプログラムだった。時間が経つのが早くしかも濃く、行った行事がすでに過去のことのようにさえ感じる。
今回のプログラムでは、国内外問わず様々な文化、専門、特徴を持った学生と出会うことができた。その中には大学で研究にいそしんでいる人もいれば、ベンチャー企業にて手伝いをしている人、学生団体などの団体に所属して精力的に活動している人など、本当に様々な人がいて、常に研究室にこもっている身としては非常に興味深く新しい物事を見させてもらった。また海外の人と英語でコミュニケーションをとっていく中で、少しずつではあるが苦手であったリスニングも徐々にできるようになり、話す方も滑らかになりと、英語でのコミュニケーション能力増加につながったと思う。また海外へのネットワーク形成もある程度でき、非常に有意義なものとなった。
若井 悠貴
早稲田大学大学院 基幹理工学研究科 機械科学専攻 修士1年
【プログラム全般について】
- 宇宙教育活動、ISEB活動、IAC学会参加3つを経験することが、互いに相乗効果をもたらしてくれたと思います。まず、宇宙教育活動では、子供たちの反応からワクワクする気持ちが大切なことを再認識しました。次に、ISEB活動では海外の学生の考えを知ることができました。また、英語への障壁を感じないようになりました。これらを経験したことで、学会では躊躇なく議論することができました。その結果、多くの知識を獲得しました。
これまで宇宙開発を目標としていましたが、潜在意識としてどこか夢物語のように感じていました。しかし、宇宙開発を討議する中で、それらは達成可能な目標であることを肌で感じることができました。宇宙開発に携わりたいという願望があるなら、更に上のスケールでどんな宇宙開発を行うか検討する必要もあると感じました。それらを達成するために何年費やすかは分かりませんが、今回の経験を糧に突き進みたいです。
脇本 拓哉
The George Washington University Elliott School of International Affairs,
International Science and Technology Policy, Space Policy Institute, Space Policy 修士1年
【プログラムに参加して得られたこと】
- IAC2018およびISEB学生プログラムに参加して気がついた事がありました。1つは、私自身が研究発表に慣れないといけないということです。プレゼンが下手だと魅力的な話ができず、聞く人の数が限られてしまうと思います。より多くの人に話を聞いてもらうことが私の価値向上になりますし、さらには日本人の評価向上にもつながると思います。人前にでるチャンスをもっと掴んでいきたいです。
次に、自分のやってきた勉強が間違っていないという自信がつきました。現在米国の大学院で勉強している私は、「アメリカで学ぶ」宇宙の歴史、宇宙の経済、航空・宇宙法しか知りません。同様の勉強をしているヨーロッパやアジアの学生のレベルを知る機会がありませんでした。しかし、このプログラムに参加して様々な国や分野で勉強している学生たちと話す機会が与えられたことで、会話のレベルに差異がないことを認識できました。これは大きな自信になりました。引き続きいまやるべきことをやり続ければまず遅れは取らないだろうと確信しました。ここからさらに自分しか出せない価値を生み出すために、より一層努力を続けて行きます。
<帰国後、出張報告会等の様子>